On The Road

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かえるの王さま または鉄のハインリッヒ その1

2010-02-16 23:03:10 | 小説の舞台
昔、ひとりのお姫さまがいた。お姫さまはある日森の中の泉のほとりにすわって、金のまりで遊んでいた。ところが、上に投げたまりを受け損ね、泉の中に落としてしまう。
お姫さま「ああ、金のまりを取り戻せるなら、なんでもあげる」と泣き叫んだ。
それを聞き付けて一匹のかえるが水の中から頭を突き出して「そのまりを取ってきたら、何でもくれるのか?」と聞いた。
お姫さま「気味の悪いかえるね。お前に何ができるというの?」
かえる「水の中に潜ってあなたの金のまりを取ってきます。そうしたら、私の友だちになってくれませんか。あなたの食事のテーブルにあげて、あなたの金の皿から食事を食べさせてください。そして、あなたのベッドにあなたと一緒に寝かせてください」
お姫さまはかえるが水から上がれないだろうし、試しにやらせてみようと思ったので、「それなら、やってごらん。金のまりを取って来たら望みを叶えよう」と言った。
かえるは水に潜り、戻ってきた。金のまりをくわえ、それをポンと岸辺に放った。
お姫さまは、急いでまりを取ると、かえるを置き去りにして、城に帰ってしまった。

つづく

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