基地移設
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が争点となる名護市長選(来年1月12日告示、19日投開票)が、保守分裂の様相となり、政府・自民党が危機感を強めている。
移設に強く反対している現職の稲嶺進氏(68)に対し、「一本化しなければ敗れ、辺野古移設が頓挫しかねない」(党幹部)と見ているためだ。
同市長選には、現職の対抗馬として、移設容認派が擁立した元副市長で自民党県議の末松文信(ぶんしん)氏(65)に続き、前市長の島袋吉和氏(67)が立候補を表明した。
市長時代に移設を容認していた島袋氏は30日、記者会見で正式に出馬表明し、「辺野古移設なくして(名護市を含む県)北部の振興発展はない」と強調した。島袋氏は、辺野古移設をてこに国から北部振興予算を獲得する先頭に立ってきたという自負が強い。
容認派の市議団や経済関係者は、前回市長選で敗れた島袋氏よりも、同市が地盤の県議の末松氏の方が勝機があるとみて擁立を決め、末松氏は24日、出馬表明した。末松氏は、移設受け入れになお慎重な市民が多いことを踏まえて移設容認とまでは明言しなかった。島袋氏はこれに反発して出馬を決断したと見られている。
末松氏陣営では、島袋氏の出馬は予想外だった。自民党県連は30日、議員総会を開き末松氏の支援を決めたが、翁長(おなが)政俊県連会長は記者団に「こういう状況が出てくるとは想定ができていなかった。びっくりしている」と漏らした。
政府・自民党は、市長選をきっかけに移設容認派がまとまり、仲井真弘多(ひろかず)知事に、移設に必要な辺野古沿岸部埋め立ての承認を迫る戦略を描いていた。自民党県連の支援を受けて知事に当選した仲井真氏が「与党県議を応援するのは当然だ」と末松氏支援の姿勢を示し、期待感が出ていただけに衝撃が広がっている。
石破幹事長は、島袋氏の出馬が表面化した29日に島袋氏に電話し、「保守分裂になれば稲嶺氏を利するだけだ」と説得を試みたが、島袋氏は「政府・党本部と考えが一致する私を推してください」と応じなかったという。
(2013年10月31日09時22分
読売新聞)
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