知らなかった でも今日から僕は ファンです

今日も…楽しいPV撮影です。
素敵な共演者と話し合いながら…芝居を作ります。
そして主人公の《K・Nちゃん》とは…撮影ラスト日です。

僕は《K・Nちゃん》の事は…殆ど知りませんでした。
と云うより…若い女優さんや女性タレントさんを知らない僕です。
また《K・Nちゃん》が…声優にも挑戦していた事も知りませんでした。

この3日間で《K・Nちゃん》が…今超人気な事を知ります。
有名なファッション誌の…モデルさんである事も知ります。
また人気ドラマや映画・番組に出ている事も…やっと知ります。

しかし《K・Nちゃん》は…全く気取らない普通の女の子です。
《K・Nちゃん》は偉ぶれず…「別に！」と無愛想な事は言いません。
いつもニコニコと仕事に前向きで…気遣い満点の《K・Nちゃん》です。

そんな《K・Nちゃん》は…モデルもやってるから小顔です。
そして《K・Nちゃん》のパパ役の僕は…自慢じゃないですが縦長大顔です。
そんな二人が一緒のシーンは…流石の僕も自分を気にしてしまうのです。

もし並んで映ったら…僕の顔は浮いてしまいます。
そこで僕は…《K・Nちゃん》の後に並ぶ事を心掛けます。
そうすれば僕の顔は…少しは小さく写る事になるわけです。

さぁテスト撮影で…小顔に映る芝居位置を確かめる僕です。
僕はなるべく《K・Nちゃん》の背後で…子顔の振りをしています。
しかし相手が悪かった…《K・Nちゃん》は気遣いが格別なのです。

「すいません！…パパにカブッチャいましたね」
「私が前に出すぎて…パパの顔が映らなかったですね」
「この位置で一緒に同じ芝居して良いですか…その方が面白いですよね」

その度に『僕はいいから…《K・Nちゃん》が前に』と言います。
しかし《K・Nちゃん》は…良いPVを作る事に一生懸命のようです。
僕は徐々に…《K・Nちゃん》のペースに引き込まれ大顔に映ってしまいます。

そんな楽しい日々の中…《K・Nちゃん》から「パパ」と呼ばれる日は終わりました。
沢山のスタッフや共演者から…幸せ者」の烙印を押された僕です。
そして今日から僕は…《K・Nちゃん》のファンになってしまったのです。

《K・Nちゃん》は誰か…後日明かしますね。