表千家一期一会

何を習うかより誰に習うか!?


昨日の稽古場で
以前家元の天然忌に行かせていただいた折
ある宗匠が仰った言葉が話題になりました


新席に掛けられた
大龍和尚筆「仏祖正脈」のご説明をして
いただいた時のことです


「何を習ったかよりも『誰に習ったか?』ということが大事なんです」


という言葉を耳にしました


その場は一同苦笑いで楽しくお聞きしたのですが
私には正直
その言葉の真意がどこにあるのか
わからないまま
しばらく胸の奥でくすぶっていました

同席したお弟子さんたちも
この言葉には少なからず衝撃を受けられたようでした


「皆さんはどこで何を習ってきたのか知りませんがね
お茶を習うのでしたら
私のようなエライ先生につかなければ意味無いですよ」


その宗匠がまさかそんなことを仰ったとは思えませんが
一瞬ドキリとしました


なぜなら
私は家元直々にお習いしていませんし
同門会などで活躍しているわけでもなく
ほんの2回大寄せ茶会は経験させていただきましたが
あちこちで釜を懸けられるような
いわゆる”力のある先生”でもありません


時には
お弟子さんが外で肩身の狭い思いをすることも
あるような気がして
申し訳なく思うこともあります


それでも
そんな私のような無名の”町の先生”に
熱心についてきて下さるお弟子さん達がいることに
いつも感謝しています

私にとってはそのお弟子さん達が
唯一誇れる宝です


「この先生にお茶を習ってよかった」


ご縁あって
私のもとで精進なさっているお弟子さんに
心底そう思っていただけるよう
ひたすらお茶の道を求めて
自分らしく邁進していきたいと常々思っています


ところで
先日他のお流儀の方からこんなことを聞かれました

「私の流儀では
つく先生によって教える内容がすごく違うのですが
表千家さんではどうですか?」


それに対し
私はこのようにお返事させていただきました


「確かに表千家でも
宗匠方によって仰ることが少しずつ違います
けれでも表千家では
その色々ある流れの
どれが正しくてどれが間違っていると言うことはなく
その全てをのみこんだ大きな流れを『表千家流』と
考えているのだとお聞きしています」


彼女は少し不思議そうに
「ふうん・・・」と仰っていました


さて冒頭の
「何を習ったかよりも『誰に習ったか?』ということが大事なんです」

これを仰った宗匠の真意は
もしかしたら
このことに関係あるのではないでしょうか


つまり
私達がお茶を習う先生には
必ずその先生が習われた先生が存在し
その先生にもまた
師事された先生が存在し・・・と
どの人にも
家系図のようにたどっていくことのできる流脈があるはずです


教えられる内容には
その流れによって多少違いはありますが
大切なことは
その中味の間違い探しを云々することではなく
自分に注ぎこんでいるその流脈です


『自分に縁のあった
その流れに意味があるのです
ご自分の習っている
その先生の教えを大切にしなさい』


「何を習ったかよりも『誰に習ったか?』ということが大事なんです」


この言葉を通して
宗匠が伝えようとされたのは
もしかしたらこのだったのかなと
今になってあらためて気づきました



ですから
もし色々なお流儀や
同じ流儀でも異なる先生に習っている方々と
お作法が違っているとしても
それを当たり前のこととして
むしろ豊かさとして受け止める心が
必要です

そして
例えば違う考えの方と協力して
お茶会を催さなければならないような場面では

まずは相手の方の流脈を尊重し
たとえ自分の思いとは異なっていても

「あなたの意見に従いましょう」と
仰ったらいいのではないでしょうか

これは勝ち負けとかいったことではありません

でもその上で
もし求められたならば
同意されるかされないかは別にして
「私はこのように習いました」と
堂々と自信を持ってお伝えしてみてはいかがでしょう


_(._.)_

コメント一覧

tomoko
先生との出会いには、本当に不思議なご縁を感じます。
私もこれまでお世話になった、そして今もご指導いただいている全ての先生に、心から感謝しています。

裏千家流の花月、色々な花月之式があるそうですね。
たった一つの表流花月でもまだまだなのに・・・裏千家の方々は覚えることが多くて大変だなあと思っていました。
他流の方々と交わると、興味深いですね。
世界が広がるような気がすると共に、あらためて自分が表千家と相性がいいということを再認識できたりして(^_^;)

雲や
中々深いですね。私も表千家の流儀の理解は賛成です。今の私のお稽古での総勢延べ七人の宗匠に来るまで、これまで三人の先生につきました。今から思い返してもそれぞれ私にとって意味のある感謝すべき先生方でした。先日裏千家流の方々と花月をしようとなって、その仕方の大きな違いに驚きました。元は同じと思っていましたが、これだけ違っているのだとそれぞれ驚きました。
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