大来塾(FORUM'80全期生会)

初代会長大来佐武郎氏の理念を掲げ、1978年末から活動を続ける現「一般社団法人総合研究フォーラム」の全受講生OB会です。

大来塾2016年度第3回例会のご報告

2017-03-29 11:53:41 | 新着情報

2016年度第3回例会では、日本酒好きにはたまらない銘酒「獺祭(だっさい)」を世に出した旭酒造株式会社(山口県岩国市)の桜井 博志会長にご講演をいただきました。

 桜井会長が明治時代から続く酒蔵の社長に就任された1984年当時は、オイルショックの後遺症で全国的に日本酒の売上が減っていた時代で、旭酒造も、1973年の最盛期からの10年間で販売数量が3分の1に落ち込むというたいへんな逆境にあったといいます。

 獺祭の大ヒットで、旭酒造は大躍進を成し遂げましたが、その理由として桜井会長が挙げられたのが、「山奥の過疎地」、「山口県内での酒米入手が困難」、そして「杜氏の“FA宣言”」というさらなる3つの逆境でした。

 周辺商圏の拡大が望めない立地を逆手に取り、「東京で売れる酒」を志向したことが、酒米の最高峰である「山田錦」のみを使った純米大吟醸、しかも酒米の77%を捨てる「磨き2割3分」につながったこと、

 地元農協から良い酒米の供給を受けられなかったため、山田錦の入手ルートを自ら開拓し、現在の山田錦の生産量3.6万トンのうち、7,560トンを消費するまでに至ったこと、

 1999年に杜氏が蔵人を連れて他の酒蔵に移動しまったことをきっかけに、杜氏に遠慮することなく理想の酒を造るという方向性が定まり、平均年齢28歳の若い社員が試行錯誤しながら、データを活用しつつ、良い品質を追求していくという現在の同社のスタイルを切り開くことができたことなど、逆境をチャンスに変えていった過程をお話しいただきました。

 お客様がおいしいと思う酒を納得できる価格でどれだけ提供できるかということが使命であり、それが売上の源泉と言い切る桜井会長は、品薄のために獺祭にプレミアムがついてしまっているのは本意ではないとのことで、供給量増の最大のボトルネックとなっている山田錦の生産量を増やすため、各県を行脚してその栽培を農家にお願いして回っているほか、富士通と手を組んで、クラウドを使った農業支援システムを一部の農家で試験的に導入するといったことにも取り組んでいるそうで、おいしい酒造りへのこだわりが随所に表れた講演となりました。

 その後の懇親会では、所用のため冒頭しかご参加いただけませんでしたが、市場では入手が難しい「磨き2割3分」を5升も差し入れていただき、参加者一同、「幻の酒」を堪能させていただきました。

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