2015年6月16日、代表幹事会が開催され、記念講演ではフォーラム‘80第9期卒の、下村博文文部科学大臣をお招きし、「活力ある日本をつくる」と題して文部科学省における日本の未来戦略についてご講演を頂きました。

日本の経済成長は過去10年に低下し、所得水準・生産性もOECD諸国の上位諸国に遅れをとり、政府債務残高はOECD諸国で最も高い、といった日本の現状分析を踏まえ、日本を再興するための未来戦略として3つの提言を紹介されました。
1.日本再生のための教育再生
学者の分析によると「子供たちの多くは大学卒業後、今は存在していない職業につく」「今後10年から20年程度で約半分の仕事が自動化される可能性が高い」「2030年までには週15時間程度働けば済むようになる」ことから現在の職業の多くは今後なくなっていくという予測がある。これら将来の環境変化を見据え、「少子化克服」「格差の改善」「経済成長・雇用の確保」の問題を解決し一人ひとりの豊かな人生と成長し続け安心できる社会を実現できるのが「教育」と位置づけられる。このため、幼児教育の段階的無償化をはかり、教員や保育士の質をあげ、低中所得世帯の私立高校授業料の無償化等の施策により教育の再生をしていくことが必要である。
2.先端研究開発力により経済・社会にイノベーションを起こす国へ
青色LEDやiPS細胞等、優れた研究開発が日本発で発信されている。これら基礎研究から実用化までを一環支援することにより、イノベーション創出期間を大幅に短縮することでアベノミックスを強力に牽引することができる。
このためには、人材力を強化し、産学官の結集した研究開発イノベーション拠点を構築していくことが必要である。
3.東京オリンピック・パラリンピックを通じた経済・社会発展
2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、ラグビーワールドカップ2019年等の開催を絶好の機会と捉え、訪日外国人年間2000万人達成、東京大会の経済効果、成人のスポーツ実施率のアップの効果を期待し2020年以後もスポーツを通じて人々が豊かな生活を営むことができる「スポーツ立国」を実現する。
著書の「世界を照らす日本の心」(出版社: IBCパブリッシング)もこれらの提言の背景が盛り込まれていることのご紹介がありました。

ひとつひとつの提言が個人個人のマインドの持ち方においても身近なお話であり、現状認識と将来を見据えた戦略を個人・地域社会・国のレベルで考えることの大切さが伝わりました。
下村大臣は懇親会会場においても、多くの塾生と名刺交換と意見交換の機会を持ってくださいました。
