パペット劇場ふらり旅 ~広島~

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

『わらびのこう 蕨野行』

2005-09-15 | 映画
主演女優みずからのお薦めとあらば観に行かない訳にはゆかない。
一日一回きりの上映(10:00から12:05)なので何とか時間を都合してシネツインへ。

『わらびのこう 蕨野行』については、市原さんが言葉少なに話してくれたことが私の知っている情報のすべてだったのだけれど、「期待を裏切る素晴らしさ」というのがあるようだ。
ドラマの背景の山形の山や村の風景の美しさに息を呑む。
実写風景の中で交わされる文語体(!)の会話にまったく違和感がない。

抗い逆らったところで老いや死から逃れられるものではない。
自ら毅然と死や老いを受け入れるということできるものなのか?
美しく・・心安らかに。

映画はテレビの映像とは明らかに一線を画す。そのことを実感。
春から夏に向かい、やがて秋から冬へと移ろいゆく季節は、限られた撮影期間の中でスタッフやボランティアの献身的な作業によって撮影されたという。
あのように自然と耳に聞こえた文語体の台詞に出演者たちは悪戦苦闘したらしい。
だが出来上がった映画にはそのような苦労のあとは微塵も感じられない。
舞台や映画はかくのごとくあって欲しいものである。

観客は、観客には、この様な舞台をこの様な映画を見たいというニーズなどないのである。舞台や映画に触れた瞬間に、ああ自分が求めていたものがこれだ!と気づく。
その両者をつなぐ術(すべ)が見つからないのは何ともどかしい。

この「蕨野行」も、商業ベースの映画館には買い取ってもらえず各地で実行委員会形式で上映されていくという。一日一日を紡ぐように全国各地で上映会が予定されている。
二週間もの連続上映は広島のシネツイン一館のみ。私が出掛けた火曜日の上映も入りは上々であった。
わが広島の文化センスもなかなかのものだとちょっと自慢である。

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