パペット劇場ふらり旅 ~広島~

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

女優・市原悦子の記念講演 ~高齢者社会をよくする女性の会第24回全国大会in広島~

2005-09-12 | Weblog
高齢社会をよくする女性の会の全国大会が2日間にわたり広島で開催されると知りさっそくプレイガイドでチケットを買い出掛けてみた。
衆院選挙と重なり驚いたが、日程は1年も前から決まっていたらしい。

全国大会なので日本全国から会員さん来ているのだが、この手の大会には珍しく入場券はプレイガイドのチケット販売のみ。
それでも、1500名収容のフェニックスホールが超満員で溢れかえった。
入場できなかった800名もの聴衆が別室でのビデオ視聴となったのだ。
滅多に講演などには登場しない彼女の記念講演も人気のひとつだったようだ。

知事と市長の挨拶のあと、彼女があざやかなブルーのワンピースですっと舞台に立つと
たちまち二階席まで埋めつくした観客席の視線を一身に集めてしまう。
美人女優さんではないけれど舞台の役者さんでもいらっしゃるわけでやはり華があります。
お話のテーマは、「いつか、ひとり -50代からの私の生き方」
演台に手をついてなんて無粋な仕立てじゃなく、花を生けた小卓を傍らにゆったりと
椅子に掛けて話しをするスタイルがとってもオシャレでした。
終戦の時に9歳だったというご自身の飢え体験をこれが私の人生を決めた決定的な体験ですとユーモアを交えながら、独特の間合いでぽつりぽつりと。
木登りが得意で美味しい木の実の見分け方や畑のマクワウリの美味しかったこと等「なんでも上手だったんです、あたし」なんてさらりと言うのにちっとも厭味がない。
正義感が強くともだちの女の子が盗みをしたのを目撃して黙っていることができなかった少女時代。「イヤな子だったの」なんてちゃっかり告白。
内定していた銀行づとめがとても自信がなくて「俳優さんになる学校ってある?」と友人に聞いて当時は唯一の俳優座養成所を受けたのだそうだ。物怖じしない性格も歌や踊りが得意だったのもその頃からだったらしい。
彼女の出演番組は不思議と長寿なものが多い。
舞台で女優が輝く為に周囲の人のたくさんの力があることを熟知しながらも、変に遠慮した腰の低さが無くって、この爽快な小気味よさがなんとも言えない魅力。
周りに気を使ってカワイイおばあちゃんなんかになるのは内心御免だと思っている高齢者予備軍の女性にはこんな素敵な生き方・・って思わず嬉しくなっちゃうのね。
舞台ってのはその時にその場で花開くもの、再演ってあまりうまくいかないことがおおいでしょ。私は初演の芝居が好き。というのが市原流の舞台ポリシーらしい。
台詞を喋る舞台と違いこういうのは苦手なのと、残り時間は客席からの質問を受けてお話を続けた。場内の質問を受けるのが心憎いほどうまい。二階席後方の私でさえまるで旧知のような親しみを感じさせてしまうのだもの。
初めての主演映画「蕨野行」のこと、各地で自主上映されているこの映画を撮ったことで「死ぬことがほんの少しだけ怖くなくなった」という。

最後に立ち上がりスポットライトの下で「ちいちゃんの影おくり」の読み語りを。
まるで一幕の舞台を観たようでした。

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2 コメント

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素敵な女優さんでした。 (まんと)
2005-09-19 19:06:32
先日はTBありがとうございました。

記念講演のこと、ほんとピッタリにブログしていらして、

あの日の感動が蘇ってきました。



いろ~んなお芝居を見ていらっしゃるのですね。

私は市民劇場を見るくらいです。

しかも、かなり素人・・・あはは^^

劇団NLTのオスカーは最悪でしたか?

私は・・・素人なのでほどほどでした。

劇団NLTは昔に比べ、

商業性が強いとか聞いた様な・・・。



また、お邪魔しますね。
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こちらこそ (おけい)
2005-09-19 23:38:19
こちらこそ。

市原さんは私の郷里と同じ千葉県出身の女優さんなので特別に思い入れがあります。これはぜひプログに書き留めておかなければと我ながらいささか気負いすぎました。ほんとに素直に楽しそうに書いてあるあなたのプログを見つけて小躍りしたのは私の方です。



それで以前に書いたNLTのお芝居の件をいたく後悔しました。あれは村井さんの大ファンだった私の期待があまりに大きすぎてガッカリしちゃったのね。

ああ、楽しいかったと感激して帰ったファンを傷つけるつもりは全然なかったのです。

よほど非公開にしようかと悩んだ末、今後の戒めのつもりでそのままにしてあります。

これからも時折覗きにいらして苦言を呈してくださいませね。
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