パペット劇場ふらり旅 ~広島~

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

CON ANIMA(ミクロポディウム) ~山小屋シアター~

2008-03-05 | 人形劇
「CON ANIMA」というのはラテン語で感情移入という意味だそうだ。
ソファ席の前に敷かれた座布団の桟敷席を中心に前方席にまとまって座った観客たちは50名ほど。

暗くなった場内でロウソクの明かりに生成りの白い幕を下ろした小さな舞台が浮かび上がる。明かりのゆらめき、ロウソクの燃える焦げたような臭いにまるで異国の劇場にいるような錯覚を覚える。
手燭の明かりが移動して、白い幕のむこうに幻想的なシルエットが映し出される。

さらさらと手の中からこぼれ落ちる砂粒・・・。
砂漠の中の廃墟だろうか。
その砂山の中から小さな手が現れやがて精霊のような耳の尖った砂色の操り人形が姿を現す。糸とワイヤーで操っているとは思えぬのびのびとした動きの巧みさ。
箱庭のような小さな舞台がとても広大に感じる。
動物の骨や倒木で遊んでいたこの人形が砂の中からさらに小さな人形を見つけ出し器用に動かしてみせる。
やがてもうひとつの人形が見つかる、髪が長くどうやら女の人形のよう。
さらに砂の中から丸いりんごが現れて、どうやらアダムとイブらしいと合点している間に、大きな人形はまた砂の中に埋もれていってしまう。
幕が下りた向こう側には、小さなアダムの人形が動き出すシルエット・・・。

まるで夢を見ていたような人形劇である。

終演後、演者のレナート・オンドラシュ氏を囲んで通訳を交えて観客との交流サロン。
人形についてのさまざまな質問が飛ぶ。動かし方、作り方、人形劇について、etc。
もともとは彫刻家志望で人形作りからこの世界に入ったのだそう。
アマチュア時代から30年のキャリア、公立の演劇学校に入ってさまざまの手法を学んだという。さすが人形劇のメッカ東欧の国ハンガリーならではである。
今回の作品も日本や中国、ベトナムなどの操演法を取り入れたものだという。
驚いたのは、宗教的背景を持った古典作品かと思った今日の人形劇が、1995年に創立したときに作ったオリジナル創作劇だということ。
廃墟後の世界とその再生を描いたものだそうだ。動物や自然ではなく人間が作ったものが新しい世界を生み出すのだと考えたのだという。

子どもが見ることが多い所為だろうか、愛や友情を描くことが多い日本の人形劇と較べてその世界観の違いに驚く。
日本でも、この人形劇を見たいという観客が多いという。
今回のツアーで6回目の来日になる。
観客も進化しているのだ。


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