「田辺」は知る人ぞ知る超有名なアマチュア人形劇団。まもなく10周年だそうで本拠地は長野県飯田市。「いいだ人形劇フェス」ではお馴染みの劇団である。
メンバーはみんな社会人のため活動はマイペース、上演回数が少なく小さな会場での上演が多い。そのステージは超レアものなのだ。
私がはるばる奈良まで出掛けてきたのもこの「田辺」が観たかったからである。
30センチ・50センチほどの小さな額縁舞台での人形劇。
#1 ノミの兄弟
ちっちなノミは肉眼では見えずその居所を赤い矢印で示す仕掛け。大雨の後、家に帰ることになった二匹は流されないようにタクシーで帰ることに。訳知り顔の兄ノミと甲斐甲斐しい弟ノミのほのぼのキャラ。で、登場するタクシーは・・。
#2 万事休す
もやは伝説と化した湯飲みと急須のすごくエロティックな人形劇。
開け閉めされる襖障子があっという間に時代劇モードに。「ほうじ茶は嫌いか?」「殿のはイヤでこざいます」応える湯飲み。
観客の中ではスケベ殿様の魔の手にかかる可憐な腰元がありありと思い浮かぶ。
「人形劇とは何か」という理論を舞台に体現化するとこうなるに違いない。
上演は僅かに数分だが、一度観たら忘れられない衝撃の人形劇なのだ。
#3 赤ずきん
頭部についた棒遣いで左右の向きが変えられるだけのシンプルな操作。
これで、赤ずきんちゃん出生を巡るスリルとサスペンスの人形劇が展開する。
関係者(母、オオカミ、おばあちゃん、猟師)が次々と謎の死を遂げる中、ついに魔の手は赤ずきんちゃんの身に迫る。童話の世界に次々に起こる殺人事件、そのテンポのよさとあっと驚くラストシーン。
人形劇の数多の赤ずきんちゃんバージョンの中でも秀逸の一作であります。
#4 うちゅう戦争
ちっちゃな石のお地蔵さんのような人形が二体。これを直接手で動かして操作。一方に小さな赤い傘が括りつけてある。
合戦の最中の殿と家来の会話。「傘・・長靴・・、我が方の陣は苦戦」「では合羽を・・」長靴のままで合羽のズボンが穿けずにすっ転ぶ家来たちが目に浮かんで、笑えちゃう。
#5 金のオノ、銀のオノ
突然、舞台の2倍の高さの木こりの操り人形が登場。これがものすごく巨大に見える。金のオノと銀のオノを手に問いかける湖の精に、さっさと自分の斧を見つけて帰ろうとする木こり。二人のあいだに横たわる何ともいえぬ間・・。
間の悪さを意識的に演出してみせる大胆な舞台は一度観たら忘れられない。
以上の5作に、おまけの新作がひとつ。
オマケ オクラホマでカブを抜く
ご存知「大きなカブ」のパロディー。
舞台下手に地面から顔を出した大きなカブの実。おじいさんとおばあさんの二体の人形が話し込んでいる。事情とアクシデントがあってネズミも猫も犬も孫娘も来られない。孫娘の事情はやはりロシアよりアメリカが相応しい。
おじいさん一人の独白「・・・」で幕。
人形劇でよく上演される作品を手玉に取った着想の巧みさとテンポのよさ。
登場しない人物やシーンを観客の想像の中に描き出し舞台の小ささを苦にさせない。
あまり巧妙に動き回らない人形と対照的な独特の台詞回し。一度観たらクセになる人形劇団なのである。
メンバーはみんな社会人のため活動はマイペース、上演回数が少なく小さな会場での上演が多い。そのステージは超レアものなのだ。
私がはるばる奈良まで出掛けてきたのもこの「田辺」が観たかったからである。
30センチ・50センチほどの小さな額縁舞台での人形劇。
#1 ノミの兄弟
ちっちなノミは肉眼では見えずその居所を赤い矢印で示す仕掛け。大雨の後、家に帰ることになった二匹は流されないようにタクシーで帰ることに。訳知り顔の兄ノミと甲斐甲斐しい弟ノミのほのぼのキャラ。で、登場するタクシーは・・。
#2 万事休す
もやは伝説と化した湯飲みと急須のすごくエロティックな人形劇。
開け閉めされる襖障子があっという間に時代劇モードに。「ほうじ茶は嫌いか?」「殿のはイヤでこざいます」応える湯飲み。
観客の中ではスケベ殿様の魔の手にかかる可憐な腰元がありありと思い浮かぶ。
「人形劇とは何か」という理論を舞台に体現化するとこうなるに違いない。
上演は僅かに数分だが、一度観たら忘れられない衝撃の人形劇なのだ。
#3 赤ずきん
頭部についた棒遣いで左右の向きが変えられるだけのシンプルな操作。
これで、赤ずきんちゃん出生を巡るスリルとサスペンスの人形劇が展開する。
関係者(母、オオカミ、おばあちゃん、猟師)が次々と謎の死を遂げる中、ついに魔の手は赤ずきんちゃんの身に迫る。童話の世界に次々に起こる殺人事件、そのテンポのよさとあっと驚くラストシーン。
人形劇の数多の赤ずきんちゃんバージョンの中でも秀逸の一作であります。
#4 うちゅう戦争
ちっちゃな石のお地蔵さんのような人形が二体。これを直接手で動かして操作。一方に小さな赤い傘が括りつけてある。
合戦の最中の殿と家来の会話。「傘・・長靴・・、我が方の陣は苦戦」「では合羽を・・」長靴のままで合羽のズボンが穿けずにすっ転ぶ家来たちが目に浮かんで、笑えちゃう。
#5 金のオノ、銀のオノ
突然、舞台の2倍の高さの木こりの操り人形が登場。これがものすごく巨大に見える。金のオノと銀のオノを手に問いかける湖の精に、さっさと自分の斧を見つけて帰ろうとする木こり。二人のあいだに横たわる何ともいえぬ間・・。
間の悪さを意識的に演出してみせる大胆な舞台は一度観たら忘れられない。
以上の5作に、おまけの新作がひとつ。
オマケ オクラホマでカブを抜く
ご存知「大きなカブ」のパロディー。
舞台下手に地面から顔を出した大きなカブの実。おじいさんとおばあさんの二体の人形が話し込んでいる。事情とアクシデントがあってネズミも猫も犬も孫娘も来られない。孫娘の事情はやはりロシアよりアメリカが相応しい。
おじいさん一人の独白「・・・」で幕。
人形劇でよく上演される作品を手玉に取った着想の巧みさとテンポのよさ。
登場しない人物やシーンを観客の想像の中に描き出し舞台の小ささを苦にさせない。
あまり巧妙に動き回らない人形と対照的な独特の台詞回し。一度観たらクセになる人形劇団なのである。
はるばる広島からありがとうございました。
さすが、田辺の出演者より考察が深いですね。。。
演出者のM氏が喜んでいるのではないでしょうか。
私は台詞ひとつで30分お稽古された口ですから
うちの娘の田辺デビューを目論んでいます。
もちろん人形として・・・(笑)
舞台を観たことのない人には「田辺」の話はちっとも通じなくて、悔しい思いの日々。
関係者の人に読んでもらえたなんて最高です。
終演後に役者紹介があって、初めて操り手の人形師さんのお顔を拝見しました。何となく万年青年の大学生みたいな人たちかなと想像していたんで、意外とおっさんだなと思ったりして。(エヘヘ・・)
来年はまた飯田フェスに出掛けてみたいと思いました。
毎日の子育て大変ですね、でもなかなか楽しそう。
舞台でお目にかかれる日を楽しみにしております。
意外と・・・じゃなくて、か・な・りおっさんです(笑)
来年、飯田でお待ちしてまーす
私も田辺さんが大好きでここ数年通っている飯田フェスでかかせない観劇劇団となってります。小学生の子供も「今年はみられる?」と楽しみにしています。
今年初めて飯田体験する友達にも『見逃せないお勧め』と紹介しました。
作品がとても上手に紹介してありますね。「うんうん」とうなずきながら読みました。しかし、観てみなければ分からないのが田辺さんの魅力。たくさんの人に見てもらいたいとも思います。でも、裏腹に自分だけのとっておきにしておきたい気もします。
他の人形劇の紹介もこれからじっくり読ませていただきます。
きっかけは、きゃべつ村さんのやすさんに、教えられて、
「田辺さんは、おすすめ!」と言われて。
見た感想は、「面白い!」この一言に尽きます。
私の息子は、夏休みの思い出の作文に、「飯田で見た、田辺さんの、人形劇が面白かったです。特に、赤ずきんちゃんが面白くて、最後が、「つづく」て成っていたので、
早く続きが見たいです」と書いたほど、親子ではまっています。
冒険団 ゼブラさま
コメントいただいたままでお返事も書けず
申し訳ありませんでした。
「田辺」情報は検索でもなかなか見つからなくて
思わず自分で書いてしまいました。
あんまり上手く書けていなくてごめんなさいね。
検索でこちらにたどり着いてくれる人がいらっしゃることに
大感激してます。
今後も田辺ファンが増えて、新作がぞくぞくと発表されることを
楽しみにしている私でございます。