じぶんの足でたつ、それが教養なんだ

「われこそは」と力まないで、じぶんの歩調でのんびりゆったり歩くのがちょうどいい。

寫瓶という方法

2006-06-17 | 随想(essay)
「寫瓶」という教育方法をご存知ですか。あるいは「銀行型教育」というものを知っていられるでしょうか。
 「寫瓶」というのは、瓶の口をあわせながら、一方の瓶の中身を他方の瓶に、一滴漏らさず-という意味は他人には内緒で-移し替えるという、この国だけではないかも知れぬが、技術や技法、知識や芸能の秘技を伝授する方法でした。今に残る家元制などはたぶんにその傾向があるのではないでしょうか。もっとも近年のものは営利主義、金儲けで、たくさんの瓶を前にして、移し替えるまねごとをしているようですが。一子相伝とか免許皆伝という手法がそれに当たるかも知れない。
 「銀行型教育」は、そのことを知らないでも大抵の教師は見事にやっていますよ。いわゆる「知識の伝達」というもので、自分がよく知らないことでもさも知っているように教えるのだから、恐ろしいですね。与えられたから受け取るばかりという教育方法です。でも、教師が教えるから彼・彼女は学ばないということもあるんですね。その反対に、彼・彼女が教えなかったから、自分は学んだんだという経験も身に覚えがあるんじゃないでしょうか。(謙瓶)