6頭目 さかさ猪

最近はブログの更新も何とかできるようになりましたが、12月は今までにないくらい忙しく過ごしております。

6頭目が獲れたのは12月も半ばのことですが、5頭目から約1週間後に捕獲できました。



山は落ち葉が落ち切って、そろそろ全体の見通しが良くなってくる季節です。
山の猟場の見回りはいつも高いところから回っていくのですが、その日は珍しく下から回っていました。
最初の罠は山肌の上段と下段に1つずつ掛けています。
まずは上の罠からチェックするのが習慣で、下段の罠はちらっと目視確認をしただけで通り過ぎました。
上段の罠の落ち葉の積もりすぎなどを少し手直しして、時間があるからいつもは行かない少し奥の方まで様子を見に行ったりしてみました。

そんな鼻歌でも歌いそうなほどのんきな気分で引き返し始めたところ、下段の罠のさらに下で何か異様な雰囲気がしました。
はっとして良く目を凝らすと・・・・い、いたー！！



罠をかけていたけもの道からさらに下の雑木の陰の中、くちゃくちゃと威嚇音を出しているオスのイノシシがこちらをにらんでいました。
前回の捕獲から時間があくとどうしても気がゆるんでしまいます。それに、ここでは仔猪の足跡をたくさん見ていたので、大きなオスがかかるとは夢にも思っていませんでした。しかも罠のかかっている足元もよく見えず一気にビビりモードに突入してしまいました。

もし足がちぎれそうだったらどうしよう！
なんか牙でかかったし！
体もでかかったし！

にわかに緊張してきました。
そそくさとその場を後にして車に戻り、ヘルプコールです。

「師匠！ビビりモード突入っす！」
「はぁ！？とにかく確認して、ヤレ！」
「えぇー！！」

最近の師匠はスパルタです。
千尋の谷へ突き落とされます。
私、もうすぐ巣立ちでしょうか。

にもかかわらず、盛大にビビリをアピールしていると前回助けてもらった近くのTさんがふたたび助けに来てくれることになりました！
あぁー、助かった！

心を落ち着かせながらTさんを待ち、その間に猪の口をくくる輪っかを引っ掛けるための木の枝を用意しました。
しばらくして、さっそうと現れたTさんに口輪と枝を見せて説明します。

これで口をくくろうと思うんやけど・・・
それで武器でやっつけて・・・
猪はあそこんとこで・・・
気をつけないと危ないよ・・・

しどろもどろの説明を聞くか聞かないかのうちにTさんは口輪のみを手にして、はつらつとして猪の方へずかずかと踏み込んでいきました。
「よっしゃー！ホンマや、おったおった！」
すごい勢いでイノシシに近づき歓声を上げるTさん。
私は焦って追いかけて行きます。

この、こわいものしらず！

しかし、いざ近づいてみると猪は後ろ足に罠がかかり、急斜面にほぼ逆さづりになったような形で立っていました。
これなら何とかなりそうです。



やっつける私、応援するTさん。
励まされてさらに頑張る私。
弱ったイノシシに、Tさんが口輪をうまくはめての援護射撃！
これでなんとかとどめをさすことができました。

よかったー！
Tさんありがとう！！
やっぱり２人だと心強いね。

やっつけたイノシシはTさんがガンガンひっぱって車まで引きずり出してくれました。
やっぱり男の人の力って頼りになるワー。

あとはせーので車に乗せて終了。
Tさんはさわやかに去って行きました。
あんたはスーパーヒーローか！
ありがとう、Tさん・・・（涙）

しかし、そのあとふたたび新たなる戦いが始まろうとは夢にも思っていませんでした・・・。

つづく