葛の花

これもまた夏の思い出話になりました。

9月に入るとどこからともなく葛の花のよい香りがしてきます。
甘酸っぱいような独特の香りです。
そうしてよく見ると、濃く繁った葛の葉っぱのあいまにちょこんと紫色の花が伸びているのです。

葛は古くから薬草として知られています。
葛の根は葛根（かっこん）といって風邪の薬にもなると言われていますが、花にも薬効があるそうです。
肝機能を高め、服用すればお酒に強くなるとか…。

いつかそんな葛の花を集めて、葛の花酒を作りたいと長い間思っていました。
そして、今年こそは実行だ！と勢い込んで葛の花採集に出掛けました。



案外と近いところにたくさんありますが、だいたいは道沿いです。
車が多く通るところは採集には向きません。
排気ガスのかからない、少し離れた場所によい葛原をみつけました。



珍しく白い葛の花もありました。

綺麗な花ですが、その芳香のせいか集まる虫もたくさんいます。
できるだけきれいなものを選んでせっせと集めます。
使うのは咲きすぎたものでも、つぼみでもなく今がちょうど花盛りというところです。
葛は下から順番に咲いて行くのでちょうどよいところは案外少なく、集めるのはなかなかの苦労です。



家に戻って花をひとつひとつ摘みとり、洗って瓶に入れます。
色も香りも何とも言えないよいものです。



花ばかり集めると、いかにも贅沢な感じがしますね。



ここへ砂糖と水を入れ自然に発酵するのを待ちます。
初めてなので勝手がよくわかりませんが、今回はあまり発酵が進まなかったのでパンのイーストを少しだけ加えました。
ちょっと糖度が高すぎたのがあまりよく発酵しなかった原因かもしれません。

数日弱い発酵が続き、腐敗もしなかったようなので花を濾して瓶詰めをしました。



なんというきれいな色でしょう。
花の色がそのまま映ったような不思議な色に仕上がりました。

中身は発酵が弱かったのでアルコール分はほとんどなく、酵素ジュースになってしまったようです。
恐る恐る味見をすると、甘酸っぱくてなんかオイシイ！！
ちょっと感動しました。

しかし、ぐびぐび行くにはちょっとためらいがあります。
じつは、急いで仕込んだために十分に花を洗えていなかったようで何匹かの虫も一緒に漬けこんでしまったのです。
おいしいけれど、飲むにはためらわれる…罪作りなものが出来上がってしまいました。

葛の花ジュース、誰か一緒に飲みませんか…。