TBS、ネット戦略加速――電通・アマゾンと新型通販(楽天TBS)

2005年10月24日 | 通販/モール
 楽天から経営統合の提案を受けたTBSがインターネット分野で提携戦略を加速している。電通との提携第一弾として放送とネット通販を組み合わせたサービスを開発し、ネット通販で楽天と競合するアマゾンジャパン(東京・渋谷)とも組む。NTTグループなどとは番組のネット配信を始める。楽天の提案を拒否した場合に、独自のネット戦略を描けることを示す狙いとの見方も出そうだ。
 電通と共同開発したのは、地上デジタル放送の番組に登場する商品をテレビ画面上の案内に従ってリモコンを操作するだけでネット購入できるシステム。地上デジタルのデータ放送とネットの双方向性を組み合わせて実現した。携帯電話やパソコンを使わずに生放送の番組で紹介する商品をネット購入できるサービスは国内初という。
 アマゾンとも協力し、十一―十二月に情報番組「王様のブランチ」(毎週土曜日放送)で実証実験する。番組で商品を紹介すると、データ放送が商品の詳しい仕様や価格などを伝え、連動するアマゾンのサイトで実際の購買を行う仕組み。約三十種類の商品を販売する。
 今年二月に起きたライブドアとフジテレビジョンの攻防戦を契機に、TBSは今春から安定株主の確保を進めてきた。九月には電通、ビックカメラ、三井物産などに対して第三者割当増資などを総額約二百八十億円実施した。かねて複数のネット関連企業とそれぞれの得意分野ごとに提携する戦略を志向していたTBSは、増資を契機に安定株主との業務提携も決めた。
 今回の電通との共同開発も、九月の提携時に立ち上げて具体策を検討してきた提携委員会の第一弾の成果。ビックカメラとはネット販売など、三井物産とは携帯電話向けの地上デジタル放送サービスなどで提携し具体策を順次打ち出す方針だ。
 携帯電話サービスの新規参入企業にも資本参加した。イー・アクセスの子会社で、総務省に携帯免許の交付を申請したイー・モバイルに百億円を出資。ネット経由で携帯端末に映像コンテンツ(情報の内容)を配信するなどの新事業をにらんだ動きだ。
 十一月にはドラマなど番組のネット配信に本格的に乗り出す。NTTコミュニケーションズやKDDIなどのサイトを通じて約百本を提供する。ただ、同社が抱える豊富なコンテンツをネットで再び利用する場合には脚本家やタレントなどとの著作権処理が課題となる可能性がある。
 二十七日深夜には日本テレビ放送網が先行してネット配信「第2日本テレビ」を始める。ソフトバンクグループなどネット企業の無料映像配信サービスの普及速度も速い。TBSの提携戦略がもくろみ通りの成果を出せるかは不透明だ。