国内初、HIV除去し体外受精…血液製剤で感染の夫婦が計画

2006年12月13日 | 性感染症・検査キット
 ともにエイズウイルス(HIV)に感染しているものの子供を持つことを望む30代の夫婦が、赤ちゃんへの感染の危険性を最小限にするため、精子のHIVを除去した上での体外受精の実施を都内の病院に依頼していたことが12日、分かった。実現すれば、夫婦とも感染者の例では国内初の試みになるとみられる。

 病院は杉並区の荻窪病院。主治医の花房秀次血液課部長が11月に院内の倫理委員会に実施を申請、検討が進んでいる。

 夫婦は関東在住で、ともに成人前に血液製剤で感染。免疫状態は良好なため抗ウイルス薬を服用していないが、「性交渉による妊娠だと、妻の安定した状態が、夫の強いウイルスに感染することで悪化する恐れがある」(花房部長)という。

 花房部長らのチームは、試薬や遠心分離などで精液からHIVを除去する技術を開発。夫が感染者のケースで生まれた37人の赤ちゃんと妻に、感染例はないという。

 同部長によると、受精前の卵子はウイルスに感染することはなく、母子感染率も陣痛前に帝王切開することなどで0.5%に抑えられるという。