涙そうそう・・・の気分

2005-03-08 | Weblog
季節の変わり目に風邪をひくと治りにくいという悪い癖が出て
しっかり居座られています。ノドから今度は鼻水・・・
(といっても、本人は至って元気です!
ただでさえティッシュを手放せない状態なのに、家にいてばかりで
退屈だからと読書を始めたら、とんでもなく泣ける本でした
涙をぬぐい鼻をかみながら目は活字を追い続け一気に読了し・・・
あふれ続ける涙で、丁度帰宅した主人に「どうしたの?」と聞かれる程。。
   
さだまさしの小説『眉山(ビザン)』です。
新聞の書評欄でも紹介されていたので先日買っておいたもの。

昔から"歌手さだまさし"のファンでした。
でも小説家としての第一作『精霊流し』を手に取ったのは
話題になった時期をかなり過ぎて、次の『解夏』が出版されてからでした。
自伝的といわれる第一作とは違う作品が登場したことで
"小説家さだまさし"を読んでみたいと思うようになったのです。

読んでみれば、どちらも確かに小説なのでした、それも素敵な。。
文庫版『精霊流し』で解説者が述べている通りでした。
 「こうして文庫となり、書き手の肩書きに分け隔てのないコーナーに
  並ぶのは、この作品にとっては望ましいことだと思います。」

『解夏』はお気に入りの小説の一つです。
ドラマ化された際に少しだけ観ましたが無理に盛り上げようと
設定を変え過ぎていた感じがありました。
短編なので映画の方が原作に近いかもしれませんね。。
機会があったら映画の方を観てみたいと思います。

第三作は長編の『眉山』・・・病気の母に付き添った経験が私の
思い入れを深くさせたのは確かですが、それを割り引いても
主人公の母親の行き方に感銘を受けない人はいないと思います。
また違った意味でも大きなテーマ、一般の人には思いもかけない
決心も描かれていて考えさせられる部分もありました。
(これから読もうという方のため書かないでおきます。)

また長くなりつつあります。。
言わずもがなのことまで書いてしまう…悪い癖です
長くなりついでに、さださんについて、もう少し・・・
先ほども少し触れました母に付き添った際の思い出でもあります。

退屈な入院生活が長引いたためウォークマンを差し入れたことがあります。
操作が楽で安価だったのでカセットテープのタイプでした。
最初は母の好きな演歌を何本か、さらに姪が童謡のCDを録音して
(童謡は同室のお婆ちゃん達にも大好評でした)喜んで聞いていました。
丁度その頃私自身も毎日病院へ行く日々にだんだん滅入っていて
病院へ通うバスの中で気晴らしにCDウォークマンを聞き始めたのです。
耳に優しいクラシックを集めたCDやイージーリスニングのCDと一緒に
久しぶりにさだまさしのアルバムも買って・・・。
何気なく「こっちも聞いてみる?」とCDウォークマンを貸したのが
きっかけで母もすっかりさださんのファンになり
CDを病院に置いて帰ったりするようになりました。
少し体力が落ちてからは演歌より好んで聞いていて、その母が
嬉しそうに、こんな言葉を話したのが忘れられません。
「さださんの歌を聴いていると物語の情景が浮かぶのよ」

・・・やはり親娘だね、お母さん、好みが似ていたのね。
入院してから宮本輝さんを勧めたら喜んで読んでいた母。
さださんが小説を書いたと知ったら一番に読みたがったかも?
そんなことを考えると再び涙そうそう。。。