公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

岡潔 4

2016-04-02 21:43:17 | 日本人

『 これは心理学者は知らないんだけど、子供の生い立ちを見てますと、第4年目にはこうなりますからわかります。人とはどんなものか、子供の生い立ちを見るのが一番よくわかる。第4年目にこうなる。それが前頭葉に宿る心です。
 欧米人はこの第1の心しか知らない。しかし人にはもう1つ心がある、第2の心。心は2つしかないのです。1つじゃない、もう1つある、第2の心。この第2の心は前頭葉に宿っている。この心は無私の心です。私のない心。どういう意味かと言うと、いくら入れようと思っても私というものは入れようのない心です。それから、この心のわかり方は意識を通さない、直じかにわかる。
 それから頭頂葉に宿るというのは、中心が頭頂葉だという意味ですが、この心は頭頂葉から広がって肉体の全部を覆い、更に広がって物質的自然界の全部を覆い、更にその外に出て、およそ時というもののある所、現在、過去、未来の如何を問わず、時のある所にはこの心は必ず広がっている。こういう第2の心というのがある。』


「今は暗黒の時代なんです。みんな眠っている。、、寝ていても寝言だけは言うんです。寝言にはちゃんと文法もあるし意味も通っている。」と岡潔は「春宵十話」で正鵠を射ている。


岡潔について書くのは今度が4回目である。
自分の視点が変わるたびに岡潔の言葉の意味が立体的になって分かってくる。こういう経験は他の著作ではできない。私はこの2年ほど様々に素心を捉える視点を変えてきた。身体論、理気論、量子論、人工知能、宇宙論、どのように視点を変えても岡潔の次の言葉は正しく思う。

「心は頭頂葉から広がって肉体の全部を覆い、更に広がって物質的自然界の全部を覆い、更にその外に出て、およそ時というもののある所、現在、過去、未来の如何を問わず、時のある所にはこの心は必ず広がっている。」心の次元をこのように表現した人は恐らく岡潔が最初だろう。意識を通さない直にわかる、岡潔の第三の直感は量子論の数学的表現に似ている。場所と時間は独立した事象ではない。岡潔が描く時間は仮想なのでこの際考慮が無くても良い。


時:(空間とエネルギー)のセット:を包み込む心の霊的部分が直結している世界がある、物質的肉体はそれを操作する心も含めて抽象的写像空間に浮いた泡、時間も物質も幻影に過ぎない。その肉体を動かす心が宇宙の唯一の心ではない。岡潔が生後四年目に生じると語る心は誰もが成長とともに素心に向き合うことをやめて、その働きを忘れてしまう。隠れた次元は長く四歳の頃の分別の中にとどまる。



しかしいずれにしてもだが、誰にもわかるような形で、死の始まりの時初めてその働きを見るだろうと私は考えている。しかしその時知るのでは遅すぎるのだ。分別がもたらす自明の砦は堅固である。一生知る機会を持てない場合がほとんどであろう。自分と似た誰もが似た砦を持っているから疑いようもなく分別は一般的と考える。自明は便利である。ここは一計を案じなければ突破できない。一計とはハッキングである。

宇宙の数パーセントしか観測できていない事実(一説では5%未満*)をよく考えれば、意識の99パーセントは自分の意志では定まらないことは不自然ではない。宇宙の99パーセントは巨大な量子関数である。その実証はここにないがその方がすべてを説明し易い。詳しくは私のIKC理論を参照すること。

宇宙には人間の意識(クラスター入力による学習の強化:樹状突起上での非線形的な加算を促す(ここで役目を果たすのが、タンパク質とオルガネラの中間の大きさにあたるナノサイズの超分子集合体が個々のシナプスの情報量の重み付けを決定することが2018年東京大学坂本寛和・廣瀬謙造らによって明らかにされた)ため、個々のニューロンが持つ演算能力を高める。この演算能力獲得が可塑性によって生じることから、クラスター入力は記憶・学習能に関わる基本的な生理メカニズムであると考えられている。2012年時点の知見)に相似した(最初はランダムな入力、偶然に重なりあう入力の強化、重なりのない入力の劣化)三段階演算強化構造の巨大な多層解釈の量子関数が先にあり、その解釈の一部が今、私たちの肉体、物質に連結している。生命はこの宇宙意識の後からできた。これが私の結論だ。

* Helge Kragh (1999-02-22). Cosmology and Controversy: The Historical Development of Two Theories of the Universe. Princeton University Press. pp. 212

『人は宇宙をどのように考えてきたか―神話から加速膨張宇宙にいたる宇宙論の物語』―2015年12月― Helge S. Kragh 著・竹内 努・市來 淨與・松原 隆彦共訳 共立出版


人間の場合脳には何千億もの神経細胞があり、1つの神経細胞は約10,000個以上のシナプスで脳全体とつながっているので、10^11乗の10000倍、10^15乗程度の学習強化の基盤をもって意識を論じている。これに対して宇宙の結節の数は宇宙の始まりから量子単位で10^90乗の相互作用結節を持つ(規模にして人間の10^75乗倍、寿命にして2億倍:10^75乗✕2✕10^8乗=10^83乗倍スケールの大きい演算装置)、兆倍のさらに7度兆倍を繰り返した規模(言語で言うと1京無量大数倍)もある。
このような巨大な量子もつれの相互作用が学習強化の網の目を形成し、悠久の過去も現在も区別なく影響を及しあっている。しかも巨大な関数をリレー解釈して偶然を取り込む形で進化的に学習強化している。其の結果、ちっぽけな人間にとって答えは常に先にある。だからインスピレーションを信じることが大切であり、そこにあるから人は安心して疑問を発することができる。

岡潔の云う第三の直感や第二の心はこの関数のリレーの最終末を量子もつれ感知していることを指す。私たちの意識は見えないところで宇宙開闢以来の量子と深い関係を持っている。今日、デカルト以来、誰もが物質的前提から意識は始まり、物質的前提つまり肉体の機能消滅とともに意識は消えると信じている。しかしながら、肉体を動かす意識とその主人となる第二の心は必ずしも一体ではない。




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