公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる『万葉集の謎』安田徳太郎

2019-04-05 06:45:47 | 今読んでる本

安田 徳太郎(やすだ とくたろう、1898年1月28日 - 1983年4月22日)は、医師、歴史家。京都市生まれ。京都帝国大学医学部卒。

カッパ・ブックス昭和30年の初版である。


元号が出典万葉集からだった読んでいるわけではない。カッパ・ブックスの光文社の立役者の神吉春夫氏の熱意で実現した本である。当時、国語学者の金田一春彦が昭和31年の『文藝春秋』に、「万葉集の謎は英語でも解ける」という批判の汚し原稿を発表してレプチャ語(チベット系ヒマラヤ地方語)による万葉集解読ブームはあっという間に消えてしまった。世間の評価は稚拙な語呂合わせと言っているが、金田一春彦にひれ伏しただけである。実際読んでみるとそういうものでもない。レプチャ語、サンスクリット語、マラヤ語を駆使すると{雪やこんこん}の不明な{こんこん}まで解明できる。落語時蕎麦で有名な数の取り方『16文の料金を支払う。ここで、「おい、蕎麦屋さん。生憎と、細けえ銭っきゃ持ってねえんだ。落としちゃいけねえ、手え出してくれ」と言って、主人の掌に一文銭を一枚一枚数えながら、テンポ良く乗せていく。「一(ひい)、二(ふう)、三(みい)、四(よう)、五(いつ)、六(むう)、七(なな)、八(やあ)」と数えたところで、「今何時(なんどき)でい!」と時刻を尋ねる。主人が「へい、九(ここの)つでい」と応えると間髪入れずに「十(とう)、十一、十二、十三、十四、十五、十六、御馳走様」』と逃げて行くひいふうみいも解読を試みている。 安田徳太郎は日本の民族のベースを少なくとも三回以上のチベットベンガルインドシナ海上ルートから間を置いて流入があったと想像した。このように日本語の謎が解ける副産物の発見も含まれている安田徳太郎の研究は再評価が必要だと思う。併してそれから60余年最近の遺伝子研究ではY染色体の*ハプログループDが日本人とチベットで近く、インドベンガル湾の諸島アンダマンとチベットと関東東北以北日本人という分布を持つという科学的再発見が安田徳太郎の真面目な研究を再発見させる可能性がある。


レプチャ語(レプチャご)またはロン語(ロンご)は、インド中国に挟まれたシッキム(現在はインドの州)で話されている言語である。言語学的にはシナ・チベット語族チベット・ビルマ語派に属する。表記にはチベット文字を元に18世紀初頭に作られたレプチャ文字を用いる。

日本語の起源はレプチャ語であるとする安田徳太郎の『万葉集の謎』がベストセラーになり一時話題になったことがあるが、実際は稚拙な語呂合わせに過ぎなかったと言われている。近年の調査で、アジアの限られた地域でしか見つかっていないハプログループD (Y染色体)はチベット、アンダマン諸島、日本等に多いことが知られている。レプチャ語はチベットの一地方語。


 



ハプログループD (Y染色体)(ハプログループD (Yせんしょくたい)、英: Haplogroup D (Y-DNA))とは、分子人類学で用いられる、人類のY染色体ハプログループ(型集団)の分類で、YAPと呼ばれる変異の型を持つもののうちの「M174」に定義されるものである。

ハプログループDは、現在の日本や中国、朝鮮、東南アジアにおいて多数派的なハプログループO系統や、その他E系統以外のユーラシア系統(C,I,J,N,Rなど)とは分岐から7万年以上の隔たりがあり、非常に孤立的な系統となっている。D系統は東アジアにおける最古層のタイプと**想定できる。
**Shi, Hong; Zhong, Hua; Peng, Yi; Dong, Yong-li; Qi, Xue-bin; Zhang, Feng; Liu, Lu-Fang; Tan, Si-jie et al. (October 29, 2008). “Y chromosome evidence of earliest modern human settlement in East Asia and multiple origins of Tibetan and Japanese populations”. BMC Biology (BioMed Central) 6: 45. doi:10.1186/1741-7007-6-45. PMC 2605740. PMID 18959782 2018年8月4日閲覧。


系統1に属する日本人Y染色体の変異を詳細に解析したところ、系統1はYAP (注3)という特徴的な変異をもつY染色体ハプログループD1b (注4)に対応していることが示された。YAP変異は、形態学的に縄文人と近縁と考えられているアイヌ人において80%以上という高い頻度で観察されることが知られている。渡来系弥生人の主な母体である韓国人集団や中国人集団には系統1に属するY染色体が観察されなかったことも踏まえると、系統1のY染色体は縄文人に由来すると結論できる。》 発表雑誌 雑誌名 Scientific Reports 論文タイトル Analysis of whole Y-chromosome sequences reveals the Japanese population history in the Jomon period 著者 Yusuke Watanabe, Izumi Naka, Seik-Soon Khor, Hiromi Sawai, Yuki Hitomi, Katsushi Tokunaga, Jun Ohashi* DOI番号 10.1038/s41598-019-44473-z 用語解説 注1 Y染色体 男性がもつ性染色体の一つであり、性別決定に重要なSRY遺伝子を含む。父性遺伝するため、集団遺伝学的研究ではY染色体の系統は父系を反映する遺伝マーカーとして利用される。 注2 系統解析 塩基配列またはアミノ酸配列を比較し、配列間の進化的関係(分岐のパタン)を調べる統計学的手法。 注3 YAP Y-chromosome Alu Polymorphismの略。Y染色体の長腕部にある約300塩基からなるAlu配列の挿入変異。アフリカ人集団にも観察されることから、アジア人の祖先がアフリカを出る前に誕生した変異と考えられている。 注4 Y染色体ハプログループD1b Y染色体上の多型サイトの組合せによって分類される系統をハプログループといい、YAP変異をもつハプログループDの下位系統の1つ。 注5 ミトコンドリアDNA 細胞小器官であるミトコンドリア内にあるDNA。母性遺伝するため、集団遺伝学的研究では、ミトコンドリアDNAの系統は母系を反映する遺伝マーカーとして利用される。 注6 遺伝子系図解析 全ての生物において、親の遺伝子が複製されたコピーが子どもに伝わる。したがって、時間を遡って遺伝子コピーの親を辿っていくと、最終的に一つの共通祖先遺伝子に到達する。この過程を表現したものを遺伝子系図といい、遺伝子系図からその集団の人口の変化を推測することができる。

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