おやぢタイプ

音楽とマラソンと、時々、映画と府中

のぼうの城

2010-11-15 02:16:52 | Book
以前から読みたかったが手を出してなかった小説がある。
和田竜の書いた歴史小説『のぼうの城』だ。
単行本だと通勤時にかばんに入れるのはかさばるので、文庫本が出たら読もうと思っていた。
10月についに文庫本が発売され、早速買って読んだ。
累計100万部突破というベストセラーだが、本当におもしろいのだろうか?

まずあらすじを紹介しておこう。
豊臣秀吉が関東の雄、北条家攻めを行った際、石田三成にその支城である武州、忍城(おしじょう)攻めを命じる。
周囲を湖で囲まれた難攻不落のこの城攻めには2万の大群が投入された。
一方、迎え撃つのは百姓も含めわずか500名あまり。
この軍勢を率いるのは領民から「のぼう様」と呼ばれる城代、成田長親。
実はこの城代、ただ大きいだけで役に立たずな、でくのぼうの「のぼう様」だが、不思議と領民に慕われていた。
後に「三成の忍城水攻め」として戦国史に記される壮絶な戦いがついに始まった。
果たして、忍城の運命はいかに・・・。

うん、やはりなかなか面白かったです。
でくのぼうというレッテルを貼られた「のぼう様」がたまたま城代となり、大きな節目で下した判断が戦いの流れを変えていく。
結局、最後まで掴み所がなく、人となりがよくわからなかった。
ただこの主人公がどんな活躍をしてくれるのか?という期待と意外な行動は予想がつかず楽しめた。
決して武将とは言えない無表情なこのリーダー像は全く戦国史には無かったものだ。
すべて計算ずくで忍城攻めを行う正反対の石田三成との対比がスパイスとして効いていた。
そして「のぼう様」を支える3人の武将、正木丹波守利英、柴崎和泉守、酒巻靱負の個性的なキャラがまたいい。
地の利を生かし、それぞれが活躍する様は痛快で、まるで三国史の一場面を読んでいるよう感じだった。
結局、最後まで「のぼう様」が何を考え、決断をしていたのか?、その勝算をどの程度見ていたのか?という心理描写が一切なかった。
このあたりがはっきりした方がより楽しめたのではないか?

実はこの作品、映画化されることになり、2011年秋全国ロードショー予定だ。
監督は犬童一心、樋口真嗣、野村萬斎が「のぼう様」を演じる。
原作の体が大きいだけの、でくの坊という設定には正直合っていないが、なるほどというキャスティングであることも確か。
彼がどんな「のぼう様」を演じるのかとても楽しみだ。
まあ封切されたら、きっと見にいくだろうな。
1年先が待ちきれない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿