自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表・青山繁晴参院議員)は3日の総会で、中国政府による新疆ウイグル自治区などでの深刻な人権侵害行為を踏まえ、来年2月4日に開幕する北京冬季五輪への「外交的ボイコット」を表明するよう岸田文雄首相に求めることを決めた。態度を明確にしていない政府に対し、国際社会とともに中国に強い態度で臨むよう促す狙いがある。
米国や英国、オーストラリアなどは北京冬季五輪への政府使節団などの派遣を見送る外交的ボイコットを検討しているが、首相は「日本は日本の立場で物事を考えていきたい」と述べるにとどめている。
護る会は「中国が重大な人権弾圧を重ねる中、外交使節団を北京冬季五輪に派遣すれば、人権弾圧を容認することになる。同盟国米国も含めて外交ボイコットへの参加を呼び掛ける積極姿勢に転じるべきだ」と訴えており、近く文書で首相官邸に申し入れる。
総会後、青山氏は記者団に「対中配慮が過ぎれば外交の体をなさない。現在の首相の姿勢は間違いだ」と批判。欧米諸国と外交的ボイコットで足並みをそろえる必要性を強調した。
護る会常任幹事の山谷えり子元拉致問題担当相も「人権侵害状況を放置したまま、五輪という平和の祭典を開くこと自体いかがなものか。積極的に外交的ボイコットを検討すべきだ」と主張した。
また、総会では今年の通常国会で見送られた中国の人権侵害行為に対する非難決議について、今月6日召集の臨時国会での採択を求めることで一致した。「国会の鈍い動きは国際社会に対して誤ったメッセージにつながる」として、茂木敏充幹事長ら党幹部に対し、各党と調整するよう申し入れる考えだ。