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その後の『アルプスの少女』~石川淳による短編小説

2006-06-21 15:37:33 | 本 木月ン月(ほんだンナ)

この度めでたく実写化された『ハイジ』で思い出しました。

押入れの中から、高校時代の現代国語の教科書を発掘。
当時教わっていた、他称“現国ゲンちゃん”という若い先生は、かなりの読書家。
しかし、偏っていたような…。
安部公房氏を尊敬し、松尾芭蕉師を「あんな句、旅行すれば誰でも書けますね」と言い…。(オイオイ…いいの?教師でしょ^^;)
中間テストは几帳面な細かい字で横書き!解答用紙も横書きヨ

で、タイトルに戻るのですが…。
そんな先生なので、教科書を初めから順番に講義するはずはなく、プリント教材で授業と言うことが多々ありました。
しかし、数少ない教科書使用の授業で『アルプスの少女』(石川淳)を取り上げたのが、記憶に残っていました。
何故覚えているんでしょう?
うーん…。TVアニメは見てなかったけど、イメージとしてあった『アルプスの少女』とあまりにもかけ離れていたからでしょう。
物語は、誰でもクララの奇跡の話を知っている。知らない者はない、という『アルプスの少女』のその後です。
 
 【簡単なあらすじ】
 クララの足は自ら立つことを知り、動くことを知った。そして、ふもとに下り、遠くの町に行く。
 そこにあったのは、いくさであった。
 その地で偶然出会った兵士はペーテル。クララとペーテルは二人で、もとの山に戻りますが……。

童話が寓意的というのであれば、これぞまさしく子供向きでない童話。
ハイジは登場しますが、いつも不在として存在。単なるイメージでしかありません。
アルムじいさんも同様。実体を失った透き通ったような存在。
象徴として、消え残った水のしずくや、空高い虹。
美しいけれども、手に取ることはできない映像です。
登場人物でいえば、もう一人、牧師様も登場しますが、かなり諷刺的。
神の代理人であるはずの牧師は、いくさを高見の見物しているうちに、まっさかさまに塔から落ちて、頸の骨を折るのですから…。
  
石川淳 いしかわじゅん 
  1899(明治32)~。(筆者注:昭和50年当時の記事なので存命中。昭和62年逝去)
  斬新な発想、象徴的な手法による作品世界を形造っている。
  本文は、『黄金伝説』(昭和29年刊)によった。
         ㈱明治書院 昭和50年発行『現代国語二』より


この『アルプスの少女』今でも読めるようです。
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こことかこことか。

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1 コメント

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石川淳 (ちひろ)
2016-12-08 01:13:16
はじめまして。
10年も前の記事にコメントなどしても、
読んでくださらないだろうなぁと思いつつも、
石川淳「アルプスの少女」が高校時代の現代国語(現国と短縮していたっけ)に
載っていたという事実をご存知の方に出会えた嬉しさから、
つい、足跡を残したくなりました。
きっと同世代の方かなぁと。

この小説を教科書で読んだときの違和感というか不思議な感じは、
ン十年を経ても色あせずに心のどこかで覚えていて、
つい先日、図書館で見つけて再読しました。
というか、よくぞ再びめぐり逢せてくれた、と。

私の借りたのは「おとしばなし集」という文庫で、
昭和52年一刷りというから、多分もう絶版だろうなぁとあきらめていたところ、
今も収録されている書籍をご紹介くださり、嬉しくなりました。
どうもありがとうございます。
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