
Story
1968年、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は長年仕えたハーレムの黒人ギャングのボスの死後、独自の麻薬ビジネスを展開する。やがて大物マフィアをも出し抜く成功を手にするが、目立たないことを信条にする彼の素顔はベールに包まれたままだった。一方、汚職がはびこる警察組織の中で正義を貫こうとする刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は新設された麻薬捜査チームのリーダーに任命され、ドラッグ市場を牛耳る謎の人物に迫って行くのだった。(goo映画より)
2007年/アメリカ/リドリー・スコット監督作品

評価 ★★★★★
リドリー・スコットとラッセル・クロウが再びタッグを組んだアクション・ドラマ!
!!!ネタバレ注意!!!
時はあたかもベトナム戦争末期。ジョンソンからニクソン政権へと移り変わって行く時期を背景としています。ちょうどこの頃、麻薬取締局DEAが創設され、当局対犯罪組織の麻薬戦争も新たな局面に突入していきます。
フランクのボスのバンピー・ジョンソンがディスカウントストアなどの進出で変わりゆく街の様子を嘆きつつ逝ってしまう。ボスの嘆きに反してフランクは生産者から直接仕入れてさばく、という麻薬取引の新しいビジネスモデルを立ち上げ、瞬く間にNYの麻薬市場を手中に収める。当然、これまでのやり方が通用しなくなった他の組織にとっては邪魔な奴となります。
一方のリッチーは、賄賂を受け取らないという点で警察組織の中でははみ出し者。賄賂が常態化している中、悪徳警官との対立は避けて通れない運命です。彼が夜学で司法試験の勉強をしているのもキャラクター設定上重要な意味を持っています。
こうしてみると、この映画は、刑事対麻薬王という単純な図式に留まらず、変革者と旧勢力の対立、あるいは、進取の者と取り残される者の闘いをテーマに描いていると考えられます。リッチーが新製品の電子レンジに見入るシーンがなにげなく挿入されていますが、この電子レンジが映画のテーマを明らかにする重要なメタファーに見えました。
このような緻密な状況設定をした上で、リッチーとその麻薬捜査チームがじわじわとフランクに迫って行く過程が緊迫感たっぷりに描かれています。そのリッチーたちが、アジトに踏み込む場面は、近来まれにみる盛り上がりで魅せられます。ここのアクションシーンは、派手さはないものの凄い迫力です。それは、観客達がいよいよ来るぞ!というような感情の高まりの頂点に達したところで、アクションが始まるためです。最近の映画はこの辺をすっかり忘れて特殊効果に頼りっぱなしだから、全然盛り上がらないんですよね。
様々な点でリッチーの立場はフランクとだぶるものがあります。その二人がついに相まみえる教会の場面はすごくクールにきまっていました。犯罪者と刑事が最後まで対面しないというのも面白い設定で、この後の二人の協力関係の導入部として計算されつくした展開です。
怒濤のクライマックスの後は、15年の刑期を終えて街中に悄然と佇むフランク。バックに流れるヒップホップ。今度はお前が時代遅れだ!どうするフランク?

評価 ★★★★★
デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ、2大オスカー俳優のガチンコ対決!
いやー、面白かった!久しぶりに面白い映画を観て興奮しました。
この映画がここまで面白くなった理由は、まず、物語がしっかり描かれていることと、主役の二人の男、フランクとリッチーのキャラクターが実に魅力的に仕上がっていることが挙げられます。
デンゼル・ワシントン演じるフランクは、一介のギャングから麻薬王の座に上り詰めた男で、目的のためには手段を選ばない冷酷無比な人物。しかし、生活はいたって真面目で、家族思いの優しい人物としても描かれています。一方、ラッセル・クロウ演じるリッチーは、女にだらしなく、妻とは息子の親権をめぐった離婚調停中のなさけない刑事ですが、腐敗しきった警察内部で確固たる信念を持ち、絶対に賄賂は受け取らない正義感あふれる人物としても描かれています。
この一見、対照的な二人の男が、物語が進むにつれて追う者と追われる者になり、両者の物語が交互に展開しながらジリジリと緊迫したラストに持っていく手法は見事でした。
リドリー・スコットは、何度もラッセル・クロウとタッグを組んで映画を撮っているだけあって、この作品もどちらかというとラッセルびいきのような気がしました。ラッセルはデンゼルに比べると出番は少ないですが、彼の出ているシーンや台詞の方がとても印象に残っています。例えば、シーンでいうと、ラッセルが容疑者の車から大金を発見して、着服せずにあからさまに署内でお札を数えるシーンとか、麻薬加工場を突き止めて令状を持って踏み込むシーンなど、ラッセルの方が見せ場となるシーンが多かったからかもしれないですね。
それから印象に残った台詞というのは、ラストのラッセルとデンゼルの取調室での対決シーンです。逮捕されたデンゼルが、自分を捕まえたらお前の身が危ないぞ、と脅すのに対して、ラッセルが少し間を置いてから言う台詞。「俺を殺したい奴はたくさんいる。列に並べ。」この台詞、とても格好良くてシビレました~。麻薬王のフランクの脅しにもひるまない、確固たる信念を持ったリッチーという人物の人柄が出ているようで、とても格好良い台詞でした!こういう台詞を言っても全く違和感のないラッセルは本当に演技が上手い。
小津安二郎の映画を観ても思ったのですが、本当に面白い映画というのは、wancoも言っていたように、奇抜な台詞や演出など一切なくても、物語を描くだけで心に残る、強いメッセージを打ち出す映画のことだと思いました。この映画は、まさにそういった映画の素晴らしい見本となる映画です。157分という長尺にもかかわらず、無駄なシーンが一切なく、シーンの切り換えだけで登場人物の置かれている状況などがきちんと分かるように描かれています。台詞で説明する映画が多いなかで、こういった、まっとうな映画は大好きですね。久しぶりに面白い映画を観て、大満足のnyancoでした!
アメリカン・ギャングスターを10倍楽しむおまけコーナー!
フランクが頂点に上り詰めてお金を数えているシーンに、タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』のテーマ曲「110番街交差点」が使用されていました。この曲でグッと盛り上がりましたね♪
ベトナムルートで麻薬を持ち込むのは、メル・ギブソンの『リーサル・ウェポン』のパート1でも描かれていました。『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』でジョン・ローンが麻薬を仕入れていたのもこの映画と同じ地帯と思われます。
悪徳警官のトルーポ刑事の風貌が、シドニー・ルメット監督の社会派ドラマ『Q&A』のニック・ノルティーにそっくり。絶対にパクリと見ました!
麻薬の加工工場で女性たちが麻薬を盗まないように裸で働くのは、マリオ・ヴァン・ピープルズ監督の『ニュージャック・シティ』でも描かれていました。今にして思えば、ウェズリー・スナイプスが演じた麻薬王は実在したフランクがモデルだったのかな?
エンドロールの後で、観客に向かってデンゼル・ワシントンが銃を撃つのは、世界初の劇映画『大列車強盗』へのオマージュのように思いました。(『大列車強盗』でもラストで悪党が観客に向かって銃をぶっ放します。)
映画『アメリカン・ギャングスター』公式サイト
(「アメリカン・ギャングスター」2008年2月 甲府市 グランパーク東宝8にて鑑賞)
1968年、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は長年仕えたハーレムの黒人ギャングのボスの死後、独自の麻薬ビジネスを展開する。やがて大物マフィアをも出し抜く成功を手にするが、目立たないことを信条にする彼の素顔はベールに包まれたままだった。一方、汚職がはびこる警察組織の中で正義を貫こうとする刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は新設された麻薬捜査チームのリーダーに任命され、ドラッグ市場を牛耳る謎の人物に迫って行くのだった。(goo映画より)
2007年/アメリカ/リドリー・スコット監督作品

評価 ★★★★★
リドリー・スコットとラッセル・クロウが再びタッグを組んだアクション・ドラマ!
!!!ネタバレ注意!!!
時はあたかもベトナム戦争末期。ジョンソンからニクソン政権へと移り変わって行く時期を背景としています。ちょうどこの頃、麻薬取締局DEAが創設され、当局対犯罪組織の麻薬戦争も新たな局面に突入していきます。
フランクのボスのバンピー・ジョンソンがディスカウントストアなどの進出で変わりゆく街の様子を嘆きつつ逝ってしまう。ボスの嘆きに反してフランクは生産者から直接仕入れてさばく、という麻薬取引の新しいビジネスモデルを立ち上げ、瞬く間にNYの麻薬市場を手中に収める。当然、これまでのやり方が通用しなくなった他の組織にとっては邪魔な奴となります。
一方のリッチーは、賄賂を受け取らないという点で警察組織の中でははみ出し者。賄賂が常態化している中、悪徳警官との対立は避けて通れない運命です。彼が夜学で司法試験の勉強をしているのもキャラクター設定上重要な意味を持っています。
こうしてみると、この映画は、刑事対麻薬王という単純な図式に留まらず、変革者と旧勢力の対立、あるいは、進取の者と取り残される者の闘いをテーマに描いていると考えられます。リッチーが新製品の電子レンジに見入るシーンがなにげなく挿入されていますが、この電子レンジが映画のテーマを明らかにする重要なメタファーに見えました。
このような緻密な状況設定をした上で、リッチーとその麻薬捜査チームがじわじわとフランクに迫って行く過程が緊迫感たっぷりに描かれています。そのリッチーたちが、アジトに踏み込む場面は、近来まれにみる盛り上がりで魅せられます。ここのアクションシーンは、派手さはないものの凄い迫力です。それは、観客達がいよいよ来るぞ!というような感情の高まりの頂点に達したところで、アクションが始まるためです。最近の映画はこの辺をすっかり忘れて特殊効果に頼りっぱなしだから、全然盛り上がらないんですよね。
様々な点でリッチーの立場はフランクとだぶるものがあります。その二人がついに相まみえる教会の場面はすごくクールにきまっていました。犯罪者と刑事が最後まで対面しないというのも面白い設定で、この後の二人の協力関係の導入部として計算されつくした展開です。
怒濤のクライマックスの後は、15年の刑期を終えて街中に悄然と佇むフランク。バックに流れるヒップホップ。今度はお前が時代遅れだ!どうするフランク?

評価 ★★★★★
デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ、2大オスカー俳優のガチンコ対決!
いやー、面白かった!久しぶりに面白い映画を観て興奮しました。
この映画がここまで面白くなった理由は、まず、物語がしっかり描かれていることと、主役の二人の男、フランクとリッチーのキャラクターが実に魅力的に仕上がっていることが挙げられます。
デンゼル・ワシントン演じるフランクは、一介のギャングから麻薬王の座に上り詰めた男で、目的のためには手段を選ばない冷酷無比な人物。しかし、生活はいたって真面目で、家族思いの優しい人物としても描かれています。一方、ラッセル・クロウ演じるリッチーは、女にだらしなく、妻とは息子の親権をめぐった離婚調停中のなさけない刑事ですが、腐敗しきった警察内部で確固たる信念を持ち、絶対に賄賂は受け取らない正義感あふれる人物としても描かれています。
この一見、対照的な二人の男が、物語が進むにつれて追う者と追われる者になり、両者の物語が交互に展開しながらジリジリと緊迫したラストに持っていく手法は見事でした。
リドリー・スコットは、何度もラッセル・クロウとタッグを組んで映画を撮っているだけあって、この作品もどちらかというとラッセルびいきのような気がしました。ラッセルはデンゼルに比べると出番は少ないですが、彼の出ているシーンや台詞の方がとても印象に残っています。例えば、シーンでいうと、ラッセルが容疑者の車から大金を発見して、着服せずにあからさまに署内でお札を数えるシーンとか、麻薬加工場を突き止めて令状を持って踏み込むシーンなど、ラッセルの方が見せ場となるシーンが多かったからかもしれないですね。
それから印象に残った台詞というのは、ラストのラッセルとデンゼルの取調室での対決シーンです。逮捕されたデンゼルが、自分を捕まえたらお前の身が危ないぞ、と脅すのに対して、ラッセルが少し間を置いてから言う台詞。「俺を殺したい奴はたくさんいる。列に並べ。」この台詞、とても格好良くてシビレました~。麻薬王のフランクの脅しにもひるまない、確固たる信念を持ったリッチーという人物の人柄が出ているようで、とても格好良い台詞でした!こういう台詞を言っても全く違和感のないラッセルは本当に演技が上手い。
小津安二郎の映画を観ても思ったのですが、本当に面白い映画というのは、wancoも言っていたように、奇抜な台詞や演出など一切なくても、物語を描くだけで心に残る、強いメッセージを打ち出す映画のことだと思いました。この映画は、まさにそういった映画の素晴らしい見本となる映画です。157分という長尺にもかかわらず、無駄なシーンが一切なく、シーンの切り換えだけで登場人物の置かれている状況などがきちんと分かるように描かれています。台詞で説明する映画が多いなかで、こういった、まっとうな映画は大好きですね。久しぶりに面白い映画を観て、大満足のnyancoでした!
アメリカン・ギャングスターを10倍楽しむおまけコーナー!






映画『アメリカン・ギャングスター』公式サイト
(「アメリカン・ギャングスター」2008年2月 甲府市 グランパーク東宝8にて鑑賞)
わあ!
ご夫婦揃って満点ですね!
それってかなり珍しいのではないですか?
私も大満足だったので、夫を誘って二回目の鑑賞をする予定です。
パンフ保存の記事にアクセスして頂き、ありがとうございました。
パンフについた手垢などですが、せいぜいティッシュで拭き取るくらいで、あきらめてしまってます。^^;
あとは、汚れるのがいやな場合は買って来てすぐにクリアポケットでカバーしたりしてます。
そんなわけで、あまり参考にならずすみません。
ギャングスターは、僕も久しぶりに興奮しました!こういう映画に出会えるから映画ファンはやめられませんね。
それでは、これからもよろしく!
いつもコメントありがとうございます。
そうなんです~。二人揃って満点というのは本当に珍しいですね!
それだけ、この映画に酔いしれてしまいました♪
旦那さんを誘って2回目の鑑賞、いいですね~。
この映画は何度観ても楽しめそうです。
おまけコーナーもいいですね~俺の知らないことばかりで驚きの連続。
もしかして俺って麻薬モノの映画が苦手ってことなのかな・・・
面白かったですね~
長さを感じさせない見応えある映画でした。
私も『俺を殺したい奴はたくさんいる。列に並べ』というセリフは印象に残りました。カッコよかったですよね♪
エンドロール後のワンシーンは、何だったのかな・・・と思ったのですが、そういう秘密があったのかもですね。
色々考えると面白いですね
私も、この映画には大満足でした
実話ベースの映画の多くは、
物語を淡々と描いているだけなので、
あまり衝撃的な感動を受けた事はないのですが、
この映画は違いました
最後の最後まで、
男たちのドラマに惹きつけられっぱなしで、
映画を観始めた時の汚職に対する嫌悪感も、
見事に感動や興奮に変えてくれる作品でしたね
そうなんです!久々に夫婦そろっての満点となりました~。
おまけコーナーはとてもマニアックでしょう(笑)。
ほとんどがwancoが知っていた情報で、改めてwancoの映画オタクぶりにビックリしたnyancoです。。
早速、コメントありがとうございます~。
本当に上映時間が長いにもかかわらず、見応えのある面白い映画でした!
どちらかというと、私もラッセル・クロウびいきで観ていたせいか、その台詞には思わずグッときてしまいましたよ。。^^;
あの取調室での対決シーンはちょっと短かったので、もっと二人の対決が観たかったですね~。。
エンドロール後のシーンの秘密は、wancoがおまけコーナーでそう言っているのですが、もし本当にその通りだとしたら面白いですね。
コメントとTBありがとうございました!
私も久しぶりに大満足の映画でしたよ♪
本当に、汚職に対する嫌悪感を、ラストでは感動や興奮に変えてくれる映画って凄いですよね~。
かえって、実話だということもこの映画を余計に面白くさせた要因なのかもしれません。
また、主役の二人はもちろんですが、脇役にいたるまでキャストも良かったせいか、最後の最後まで画面に釘付けになりました~。
物語といい、音楽に、キャストと、こんなに揃った映画はなかなか珍しいなーと思いました♪