国際交流のススメ

舞台芸術・海外公演に関する情報をニューヨークから発信します。

グルメアイランド・北海道って

2009年12月16日 | アメリカ徒然日記
 
ライトアップされた札幌TV塔。東京タワーに似てますね。



昨日、小樽から札幌に移動しました!小樽ー札幌間は電車で30分ほどの距離なんですけど、自然の状況がかなり違いますね。小樽のほうがオホーツク海(ですよね?)に面していて、やっぱり自然が身近で厳しいんじゃないかなと感じました。都会と港町の差もあるかな。北海道って不思議ですねえ。なんか外国に来たみたいな気分になります。なんでかな?やはり北海道民は、北海道とそれ以外を内地・外地と呼ぶ文化的背景によるところが大きいのでしょうかね。



快速エアポートの車内からオホーツクの海岸を見る。自然が厳しくも美しいですねえ。



夜にラーメンズの小林さんの公演を見に行く予定にしていたので、それまで街を散策することに。まずはホテル近くの札幌時計台に。まあ、定番ですからね、通り道にあったので、押さえておきました。





そして公演前のメインイベントは、そう!札幌ラーメン!!今回の旅の目的は小林さんのソロアクトを観劇することでしたが、せっかくなので1日早く北海道入りして小樽・札幌とぶらぶらしてみることにしたのですが、北海道といえばやはりグルメ!小樽では寿司!小樽は寿司屋通りがあるほどお寿司が有名な町。それから海の幸満載の海鮮丼!!小樽ビール!!

そしてここ札幌では、当然、札幌ラーメン!グルメ情報をチェックしてホテルとススキノの間ぐらいにある一国堂へ!


  


うーん、普通に美味しかったですけど、いわゆる“札幌ラーメン”って何味なのかしら?やっぱり塩バターラーメンかな?とも思ったけど、味噌ラーメンという意見もあるし、サッポロ一番といえば醤油ラーメン・・・。で一国堂では・・・基本的に全部の味がありました・・・。なので僕が一番好きな味であるとんこつ醤油を頼むことに。いや美味しかったです。でもね、和歌山出身の僕には、やはりとんこつ醤油といえば“和歌山ラーメン”が一番なので、味噌とかにしておいたほうが良かったかな?なんて後から思いました。しかし堪能しましたー!今日はジンギスカンです!!!わははははー



北海道って

2009年12月14日 | アメリカ徒然日記



実は日本に休暇で来ています。火曜に東京について、庭劇団ペニノ、ぽかりん記憶舎、指輪ホテル、そしてパパタラフマラを観劇し、週末を友人の子供の誕生会で過ごしてから、今日北海道へ飛びました。羽田から利用したのは初となるエアドゥー!いや、やっぱり安いですね。ANAやJALより5ー6000円は安いですね。北海道なんてしょせん1時間ぐらいで到着ですからね。飛行機は安いほうが良いです。少々早めに羽田についたのでカツサンドを肴にビールを飲むことに。





いや、日本は気楽でいいですね。どこでもビールが飲めます。アメリカは公の場所での飲酒は法律で禁止されています。ですから、売店でビールを買って公園で飲む、路上で飲む、空港ロビーで飲む、なんてことはできません。ですから、アメリカでは日本のような花見はできないのです。空港であれば酒類販売の許可を持ったバーやレストランの中でだけ飲酒可能です。

浮いた浮いたの千鳥足で搭乗。席に着くなり午睡を楽しみ離陸したことも気がつきませんでした。そして、あっという間に北海道。千歳空港からはJR快速エアポートと呼ばれる急行にのって小樽へ。





ここまでは特に感慨もなかったのですが・・・

はっと気がつくと電車は海沿いを走っていたのですが、窓の外の景色に思わず絶句・・・それがこれだーーーーー!!!




おお!さすが北海道!!
大自然ですにゃ!!
もっといっぱい写真撮ったのですが、容量が大きくてアップできませんでした。
サイズを変えるソフトをこのパソコンに入れていないので・・・。
さらなる写真はまたの機会にー。

にゃにゃにゃー

淡路人形浄瑠璃座北米ツアーって(5)

2009年12月11日 | 海外公演



さて、久々に淡路人形浄瑠璃北米ツアーについてです。前回は米国私立大学の雄・アイビーリーグの一角、コーネル大学での公演について書きました。ツアーも終盤に差し掛かり、次なる訪問地はマサチューセッツ大学です。ここは州立の大学ですが規模はかなり大きなマンモス大学です。ここでも主催はアジア・スタディーズというアジアの歴史や文化、言語や政治などを研究する部門です。もちろん劇場学部もあって演劇だけでなく、コンテンポラリーダンスの学科もあり公演も行われています。過去には笠井叡さんがこの大学で“花粉革命”だっかの公演をしています。僕も過去に何度か来たことがありますが、前回は確か「八王子車人形」のツアーだったと思います。

余談ですが、「八王子車人形」も歴史は淡路よりも浅いものの、古典人形芝居のグループで遣う人形も淡路や文楽のものと似ています。ここの特徴はまず、人形遣いが一人で人形を操る・一人遣いであるということ。そしてなんと言ってもこのグループがユニークなのは、その名の通り小さな台車の上に人形遣いが座って人形を操るという点です。人形の足が人形遣いの膝に固定されているので、人形遣いの足使いと同じように人形の足も動きます。

歌舞伎もそうですが、地方へ伝わるうちにそれぞれの地方で農村などに根付いたりして、継承された古典芸能が多く存在します。なかなか見る機会がないですけどねえ。八王子車人形はプロですから各地で公演活用も行っていますので機会があれば観劇されてみては?







マサチューセッツ大学では、公演以外に子供向けの特別公演や一般に向けてのワークショップなどが予定されていてなかなか盛り沢山でしたが、劇場はLA以来、久々に普通の飛び切りバトンなどもある劇場でした。ただ、キャパが800席ほどあり人形芝居としては大きめでちょっと心配しましたが、思ったよりも客席が遠くなく、ただ字幕がプラズマでは見えにくいかもとのことで、スクリーンを吊って字幕は映写することにしました。大学の劇場ではしばしばあるのですが、ここでも主だった管理スタッフ以外のスタッフは学生がバイトで働いていました。まあ、ちょっと技量やスピードで不十分なこともありますが、これも経験ですからね。若い彼らと仕事するのも楽しいこともありますしね。劇団の皆さんもアメリカの劇場に慣れてきて、仕込みも素早く完了し、その分早く終わって飲みに(食事に)行くことに。地ビールが飲めるお店に皆で行きました。





舞台も無事綺麗に飾れて、いよいよ公演ですが、1回目の公演は内容を少し変更して子供向けの上演としました。「壷坂」を抜いて変わりに人形解説を入れて60分ほどのプログラムに。近隣の小学校から400-500人の子供たちが集まりました。アメリカでは、こういった子供向けの公演やレクチャー・デモンストレーションはよく開催されます。助成金の交付条件に教育プログラムを入れることを義務付けているものもありますが、やはり地域コミュニティへの貢献として本公演だけでは不十分であり、せっかくの機会なのだからと、教育プログラムを積極的に実施している団体・劇場は多いです。まあ、非営利団体が基本のアメリカですから、そういったコミュニティ向けのプログラムや教育プログラムを実施するのは彼らのミッションでもあり、当たり前の行為とも言えます。

劇場と地域、アーティストと社会の関わりについて、日本でもさまざまなプログラムが開催され始めていますが、子供たちの通う学校側の協力や理解も当然必要で、日本ではまだまだその辺りが難しいですよね。こういう時、アメリカではまず公立の学校に声をかけます。それは公立だからという理由ではなく、公立は予算がなく独自に芸術教育を行うことが難しいからというのが大きな理由の1つです。特にNYのような大都市では大学同様、裕福な子供は私学に通うことが多いようです。日本では公立の学校は自由裁量が小さいので、カリキュラムを自由に組めませんが、アメリカでは大枠は決まっているものの、その中で何をどう教えるかの裁量はもう少し自由なようです。

学校から直接、授業時間以内に鑑賞の来るので、こういう子供向けの教育プログラムはもっぱら朝が多いです。このときも朝10時スタートでした。こういうの嫌がる人もいますが、何度も言うように、税金や公的な性格のお金を貰ってツアーをする以上、そういった付随する交流・教育事業に協力すべきですし、そういった活動が長い目で見れば観客の維持・拡大に貢献している訳ですし、芸術への支援の必要性を認められる社会層の育成にも貢献していると思うのですが、どうですか?でないと仕分け作業でばっさりなんて時に支援してくれる世論が育たないなんてことになりませんか?「優れた舞台芸術は公的支援がなくてもプロモーションによって自主興業が可能」なんて乱暴な理論に反論できなくなってしまうんじゃないですかね。



 

解説はここでも、松井似の元ヤン・記虎さんが担当。子供たちも熱心に聴いてくれています。



参加者多数のため選抜された子供たちが3人づつグループになって人形遣いに挑戦しました。


子供向け公演の次は場所を変えて一般・大人向けのレクチャー・デモンストレーションを劇場学科の協力で実施。キャパ150席程度のブラックボックスシアターに学生、教職員、そして一般の人たちが大勢、つめかけてくれました。




フォーマットとして、まずは淡路人形浄瑠璃の歴史や地勢的な特徴など概要を話してから、浄瑠璃、三味線、人形の順で解説、引き続いて人形操作の解説を行った後で参加者に人形操作を体験してもらいます。時間が許すならば参加者で浄瑠璃の1節をみんなで練習してみるなんてこともやりました。




淡路人形浄瑠璃座の若大将、皆のアニキこと、竹本友庄さんによる浄瑠璃解説。ツアー中は一人酒場でウィスキーのグラスを傾けることの多いアニキも床本を参加者に見せるなどサービス満点。


 

本日の三味線解説は鶴澤友重さん。もう一人の三味線奏者・鶴澤友弥さんと交代で解説を務めて頂きました。友重さんはヨーダの幼いころにそっくりで、友弥さんは西川きよしの娘・西川かの子にそっくりです。





人形解説はここでも来期の去就が未だ決まらない松井似にして元ヤンの記虎さん。
解説にも淀みなく、参加者たちを冗談で笑わせたりしながらも、人形について細かく解説してくれます。参加者の皆さんも積極的に参加、終了後も座員に話しかけて質問するなど有意義な時間を過ごしてもらえた様子でした。



 


こうしてマサチューセッツ大学での公演も無事終了し、ツアーは最終章、ウィリアムズカレッジへと続きます。





開幕ペナントレースの劇評がNYタイムズに掲載されたって?!

2009年12月07日 | 海外公演
 
@Naoyuki Inomata                          from The NY International Fringe Festival



今月、休暇で日本に一時帰国するのでなにか舞台でも見に行こうかと検索している時に、ふと、そういえば劇団「開幕ペナントレース」が帰国報告会をアサヒ・アートスクエアで開催すると言っていたのを思い出し、早速彼らのウェブサイトに行ってみて驚いた。いや顎が落ちた・・・って表現は美味しいものを食べたときだけですか?いやいや、まあとても驚いたと言いたかったのですが・・・。

公演告知の中で、NYでの劇評が映画の宣伝批評よろしく羅列されているではないですか。しかもその中にアメリカを代表する名門紙・ニューヨーク・タイムズ紙様とアメリカの“ぴあ”こと(ってこう書くとちょっと権威が落ちるけど、そうじゃないですよ、後述しますけど) タイム・アウト・ニューヨーク誌の劇評が掲載されているではないですか!!

「えー!!まさか、そんな馬鹿なー!」と叫んだあとで、「あっ、そうか、これは彼らの公演同様、ある種の冗談なんだ。そうか、ネタね!」と思い直し、安心感がこみ上げてきたのですが、それらを読むうちに「え、でも、もしかして本当にNYタイムズやタイムアウトに劇評が載ったの?」との疑念がこみ上げてきて、冗談だと思いながらもNYタイムズ紙の電子版でサーチをかけてみると・・・・・

なんということでしょうー!(劇的ビフォー・アフター風に読んでくださいね)電子版のブログ記事でしたが確かに劇評風ブログが掲載されているではないですか!

まあ、ブログ記事なので劇評と言えるほど内容に詳しく触れてもいないし、ジャーナリスティックな批評もなかったのですが(って、この公演にジャーナリスティックな批評など無意味ですけどね。そういうタイプの作品じゃないし・・・)、ただ、このブログ記事を書いた人はそれなりに劇評やジャーナリズムを学んできて、しかも過去にはタイムアウトでも劇評を担当していたことがあるちゃんとした人で、現在はNYタイムズ紙の上級ウェブ・プロデューサーの肩書きも持つエリック・ピッペンバーグなる人物。以下、ブログからの抜粋ですが・・・

『これまで様々なジャンルの舞台芸術を紹介してきたNYフリンジフェスティバルであるが、東京を拠点にする「開幕ペナントレース」による1時間の踊って、マーチして、道化て、叫ぶ、上出来な“ロミオとトイレット”のような、パフォーマンス・アートが含まれていたかどうか定かではない。

劇団のウェブサイトからの引用によると、“俳優の身体を酷使させることで、体中から大量の液体とともに爆発的なエネルギーを放出することに重点を置くパフォーマンスという、独特の舞台表現スタイルをとる。”とのこと。

なるほど確かに。

昨夜の公演において、役者たちは軍隊調の厳格さでダンスを踊り、近距離でお互いに叫びあい、お互いの頬を張り合い、身体をはって人間便器を摸写し、そして人間キャタピラーを作り上げていた。シェイクスピア悲劇のストーリーは劇中のどこかにはあったが、この公演で唯一、私が確信を持って言えるのはジュリエットが人間ではなく、チュッパ・チャップスであったということだけであった。

この公演をどう考えるべきか定かではない?なら劇団が流し続けるユーチューブのビデオ日記を見れば良い、リハーサル風景が見られるし、どうして彼らがNYで公演をするのかが聞けるはすである。』

以下のアドレスでブログ記事のオリジナルが読めます:http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2009/08/27/at-the-fringe-romeo-and-toilet/?scp=1-b&sq=ROMEO+and+TOILET&st=nyt


えー!つまりは馬鹿馬鹿しかったが可笑しくて珍しいものを見れたし、それなりに楽しんだ、と言っている訳ですよね。超訳すると。(僕もその意見には同感です。いや実際、NYで見る彼らの公演は馬鹿馬鹿しくも可笑しいエネルギーに溢れていたのです。きっと東京で見ていたらそうは思えなかったかも・・・) しかもこの後に公演情報も掲載されていましたから、つまりは皆さんも見に行ってみては?と言っている訳ですよね。へーすごーい。どっかの誰かさんの大仰なミュージカル作品は誰にも批評すらしてもらえなかったのに・・・。いや上演していることすら、ほとんど気付かれずに終わっているのに・・・。



   
開幕ペナントレース・ブログより(http://www.kaimakup.com/)





タイム・アウト・ニューヨーク誌は、インターンから編集者まで総動員でNYフリンジフェスティバルの全201公演すべてに1から5つ星までのレイティングを実施。簡単な作品紹介も掲載している力の入れよう。星取りを調べてみると以下のような結果が。

5つ星  5作品
4つ星 93作品
3つ星 67作品
2つ星 33作品
1つ星 3作品

評価平均は星3.3個だから、やや甘めの評価とも言えますし、一人が全作品を見た訳ではないので、偏りもあるでしょう。しかーし、そんななか、開幕ペナントレースの星数はなんとー!!

4つ星でしたー!!
素晴らしい!!

ちょっと気に食わないのが、私が同じ劇場の別会場で見た“The Adventures of Alvin Sputnik: Deep Sea Explore”も4つ星だったことです。えー、どう考えてもこっちの方が良くできた大人の鑑賞に堪えうる秀作だった思うのですが・・・・。こういう作品が生まれないのが日本の劇場文化の貧しさの大きな1つの証左だと思ったのですが・・・。まあ、5段階しか評価がないし、個人の趣味の問題もあるのかもしれませんがねえ。

いやいや、まあ、しかし、開幕ペナントレースも堂々の4つ星をいただいたことは良かったなーと思います。以下作品紹介の抜粋ですが・・・・


『まずタイトルがこの作品はシェークスピアの悲劇を忠実に上演していないであろうなと匂わせているが、実際そうではない。ロマンチックな崇高さを求める向きは失望するかもしれないが、無邪気な動きやシュールな展開、そしてダイナミックで驚嘆するほどに鍛え上げられた役者たち、などの素晴らしい合わせ技に賞賛する人たちもいるかもしれない。実際、衛兵を従えた騎乗の兵士の演出にはわくわくさせらるし、赤ちゃんの群れは馬鹿馬鹿しさの極みだし、ダリでさえもくすくす笑いを漏らすであろう。』

ですって。これを読めばちょっと行ってみたくなるかもですよね。フリンジフェスティバルはチケットはどの公演も一律$15と決まっているし、1つの劇場で5作品ぐらいが交代で上演されているのも皆知っているので、かなり気楽な気持ちで見に来ています。

フェスティバルに参加するメリットってこういうことでもあります。「開幕ペナントレース」が劇場をレンタルして自主公演を打っても恐らく誰も気付いてくれないでしょうが、フリンジであればこうしてタイムアウトも星で評価してくれて宣伝もしてくれます。フリンジを楽しみにしている人も多いので、NYタイムズのブログ記者の目に留まるなんて行幸にも遭遇できます。

日本では考え難いかもしれませんが、NYタイムズにブログであれ批評やコメントが掲載されるというのは、なかなか大事です。数行ですむ公演告知でさえ掲載してもらえない公演が山ほどあります。たとえ酷評であってもNYタイムズなどのメジャー紙に批評が載ることは公演にとって大きなインパクトがあります。アメリカの劇場には日本のようなチラシ文化はありません。ポストカードを作って配布したりしますが、そういうものを置ける場所も限られています。ですから、告知や集客はなかなか大変です。そんな時、NYタイムズなどに批評が掲載されるとチケット売上げに影響が出るほど、その影響力は大きいと言えます。ですから、まずは批評家に見に来てもらわなくてはならないのですが、これがさらに難しいのです。多くの公演はPRオフィスや個人のPR担当者を雇って告知に務めますが、それでも批評家を呼ぶのは至難の業です。批評家が見に来ないと当然ですが、批評は出ません。フェスティバルに参加すると、その業務の一部をまかなってくれますし、特に無名のカンパニーにとっては有効な手段と言えます。もちろんそれだけで集客できるほど甘くもないのですが、自分たちだけで宣伝するより当然助けになります。

三谷さんの公演は開幕ペナントレースの数百倍の予算を使ったでしょうし、当然PRオフィスも雇っていましたが、NYタイムズにもタイムアウトNYにも批評は出ませんでした。在米メディア向けにタイムズスクエアで開催した(とされている)記者会見にもアメリカ人プレスは来ませんでした。そして自らチケットを購入して、自発的に興味を持って見に来たアメリカ人観客に関して言えば、この2つの公演でどのぐらいの差があったのでしょうね。

いやもちろん、開幕ペナントレースのNY公演が文句なしに大成功でした、と言っている訳ではないですし、どういう海外公演が良い海外公演であるかは、何度も言うように設定する目標次第だと思っていますので評価も様々でしょうが、まあ、ひとつの考察として面白いなと思ったのですが、どうですか?






開幕ペナントレース・ブログより(http://www.kaimakup.com/)

ベルリン発 Jeremy Wadeの公演って

2009年12月06日 | 海外公演



さて、今日はジャパン・ソサエティで開催されているJeremy Wadeによる舞台公演 "There is no end to more"の楽日です。といっても通常ジャパン・ソサエティでの舞台公演は3日間ですから、初日、中日、そして楽日しかないのですが・・・。

この公演はドリスデューク財団からの助成を受け、ジャパン・ソサエティが2年に1回のペースで「非日本人アーティストに日本に関わる舞台作品を委嘱する」シリーズの第4回目。今回は・・・

“ベルリン在住のアメリカ人振付家、ジェレミー・ウェイド(2006年ベッシー賞受賞)にダンス作品を委嘱。「今や世界を席巻する日本の《カワイイ・カルチャー》は本当にカワイイだけなのか?」を主題に、ブルックリン在住の美術作家/イラストレーターの大塚弘樹とコラボレーション・チームを構成。大塚の描く“漫画”が投影される中、役者兼ダンサーのジャレド・グラディンガー(在ベルリン・米国人)のソロが、ブレンダン・ドーティ(在ベルリン・米国人)のオリジナル・ミュージックにのって、日本のポップ・カルチャーをグロテスクに解剖して行く・・・。”との公演です。



  


毎回、様々なアーティストが仕込に趣向を凝らしますが、今回の目玉はなんといってもこのスクリーン。オーストリアの AV Stumpfl GmbH社製の変形特注スクリーンです。今回は映像はフロントからのみですが、リアからは、照明を仕込み様々な文様やカラーを投影しています。映像は技術的にはシンプルなものですが、内容はかなりの力作です。イラストはもちろん、様々な素材をコラージュして組み合わせた映像は見ているだけで楽しいのですが、かなりな毒も含んでいます。

苦労したのは、やはり映像の画角合わせですね。ドイツでリハーサルをして制作した映像をこちらで合わせるのですが、プロジェクターもレンズサイズも距離も映写角度も違う上に、スクリーンはご覧の通り変形な上に3面ですから、それを1台のプロジェクターで合わせるのに時間がかかりました。プロジェクターは今回もPanasonic PT-DW7700U-Kを使用し、レンズはズームレンズ1.5-2.0:1をレンタルしました。プロジェクターを設置したブースから舞台面までの距離が51フィートで、必要な映像幅が36フィートでしたから、かなりぎりぎりだったのでブース内でプロジェクターを後方に、そしてスクリーンを舞台面から6フィートほど下げて距離を稼ぎました。最後の微調整はブースのガラス窓にマスキングを直接張り形を整えました。


  


あと、意外に苦労したのが蛍光灯でした。上写真のように舞台全面に並べて使用しましたが、調光可能な蛍光灯をレンタルし調光卓でコントロールしたのですが、劇場のディマーが旧式なせいか微妙な調光が上手くできず(といっても蛍光灯ですからある程度は仕方ないのですが・・・)急遽ディマーをレンタルすることに。で、まあ事なきを得たのですが。

この公演は1月上旬にジャパン・ソサエティで再演された後、ピッツバーグにあるアンディウォホールミュージアムと、NYアップステートのトロイという街にあるEMPACという劇場で上演される予定です。



おまけ:
このEMPACという劇場、正式名称は“The Curtis R. Priem Experimental Media and Performing Arts Center”で通称がEMPAC といいますが、名前の通り実験的なメディアと舞台芸術のためのセンター、でしてかなりなハイテク劇場なのですが、さらに建物が非常に面白いところです。以下のアドレスで建築過程の映像を早回ししたものが見れます。一度お暇なときにどうぞ!
http://empac.rpi.edu/building/

ピッツバーグにあるアンディ・ウォホール・ミュージアムのサイトは以下です。
http://www.warhol.org/default.asp