国際交流のススメ

舞台芸術・海外公演に関する情報をニューヨークから発信します。

ラスベガスで開催された舞台技術の展示会・LDIって(1)

2010年10月29日 | 海外公演


言ってきましたLDI!!
全米で最も大きな舞台・劇場技術に関する展示会!
今年はラスベガスのコンベンションセンターにて開催です。
昨年はフロリダ・オーランドだったそうなんですが、
こういった展示会+カンファレンス+最新技術のデモ&講習会は通常、リゾート地で開催されます。
参加者は余った時間で、ビーチやプールで遊んだり、ゴルフ行ったり、
ラスベガスならカジノで遊べて、さらに様々なショーが見られます。
どうせなら、いっぱいいろんなことができるところで開催されたほうが皆にとって楽しいですからねー。

 
派手な会場の様子。              まずはレジストレーションから。

今年の傾向はやはりLEDを使った最新機器の隆盛ではないでしょうか。
 
こちらはついに登場!!LEDランプを使ったエリスポ形照明です。
1台2300ドル程度とまだお値段は高めですが、普及すれば恐らくもっともっと安くなるはず。
いずれは、今あるハロゲンの575Wのスポットと入れ替わってしまうことでしょう。
しかもDMXコントロールですから、電源ケーブルも不要です。
玉切れの心配もほとんどなし!
そしてまったく熱くならない!!

  

LEDといえば当然、スクリーンも革命的に薄く、フレキシブルになっています。
もうまったくシートの厚みだけしかありません。

 

これなんかも30cm各ぐらいの組み合わせで様々な形に組めます。
このぐらい密だと映像も綺麗ですね。

LEDは映像機器、そして照明機材に革新をもたらしています。
次回はさらにLED照明についてレポートしますー!

お楽しみにー!!

PS。ここで紹介した機材に興味のある方はご連絡をー。

シニア劇団すすしろの大成功なNY公演って!!!(1)

2010年08月31日 | 海外公演
  


あーあーあーあー
まったく・・・どこから書いたら良いのやら・・・
にゃー!!!気が付けば前回ブログをアップしたのは5月30日のこと。
にゃひー!!3ヶ月もブログをアップしていなかったのね!
もはや、写真のアップの仕方も忘れるぐらい、最後のアップは遥か昔・・・

3ヶ月間の間にいくつかの舞台や舞台イベントに従事しました。
でもやっぱり、この公演について書かずにはいられない。
このブログでもお伝えしていましたが、大阪箕面市のシニア劇団「すずしろ」のNY公演は無事どころか、
奇跡的な大成功のうちに終了しました!!
いや、皆さんちゃんと準備したのですから、奇跡ではないのですが、
ここまでの成功を誰が予想できたでしょうか?

公演は6月12日(土)午後7時と13日(日)午後2時の2回公演だったのですが、
両公演とも公演数日前にソールド・アウト。完売です。
急遽、土曜の午後2時から予定されていたドレス・リハーサルを公開にすることに。
そちらにも50人ほどの申し込みがあるほどの大盛況。
公演日は、関係者や知り合いには通路に座ってもらうほど、観客が溢れました。


  


劇場公演にとって、観客が大勢入るということはかなり重要な要素です。
少々トラブルがあっても、結果、大勢の観客が入り公演が上手く行けば、少々のトラブルは忘れてしまうもの。
しかし、今回の公演が奇跡的な大成功だったと僕自身が考えるのは、当然それだけが理由ではありません。

まずは公演そのものが素晴らしかった。
“アマチュアのシニア劇団の公演”というと、どうしてもクオリティが低く見られがちですが、
観客を感動させるのは技術だけの問題ではない、という当たり前のことを実感させてくれる舞台でした。
以下、NYのローカル紙「週間NY生活:6月19日号」に掲載されたレビューに
掲載されたNY在住の演出家のコメントからの引用ですが・・・

“「演劇の神様が喜んでいる」と思うほどの素晴らしい演劇体験をした。
劇場という「場」を演じる側と、見る側として共有した驚きの70分だった。
英語のセリフは耳に心地良く余りに自然で、それ以外考えられないほど違和感がない。
演技の目的が、観客に伝える、そして演じている役柄に共感を覚えさせることだとしたら、満点だったと思う。
どうしてこんなことができたのか、それは、彼らの中に「演劇をする行為」と
「自分個人」の関わりが明確にあったからだろう・・・”

なるほどね。
たしかに。
器用でも技術があるわけでもない彼らの演技に、なぜ観客は感動するのか。
“演劇は総合芸術”と言ってもやはり主体は生身の役者。
その存在に説得力があれば、技術や装飾がなくても、なにかを感じるということなのでしょう。

って、ちょっと大げさか・・・。



カーネギーホールで開催されたカラオケ大会って

2010年05月20日 | 海外公演




リーマンショック以降、経済の落ち込みは、当然、非営利の芸術団体の運営にも影を落としています。
非営利の劇場や美術館にとって、チケットやその他売上げによる収益は15-20%前後と多くなく、
その他の大多数を助成金や寄付、基金の運用益に頼っています。
しかし、その助成団体の財源となっている基金そのものが目減りしているのですから、
当然、助成金や寄付活動は、経済や株価の落ち込みとともに、激しく落ち込みます。
また、アメリカの非営利の劇場や美術館では、少ないところでも運用資産の30%、
多いところでは45%も消失させています。(ほとんどが有価証券ですからね)
つまり50億の運用資産があって、5%で運用していたとしたら、2.5億の利回りがあるのですが、
仮に40%失ったとすると、基金は30億円となり、利回りは1.5億円になってしまいます。
去年まで2.5億あった基金からの収入が、今年は1.5億になる訳ですから、
その団体は大胆なコストカットに迫られることになります。
しかし、コストカットといっても限界があるので、収益事業に力が入ることになります。
収益事業が法律で制限されている非営利法人にとって、スペースのレンタルは大きな収益の柱となります。
リンカーンセンターでさえ、収益の30%を劇場レンタルに頼っていると言われています。

そんな中、早くからレンタルが活発だったのが、ご存知、“クラシック音楽の伝道”・カーネギーホールです。
以前も書きましたが、カーネギーはシーズン制を取っていて、自主事業で構成されるシーズンが終わると、
劇場をレンタルに出します。基本的には誰でも借りられます。
音大のオーケストラ部の演奏会や、習い事教室の合同発表会のようなイベントも
日本から来てやっているぐらいですから・・・・。


さて、去る5月15日にそんなカーネギーホールで、
(社)日本大衆音楽文化協会なる団体の主催でカラオケ大会が開催されました。
チラシによると「日本大衆音楽の普及、発展、育成、保存に寄与する公益法人です」だそうな。
大衆音楽とは、つまりポピュラーミュージックであって、商業ベースの音楽を指すと思うのですが、
そういうジャンルの音楽を保存、普及させるために“公益”法人があったんですね。ちょっと驚きました。
商業ベースの音楽というのは、つまりは売れてなんぼの世界なんだ、と私的には思っていたので、
それと“公益”だという部分がどうマッチするのか・・・。まあ、様々事情もあるのでしょう。

第一部は「内閣総理大臣賞」「文部科学大臣賞」受賞者の日本グランドチャンピオンの中から
さらに日本一を決める大会で、つまりは壮大なカラオケ大会。
第二部はプロの歌手による歌謡ショーでした。
参加歌手は御大・北島三郎、チェリッシュ、中村美律子といった大物で、司会はアグネス・チャン。
本物の演歌ショーですね。

うーん・・・・・
この複雑な感じはなんなのでしょうねえ・・・・

プロによる歌謡ショーはさておき、カラオケ大会が公益で、大衆音楽の保存と育成に寄与するのでしょうかね。

入場料収入はすべて寄付とのことですが、最初からそんなにチケット収益があるはずもなく
この団体はどうやって事業費を捻出したのかなと思う夜も眠れない・・・なんてことはないのですが。

あと、不思議なのは、普通、カーネギーでコンサートを行えば、日本のメディアがやってきて
“世界の〇〇!NYの芸術の伝道・カーネギーでのコンサートが大成功!”となるのですが、
今回、ウェブでチェックしても全く報道されていませんね。
どうしてなのでしょうねえ・・・。
日本での地方公演の場合、いちいち報道されないでしょうから、つまりカーネギー公演も
そういう位置づけになった、ということなんでしょうかね。

なかなか興味深いですねえ・・・。
どんなコンサートだったんだろう・・・。

立て続けに2作品がNYの劇団によって上演されたチェルフィッチュ・岡田さんの公演って

2010年05月15日 | 海外公演
 

昨夜、ラママ劇場で上演中の「三月の5日間」を観劇してきました。
今春のNYは岡田利規シーズンと言っても過言ではないほどで、
アメリカ人カンパニー2劇団による岡田作品の上演が続きました。
1本は昨日見た、Witness Relocationによる「三月の5日間」(演出・振付:San Safer) で
もう1本がThe Play Company による「エンジョイ」(演出:Dan Rothenberg)でした。
特にエンジョイは1ヶ月興行の上に追加公演もするぐらいの大盛況で評判も非常に良かったです。

実は数年前から、日本の舞台公演を丸々持ってくる招聘方式は費用対効果の点で良くないのではないか、
そんな体力のあるプレゼンターは左程多くなく、また公演回数や機会が限られてしまうし、
もっと別な日本演劇の訴求の仕方があるのではと思っていました。
というか、演出家や作家を米国につれてきて、一定期間過ごしてもらって、
もちろん行き来しても良いのですけど、直接アメリカ人の役者や演出家、カンパニーと
作品を作れるプログラムを実施したほうがより影響力が大きいのではないかと思っていました。

もちろん招聘公演には、それなりの価値もあるのですが、招聘公演1本の予算で
そういった公演が3本作れるんじゃないか、
それで1ヶ月公演や米国ツアーを行えば、もっと多くの観客に紹介できるし
波及効果はこちらのほうがはるかに大きいじゃないか、と思ってきました。

招聘公演が無くなることはないですが、今回の岡田利規祭りのような、
あるいは日本人演出家や作家をもっと直接的に巻き込んだプロジェクトが米国で増えるように思います。
今はコミュニケーションの方法も発達しているのですからねえ。

俳優コースもあるNYの映画学校、NY・フィルム・アカデミーって

2010年05月13日 | 海外公演
   
パンフレットを持ち微笑むY女史。 オフィスのソファスペース。自由闊達で白熱した議論が!!


先日、米国屈指の映画学校と評判のNYフィルム・アカデミーを訪問しました!
主たる目的は1ヶ月後に迫った大阪のシニア劇団「すずしろ」NY公演への協力お願いだったのですが、
NYFAの美人マーケティング・ディレクター・Y女史から学校を案内していただくことに!

NYフィルムアカデミーは、ニューヨークとロサンゼルス、ユニバーサル・スタジオ、
そしてアラブ首長国連邦の首都アブダビにキャンパスを持ち、
アメリカ最大の撮影機材保有数を誇る実践重視の映画学校だそうです。
(なんでアブダビ・・・という突っ込みは置いておくとして・・・)
校長自身(これがまた陽気なおじさんなのですが)映画制作者であって、数々の映画を製作してきたのですが、
そのコネクションをフルに活用し有名監督や俳優たちも講義を受け持ちにやって来るそうです。
思えば校内のあちらこちらに映画ポスターがあって、その映画の監督やプロデューサー、
そして俳優たちが寄せ書きをしています。


 この俳優よく見ると・・・ 


上写真の右端のものは、Learn Acting For Film、つまり映画撮影のための演技を学ぼう!のポスターですが、
この俳優、どこかで見たことありませんか?分かる人はかなりな映画通!
ヒントは、キューブリック監督作品に出てました。

戦争映画の代表作!ラストはミッキーマウスの歌を歌いながら行進する・・・

        

そう!“フルメタルジャケット”で主役ジョーカーを務めたマシュー・モディーンですね。
彼も教授陣の1人として、フィルム・アクティング・クラスを担当するのだそうです。

面白情報としては、ハリウッドセレブの子息も結構、本学に通っているんだそうです。
例えば・・・スティーブン・スピルバーグの息子のマックス・スピルバーグをはじめ、
アル・パチーノ、ケビン・クライン、シャーロン・ストーン、ロバート・ダウニィーJr.の子息などなど。

NYフィルム・アカデミーは短期大学部、大学部、そして大学院の3学部に加えて
短期コースもあるそうで、それこそ1週間から入学可能なんだそうです。
また、夏にはアメリカ国内、ヨーロッパ、アジア各地で短期ワークショップを開催し、
8月16日~21日の日程で、京都の東映京都撮影所にてデジタル映画制作のワークショップも開催します。
海外からの留学生には学生ビザサポートもあるし、ハウジングの斡旋もあるそうです。

以下、主なカリキュラム内容です。

・ 映画制作
・ デジタル映画制作
・ ドキュメンタリー映画制作
・ ブロードキャストジャーナリズム
・ プロデューシング
・ シナリオ
・ 撮影技術
・ 写真
・ デジタル編集
・ 3Dアニメーション
・ ゲームデザイン
・ サウンドデザイン
・ アクティング
・ ミュージカル
・ ダンス

うーん、僕ももう少し若かったらなあ・・・
映画業界に進んだのになあ・・・


  
学生たちはみんな活き活きしてました。まあね、やっぱり好きな事やるってのは良いよね。