国際交流のススメ

舞台芸術・海外公演に関する情報をニューヨークから発信します。

雪マシーンとローズブランドって

2010年11月13日 | アメリカ劇場事情
 



ローズブランドはロスとニュージャージー(NYエリア)にオフィスを持つ会社で
もともとは劇場のファブリック、つまり布や幕を扱う会社です。
緞帳やオペラカーテンから紗幕、背景、ホリ、そして多様な幕・生地類まで。
そこから派生して、カーテンの昇降やレール機材も扱うし、販売だけでなく、
デザインから施工までやってくれます。
防炎加工もやってくれますし、防炎加工用のキットも買えます。
アメリカの劇場は防炎にはかなり煩いところが多いですね。

あと、劇場で使う工具やワイヤー、ワイヤークリップ、テープ類、などなど、
販売されている機材・工具はこれまた多種多様です。

一度ローズブランドのサイトを覗いてみてはいかがですか?

上記写真はDMX制御の雪マシーン。
雪かごは日本の伝統芸ですから、マシーンは必要ないかもしれないですけど。


下の写真は摩擦音がほとんどしないカーテンレールのトラックとランナー。
あと、ワイヤークリップ関連の商品ですねー。これはすぐれものです。
ワイヤーの固定に技術も力も必要ないし、長さ調節もめっちゃ簡単です。


  

以下は様々なハンドツールですねー。
アメリカの劇場は、特に照明は全部機械締めです。
日本のように手で締めるってことはありません。
また規格が統一されていないので、万能型のツールがあると便利です。
僕もうちの劇場用に3本ほど購入しましたー
まあ、これらはローズブランドで開発した訳ではなく、
ローズブランドもディーラーなので、僕は別経路から購入しましたがー。
わはははー


NECの3Dプロジェクターって

2010年11月13日 | アメリカ劇場事情




にゃあー
まあねえ・・・映画で3Dなんてのはもはや当たり前。
家庭用テレビでさえ3Dが普及してきているのだから当然か。
ラスベガスの劇場機材展でNEC製の3Dプロジェクターを体験。

映画や3Dテレビ同様、薄い青っぽいサングラス状の眼鏡をかけてみるのですが、
十分3Dでした!!
小型映写機ぐらいの大きさでしたけどね。
映画もフィルムでなく、データで配給されるようになるだろうし
小さな劇場だったら、これで十分3D映画を上映できそうですね。
素晴らしい!!



東由多加、寺山修二も公演を行ったNYのラママ劇場って

2010年05月15日 | アメリカ劇場事情



アメリカで日本の演劇が全く紹介される機会の無かった1970年代に、
寺山修司(天井桟敷)や東由多加率いる東京キッドブラザーズを紹介するなど、
NYでの日本前衛演劇紹介の先駆的存在として、多大な影響を与えてきたのが「ラ・ママ実験劇場
当時、日本の現代演劇や前衛劇を紹介する劇場は皆無だったのだから、
ラ・ママの功績は非常に大きいと言えます。

上写真右が創設者で芸術監督のエレン・スチュアート。
エレンがラママをはじめたのが1961年のことなので、
ラママは今年で48年目のシーズンを迎えたことになります。
日本の演劇と深い関わりを持つため、
いまも何人かの日本人スタッフがラママで働いています。

ラママには、2つの劇場のほかに、過去の公演などの資料を保存する「ラ・ママ・アーカイブ」があり
寺山修司がエレンにあてて書いた直筆のメモや手紙、公演パンフレット、
そして、81年に東京キッドブラザーズが「SHIRO」を同劇場で上演した際に出演した
柴田恭平がインタビューに応じているビデオなどを含め、
これまで同劇場で公演された作品の映像や写真など歴史的資料が保存されています。
 
エレンは過去にインタビューで「寺山はとてもエレガントで静かでハンサムだった」
「背を高く見せたかったからか、いつも厚底ブーツを履いていた」と語ったそうな・・・。

そして今月、そんなラママ劇場で、NYのシアターカンパニーWitness Relocationによる
チェルフィッチュ・岡田利規作「三月の5日間」(演出・振付: Dan Safer)が上演されています・・・(続く)




 

ジョン・ジェイ・カレッジの劇場って

2010年05月05日 | アメリカ劇場事情



前回、NY市立大学・ジョン・ジェイ・カレッジ内のジェラルド・リンチ劇場の“スター楽屋”について書きました。
なので今回は舞台についての紹介です。
(さらなる詳細や舞台写真は劇場ウェブから入手可能です。すごく親切なサイトですよ。)

場所はリンカーンセンターに程近い、10番街の58丁目と59丁目の間にあります。
客席のキャパはオーケストラ425席+バルコニー180席の合計605席あります。
プロセニアムスタイルの舞台で間口は36フィート(約36間)で高さは19.5フィートあります。
奥行きはプロセラインから一番舞台奥のバトンまでが28フィート、壁までが34フィート、
さらにエプロン部分が5フィートあって、オケピが部分が約7フィートあります。
使用料ですが、仕込・リハーサル・バラシが1時間400ドルで、公演使用は4時間で4200ドルです。
つまり朝10時に入ってリハや手直しがあって午後8時から公演して10時に退館したとしたら
午前10時ー午後6時が$400x8時間=3200ドル、午後6時ー10時が$4200ですから、
合計で$7400になりますね。結構高いですねえ。
まあ実際に借りる場合のディスカウントや、含まれる人件費は不明ですが・・・。
ちなみに劇場から増員が出る場合は時給計算で$40/時間です。


 

舞台下手から上手を撮ったのと、綱元の写真です。
アメリカの劇場の良いところはバトンが多いことですね。
この劇場も28フィートの奥行きに、バトンが39本入っています。
だいたい20cmに1本、バトンがある計算になります。

右写真の左端に写っているのは、ブームと呼ばれるステージライトを仕込むためのパイプとベースです。
アメリカには日本にあるような照明用のスタンドというものがありません。
変わりに照明用のバトンとそれをまっすぐに立てるためのベースがあり、
台数や高さに応じてパイプを設営し照明機材を取り付けます。



搬入口は舞台下手の袖中にあって、出るとそこは59丁目になっています。
59丁目から舞台へは段差がありますが、劇場がランプを持っているので、
それを使えば特に問題はありません。むしろ搬入は簡易に行えます。

そして最後の写真は“コーラスA”楽屋ですー。
“大部屋”ですけど、使いやすいそうでしたよー。









スター楽屋って

2010年05月05日 | アメリカ劇場事情
 


先日、日本発のミュージカル“葉っぱのフレディ”NY公演の劇場下見に同行してきました。
訪れたのはNY市立大学の1つでリンカーンセンターにも程近いジョン・ジェイ・カレッジ。
その学内にあるGerald W. Lynch Theaterという劇場です。
もうこのブログで何度も書いていますが、大学の劇場と言っても日本のそれとは随分違います。
このジェラルド・リンチ劇場も学内の施設でレンタルもしていますが、
むしろシーズンごとの自主事業が活動の中心です。
日本の公立文化ホールや大学の劇場などよりも余程、自主事業としての舞台公演を実施しています。
NYは他にも民間の劇場が多数あるので目立ちませんが、
大学の劇場もNYの劇場シーンを構成する重要なVenueと言えます。
余談ですが、開催場所のことを英語でVenue(ベニュー)と言います。
ちなみに、三谷幸喜作演出のミュージカル「トークライクシンギング」のVenueもNY大学内の劇場でした。

さて、表題の“スター楽屋”です。
“スター楽屋”って・・・随分あからさまな命名の仕方だと思いませんか?
だけど、アメリカの劇場には“スター楽屋”と呼ばれる楽屋を持つ劇場が多くあり、むしろ一般的とも言えます。
“スター楽屋”とは、舞台に近く定員1名~3名ほどの小さめの楽屋を指すことが多いのですが
文字通り“スターさん”がいる場合には、彼らがその部屋を使うことが多いですね。
日本的に言えば、“座長部屋”“看板女優部屋”と言った感じでしょうか。
このジェラルド・リンチ劇場にもスター楽屋が4つあります。
さらに面白いのは“スター楽屋”以外の楽屋、13名収容x2部屋あるのですが、その名称です。
それらの楽屋は“コーラスA”“コーラスB”と呼ばれていました・・・。
こ、こ、こ、コーラスって・・・。コーラスとスターの間がないのも面白いですね。
まあ、実際使用するときは、特に気にもしないで皆使っているんですけどね。
ちょっと、面白いですよね。
アメリカにも役者のランクによるヒエラルキーがあって、楽屋のサイズや位置にも反映するんですねえ・・・。

ちなみに“スターA”楽屋には、シャワー・トイレのほかにソファーも入っていました。
分かりやすい・・・・。