国際交流のススメ

舞台芸術・海外公演に関する情報をニューヨークから発信します。

ベルリン発 Jeremy Wadeの公演って

2009年12月06日 | 海外公演



さて、今日はジャパン・ソサエティで開催されているJeremy Wadeによる舞台公演 "There is no end to more"の楽日です。といっても通常ジャパン・ソサエティでの舞台公演は3日間ですから、初日、中日、そして楽日しかないのですが・・・。

この公演はドリスデューク財団からの助成を受け、ジャパン・ソサエティが2年に1回のペースで「非日本人アーティストに日本に関わる舞台作品を委嘱する」シリーズの第4回目。今回は・・・

“ベルリン在住のアメリカ人振付家、ジェレミー・ウェイド(2006年ベッシー賞受賞)にダンス作品を委嘱。「今や世界を席巻する日本の《カワイイ・カルチャー》は本当にカワイイだけなのか?」を主題に、ブルックリン在住の美術作家/イラストレーターの大塚弘樹とコラボレーション・チームを構成。大塚の描く“漫画”が投影される中、役者兼ダンサーのジャレド・グラディンガー(在ベルリン・米国人)のソロが、ブレンダン・ドーティ(在ベルリン・米国人)のオリジナル・ミュージックにのって、日本のポップ・カルチャーをグロテスクに解剖して行く・・・。”との公演です。



  


毎回、様々なアーティストが仕込に趣向を凝らしますが、今回の目玉はなんといってもこのスクリーン。オーストリアの AV Stumpfl GmbH社製の変形特注スクリーンです。今回は映像はフロントからのみですが、リアからは、照明を仕込み様々な文様やカラーを投影しています。映像は技術的にはシンプルなものですが、内容はかなりの力作です。イラストはもちろん、様々な素材をコラージュして組み合わせた映像は見ているだけで楽しいのですが、かなりな毒も含んでいます。

苦労したのは、やはり映像の画角合わせですね。ドイツでリハーサルをして制作した映像をこちらで合わせるのですが、プロジェクターもレンズサイズも距離も映写角度も違う上に、スクリーンはご覧の通り変形な上に3面ですから、それを1台のプロジェクターで合わせるのに時間がかかりました。プロジェクターは今回もPanasonic PT-DW7700U-Kを使用し、レンズはズームレンズ1.5-2.0:1をレンタルしました。プロジェクターを設置したブースから舞台面までの距離が51フィートで、必要な映像幅が36フィートでしたから、かなりぎりぎりだったのでブース内でプロジェクターを後方に、そしてスクリーンを舞台面から6フィートほど下げて距離を稼ぎました。最後の微調整はブースのガラス窓にマスキングを直接張り形を整えました。


  


あと、意外に苦労したのが蛍光灯でした。上写真のように舞台全面に並べて使用しましたが、調光可能な蛍光灯をレンタルし調光卓でコントロールしたのですが、劇場のディマーが旧式なせいか微妙な調光が上手くできず(といっても蛍光灯ですからある程度は仕方ないのですが・・・)急遽ディマーをレンタルすることに。で、まあ事なきを得たのですが。

この公演は1月上旬にジャパン・ソサエティで再演された後、ピッツバーグにあるアンディウォホールミュージアムと、NYアップステートのトロイという街にあるEMPACという劇場で上演される予定です。



おまけ:
このEMPACという劇場、正式名称は“The Curtis R. Priem Experimental Media and Performing Arts Center”で通称がEMPAC といいますが、名前の通り実験的なメディアと舞台芸術のためのセンター、でしてかなりなハイテク劇場なのですが、さらに建物が非常に面白いところです。以下のアドレスで建築過程の映像を早回ししたものが見れます。一度お暇なときにどうぞ!
http://empac.rpi.edu/building/

ピッツバーグにあるアンディ・ウォホール・ミュージアムのサイトは以下です。
http://www.warhol.org/default.asp