国際交流のススメ

舞台芸術・海外公演に関する情報をニューヨークから発信します。

現代音楽界のマイケル・ジャクソンって

2010年05月08日 | 海外公演
 


前回、STEIMについて書きましたが、今夜、ジャパン・ソサエティで、
STEIMアーティストによる「トーク&デモ」イベントが開催されました。
上写真右の向かって左から、
STEIMのアーティスティック・ディレクターdj sniff (aka Takuro Mizuta Lippit),
そして同じくSTEIMアーティストのYutaka Makino,
そしてNYをベースに活動するTomomi Adachi
の日本人アーティストが3人が参加しました。

それぞれ活動の場を求めて日本を離れた3人。
日本とNY、そしてヨーロッパの状況を聞かれ、一般論としては日本よりもNY,
NYよりもヨーロッパのほうが活動はし易いとのこと。
その理由として、やはり政府によるファンディング制度の充実を上げていました。
また、芸術活動に対する社会や世間の寛容さや理解も理由なようでした。
しかし、3人とも“日本を背負って”とか、“海外で一旗上げよう”みたいな気負いは一切なく、
むしろ、より活動し易い環境を求めるうちにアムステルダムやNYにたどり着いた感じでした。


 


トークのあと、Tomomi Adachi氏によるデモンストレーションもあったのですが、
非常にユニークで面白かったです。
現代音楽や即興、前衛音楽と聞いただけで食欲がなくなる方なんですが、
デモということで比較的短い作品を3作品だったので、そんな僕にも程よい感じで良かったです。
1作品目では納豆と湯飲み茶碗の白湯に電極を突っ込み、2曲目では金属の彫刻のようなオブジェを使って演奏。
3曲目では赤外線センターが縫い付けられたジャケットを着て、
電極(?)付きのグラブをはめて踊るように演奏したのですが、
その踊りとボイスチェンジャーの絡み具合が思わずマイケル・ジャクソンを思い出させ・・・。


 
納豆をこねる足立さん。    マイケルもびっくりの現代音楽、そしてダンス!

Adachi氏には、これ以外にもアカペラでボイスだけのパフォーマンスもあってビデオで紹介されてました。
面白いので興味のある人はチェックしてみてくださいな。

とまあ、非常にユニークな夜となりました。
明日は劇場でのコンサートです。
今日のNYタイムスにも、カラー写真入りで公演が紹介されましたからね。
楽しみです~~。







アムスからやって来たSTEIM Mobile Touch Exhibitionって

2010年05月08日 | 海外公演
 


今日(5月7日)から2日間の予定でSTEIM Mobile Touch Exhibitionなる
触って遊べる現代音楽楽器の展覧会がNYのジャパン・ソサエティで開催されています。
この展覧会、アムステルダムに拠点を置く現代音楽アーティストの集団であるSTEIMによるもの。
STEIMとは、Studio of Electro-Instrumental Musicの略称。
つまりは電気楽器を使った音楽スタジオ(集団)ということでしょうか。
すでに40年ほどの活動実績を持ち、様々な国籍の現代音楽家や作曲家、DJ、即興演奏家たちと
緩やかに連携しながら演奏活動やパフォーマンスを実施しています。
実はこのSTEIMのアーティスティック・ディレクターは、Takuro Mizuta Lippit (別名 dj sniff) なる日本人。
こんな風に海外で暮らし、日本を背負い込まずにボーダレスに活動する日本人アーティストは増えています。

それでSTEIM Mobile Touch Exhibitionですが、
主にはコンピューターで制御された手作り楽器(音響器機)の展覧会で、
どれも非常にユニークな造詣で想像力を掻き立てます。

 

このヘッドフォンタイプの楽器は"Music Navigator" といいます。
ヘッドフォンを装着すると、ややビート感のあるノイズが流れてきます。
そのまま頭を前後左右に傾けると、その動きにあわせてノイズも変調します。

 

こちらは"Finger Web"と呼ばれる楽器で、くもの巣状に張られた釣糸に
あやとりか琴の要領で指をかけ、それらを引くと音が出ます。
糸によっても違った音が出ますし、引く強さによって音を変調させることができます。

 

これは箱のふたを開ける角度や、どちらのふたを開けるかで音が変調する"Sound Treasure" "Music Treasure"

 

上写真左は"Voice Scratcher" 設置されたマイクに音声を吹き込み、
その後、木製の小さな樽のような2つのパーツを離したり近づけたり、くっ付けたりして変調させる楽器。
右は木製の小さな箱型の楽器で表面に取り付けられた電極を指で押さえることで音を出し、
指を動かして電極のどこを押さえる位置を変えることで変調さる"Clackle Box"

 

上写真左はパット上で指を動かして音を出す"Sonic Alladin"
右は鏡を覗き込み表情の変化で変調させる "Whistling Mirror"

などなど想像力を掻き立ててくれそうな楽器ばかりで
大人も子供も大いに楽しめるSTEIM Mobile Touch Exhibitionでした!!
(ってまだ明日もやっていますが・・・。)