放射線治療と医学物理

放射線治療、特に医学物理に関する個人的記録

AAAの検証(TG53勧告を用いて)

2008年09月26日 | QA for TPS
放射線治療と医学物理 第42号

Karen Breitman, et al.: Experimental validation of the Eclipse AAA algorithm, Am Coll Med Phys, 8, 2007

Varian Medical Systemsから販売されているEclipseに搭載されているアルゴリズムAAAの包括的な評価です。ここでは工場にてコミッショニングされたゴールデンデータを用いて、測定による検証を2施設で行っています。水における基本的なデータ測定からランドファントムによる不均質補正の効果まで幅広く行っており、AAAに限らずTPSの検証の際には役立つ論文です。ここではCriteriaの設定にはAAPM TG53のレポートを使用しています。

装置: Varian Clinac 21 EX. 6MV / 15MV. 120対MLC

検討している内容は以下の3点です。
1. 比較測定
2. 絶対測定
3. ランドファントムを用いた測定

比較測定ではOpen field、拡張SSD下、矩形照射、ウェッジ使用下、コリメータ回転下、マントル照射、斜入、MLC使用下、そして種々の照射野に対してクロスライン、インライン方向にプロファイルを測定しています。(CC13)

絶対測定ではCC13を用いてTotal scatter factorを測定し、AAAとの比較を行っています。
ランドファントムを用いた検討では、ピンポイントチェンバーおよびガラス線量計を使用してファントム内の測定を行っています。

結果はoverall resultsとして表記されており、全てのテストを通過したケース数を全テストケース数で除して評価しており、AAAにおいて良好なモデリングの結果が報告されています。

しかし、絶対測定の項目において、ウェッジ使用下ではエラーが比較的大きく、2%程度のエラーが出ています。この原因として筆者はwedge自身の影響や電離箱の位置精度、そしてエネルギーを変えた際の加速器の焦点の位置も悪化の原因であろうと推測しています。

また、ランドファントムにおけるデータではTG53のCriteriaの7%以下には全て入っているものの、AAAよりもPinacleのCCCアルゴリズムの方が不均質により対応していると報告しています。

最後にVarianから提供されるゴールデンデータはinner beam部分においてTG53のCriteriaには準拠しない可能性があり、測定による検証が重要であると記しています。

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本報告は16枚におよび論文として読むには少々長い。しかし、包括的に記載されており、Criteriaも明らかであるので検証の際には参考になると思われる。

詳細は論文で。