放射線治療と医学物理

放射線治療、特に医学物理に関する個人的記録

術中照射用斜カットアプリケータのPDD測定

2008年07月28日 | QA for TPS
放射線治療と医学物理 第30号

Robert A. Dahl, et al.: Determination of accurate dosimetric parameters for beveled intraoperative electron beam applicators, Med Phys, 16, 1989

 術中照射のアプリケータにはフラットタイプと斜めにカットされたタイプが発売されています。各々のアプリケータを使用し、正確な照射を行うためには正確なDmax / MUの把握が不可欠です。正確なDmaxの評価のためには照射されたビーム軸にそって測定が得られる必要があります(PDD)。本論文は斜めにカットされた術中照射用のアプリケータを装着した際のPDDを正確に測定するために、水ファントムを斜めに配置し、より正確にPDDを測定できるよう改良したという趣旨の論文です。

 斜めにカットしたアプリケータを用いた際、水ファントムを術中照射用アプリケータのカット部と同じ角度に傾け、ガントリー角度とカウチの高さをアプリケータが水面に平行になるように調整します。ここでは0.3ccの電離箱が使用されています。

 従来斜めにカットされたアプリケータでのdmaxの決定は、各々のエネルギー毎、基準となるアプリケータのdmaxにcosθ(θ: カット角度)を乗じることで得るという手法で行われ、この値の深さにおいてDmax / MUを測定する手法が用いられていました。

 ここではsolid phantomのdmax(standard cone)を使用して計算によって得られたdmaxでのDmax/ MUと水ファントムを斜めにおいて測定したDmax/ MUおよび水ファントムを傾けずに計算により求められたdmaxに線量計を設定して測定したDmax/ MUと水ファントムを斜めにおいて測定したDmax/ MUの比較が示されています。

 結果は以下である。
1. 値の相違はエネルギーが増加するに従い減少する(~12%)。
2. 角度をつけずに配置した水ファントムでの比較結果において、coneサイズが増加すれば相違は減少する。

6MeVや9MeVのようなシャープなdepth dose peakのような状況では、正確なdmaxを得ることは特に重要である。カットされたアプリケータでのcentral axisはファントムの表面に対して角度がつけられており、dmaxの決定は困難である。ここではsolid phantomや傾けずに配置した水ファントムとの比較結果として12%程度の相違が示されている。

線量測定をする際の参考としたい。

詳細は論文で。