オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

3月句会ご挨拶とお礼

2007-03-18 10:20:15 | 3月句会
■□3月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会副主宰)
今日の横浜は朝からお彼岸らしい気持のよいお天気になりました。このところの冷え込みも幾分やわらいだように思えます。桜もまもなく咲き始めることでしょう。ご多用の中、オンライン3月句会にご参加くださいまして、投句、選、コメントにいたるまで、ありがとうございました。早春の明るい句に出会い気持がリフレッシュでき、あすからの元気をいただきました。

主宰の信之先生、また句会の作業等を担当くださいました、多津子さん、有花さん、虹玉さん、大変お世話になり、ありがとうございました。今月の特別選者として、野田ゆたかさん、おおにしひろしさん、祝恵子さん、志賀たいじさん、選句とコメントをありがとうございました。これでオンライン3月句会を終わります。また、来月をたのしみにご健吟ください。

■□3月句会ご挨拶/池田多津子(管理・集計)
今朝は冷え込みましたが、今日の愛媛も暖かな彼岸の入りとなりました。3月句会には、44名の方の投句、そして、そのほとんどの方に選をいただき、ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。年度末を迎え何かとご多忙の方もいらっしゃることと思います。これから一日一日と暖かくなってくると思いますが、皆様お元気でお過ごしください。
 3月句会は、高橋信之先生、正子先生のご指導のもと、多田有花、臼井虹玉、池田多津子の3人のチームでお世話いたしました。

3月句会入賞発表①

2007-03-18 10:18:10 | 3月句会

■3月句会
□2007年3月18日

【金賞】
★男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生
蓮は、泥田や浅い溜池などに植えられる。乾かないことと、日当たりがよいことが条件なので、自然深い泥に植えられる。胸辺りまで泥に浸かって植える仕事は、やはり男の仕事といえる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
なだらかな丘であろう。丘全体が芽吹き染めた木のいろとなって、やわらかな早春の景色をなしている。「丘一つ」がいい。(高橋正子)

★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
若布を海から今採ったところ。一抱えの若布を波間から採って現れた。海は静かなようでも、春先の風に波立っている。たくましい海辺の生活が知れる。(高橋正子)

【銅賞/4句】
★その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
犬ふぐりが咲いている先には、川が流れているのか、きらきらとした池があるのか。反射する水の光りがまばゆいほど。犬ふぐりの青と水の取り合わせが清潔。(高橋正子)

★菜の花を残して畝の新たなる/碇 英一
菜の花は今まっさかり。そこを残して、ほかは耕され、新しい畝が作られ、植えものの準備が調った。菜の花は種を採るためかもしれないが、そこに咲かせたままにする気持がやさしい。(高橋正子)

★新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
新刊の図書には、本の匂いがして、これから読もうとする気持を高めてくれる。買い求めた新刊書をもって、春風のなかにいることは知的なよろこび。(高橋正子)

★退院の日は雑踏の春であり/中村光声
退院となった日に、雑踏を歩いてゆかねばならなかった。静かな入院生活から、一度に明るい雑踏に踏み出した戸惑いが、「雑踏の春」を眩しんで詠まれた。(高橋正子)


【高橋信之特選7句】
★燦々とミモザ溢るるガラス越し/池田加代子
「燦々と」に作者の実感がある。「ガラス越し」であれば、それは生活の実感で、嘘のない句。 (高橋信之)
部屋からガラス越しに見えるミモザは、外の直接の光りで見るのと少し違って、「燦々と」輝いて見える。それを捉えて感覚がいい。(高橋正子)

★地下茎を深く沈めて葦芽ぐむ/藤田洋子
★新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
★男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生
★菜の花を残して畝の新たなる/碇 英一

【高橋正子特選7句】
★ふらここの夜には夜のたたずまい/臼井虹玉
ふらここは、ブランコ。昼間は子どもたちに楽しげに揺られていたのに、夜は静かに垂れて動くこともない。ひとつのブランコが昼は昼の、夜は夜のたたずまいであることの発見がある。(高橋正子)

★その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
★新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
★退院の日は雑踏の春であり/中村光声
★男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生


【野田ゆたか特選7句】
★電車の音遠くに聞いて朝寝かな/多田有花
寝心地のよい今の時期、遠音を聞きながらうつらうつらされている作者。暖かな穏やかな景が広がってきて好きな句です。(野田ゆたか)
 
★菜園の手許離れぬ紋白蝶/渋谷洋介
★辛夷咲く伊予路しずかに日が暮れて/おおにしひろし
★ものの芽の影育ちおり雑木山/大給圭泉 
★そこにだけ明るき光菫草/古田けいじ
★舟唄や霞の下を最上川/阿部昭
★願いつつ初蝶に遇いし嬉しさよ/大山 凉

【おおにしひろし特選7句】
★御空よりひかり零して初蝶来/中村光声
初蝶が陽光の中で飛んでいる。中句が蝶を見た喜びと共に、春の到来を感じ取った作者の実感を強めた。(おおにしひろし)

★自由という高さに舞えり春の鷹/古田けいじ
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
★入学や節目ふしめに撮る写真/湯澤まさえ
★春泥に幼なき思い踏んでみる/志賀たいじ
★旅立つ子見送る駅舎なごり雪/大山由起
★角の無き男鹿ひっそり竹の秋/安丸てつじ

【祝 恵子特選7句】
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
海の中よりざばざばと現れる、若布を抱き滴らせながら、力強さに惹かれます。(祝 恵子)

★供花挿してしばし鶯聞く山に/藤田洋子 
★春雷やくるりと廻る紙飛行機/篠木睦 
★ふくらみそむはなのつぼみのなかやすみ/堀佐夜子
★海猫連れて流氷群の戻り来る/大山由起
★天籟とあるいしぶみが花の下/清水清正
★末黒野の若草山に萌ゆるもの/安丸てつじ

【志賀たいじ特選7句】 
★その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
身近にある犬ふぐりの向うにある水のひかりへの透明感ある詠みに惹かれました。(志賀たいじ)

★ふらここの夜には夜のたたずまい/臼井虹玉
★丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし 
★波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子 
★囀りに風来て風と去りゆける/高橋信之
★角の無き男鹿ひっそり竹の秋/安丸てつじ
★菜の花を残して畝の新たなる/碇 英一

▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

3月句会入賞発表②

2007-03-18 10:17:50 | 3月句会
■3月句会
□2007年3月18日

【入選Ⅰ/10句】
★初音聞くシーツ真白く干し終えて/黒谷光子
シーツを干し終えた時鶯の初音が何処からともなく聞こえた。春の光が満ち満ちて、幸せな朝。真白の措辞が効いている。(古賀一弘)

★啓蟄の土にきのうの雨の色/矢野文彦
きのうの雨で、大地は黒々としてやわらかい。啓蟄という日への思いの感じられる御句だと思います。(臼井虹玉)

★茶畑の高さを山の風光る/あみもとひろこ
山の斜面に作られた茶畑、丸く刈り取られた茶の木の並びに春の日差しがあたり、おおらかな明るさを感じさせてくれます。(多田有花)

★真っ先に明るさとなる花菜かな/木村 修
春の特徴はなんといってもその光のまばゆい明るさ。中でも花菜の眼の覚めるような黄色を見るとき、その思いを強くします。「真っ先に」という言葉に作者の喜びがあふれています。(多田有花)

★卒業式門出に降りし初の雪/飯島治蝶
暖冬異変の今年でしたが、ようやく春になっての初雪。まるで教え子たちの門出に間に合うように降ってくれた雪に、作者の万感の思いが重なっています。(多田有花)

★ものの芽の影育ちおり雑木山/大給圭泉
冬の終わりごろ、枯一色だった雑木山も春が進むにしたがい少しずつ、本当に少しずつ色の変化が現れています。(多田有花)

★パンジーを水に浮かせて玄関に/祝 恵子
レストランでテーブルにお花だけを入れたボウルが出されていることがあります。パンジーのカラフルな花びらの色が目に浮かびます。さらりと詠まれて素敵な句です。(多田有花)

★そこにだけ明るき光菫草/古田けいじ
菫はほんとうにこういう雰囲気を持っています。光を集めて山路に咲いている、そんな印象です。(多田有花)

★川瀬行くいたどり紅く土を割る/丸山草子
川沿いに歩いていて、いたどりが芽を出しているところを目にされたのでしょう。春を感じますね。細やかな観察が生きた句です。(多田有花)

★辛夷咲く空を木立をカンバスに/笠間淳子
白い辛夷の花が青空を背景に咲きそろいました。花の色、空の色が眼前に浮かぶような印象を受けます。(多田有花)

【入選Ⅱ/20句】
★野火走り半鐘乱打や草千里/古賀一弘
広々とした野の枯草を焼く。中七に燃え広がる勢いがある句です。これからが、本格的な春。作者の春らしい春を待つ気持ちが伝わってきます。(飯島治蝶)

★草餅やローカル線の親子連れ/阿部 昭
のんびりと走るローカル線の車内で草餅を食べる親子連れに家族の温かみを感じます。(高橋秀之)

★春の花舗色とりどりの野の様を/藤田裕子
★あたたかやゼンマイ時計正午指す/甲斐ひさこ
★きらめきて大き蛇行を春の川/松原恵美子
★堤防の花菜燃え立つ筑後川/國武光雄
★菜園の手許離れぬ紋白蝶/渋谷洋介
★花菜の黄絵の具流れて宵の酒/小河原銑二
★朝の間の雨は続かず暖かし/野田ゆたか
★地虫出でコンクリートへ濃ゆき影/尾 弦
★新聞の片隅飾る梅便り/高橋秀之
★雪柳風に吹かれて花こぼす/堀佐夜子
★野も丘も春光溢れコッツウオルズ/河野渓太
★子らの声土捏ね繰りて水温む/滑川けい子
★大三角の星座きらめき春の空/湯澤まさえ
★天籟とあるいしぶみが花の下/清水清正
★春寒や風にさからい地虫出づ/吉川豊子
★末黒野の若草山に萌ゆるもの/安丸てつじ
★春の夜に波の音のみ聞こえけり/友田 修
★黄の風の高きに揺れて竹の秋/大山 凉

▼伝言などは、下の<コメント>にお書きください。

選者詠

2007-03-18 10:17:25 | 3月句会
■選者詠/高橋信之
★春浅き声を残して子ら去りぬ
★寺苑ひろびろ空に桜の芽を散らし
★囀りに風来て風と去りゆける
生命の繁殖期を告げる小鳥の囀りが、一陣の風と共に去ってしまった。新しい場所を求めてか、作者の心象風景が重なる。(中村光声)

■選者詠/高橋正子
★大樹なる藪の椿の紅ほしき
★囀りのサムシサムシと高枝に
★諸葛菜摘み帰りては濃むらさき

互選集計結果報告/3月句会

2007-03-18 10:17:06 | 3月句会
■互選高点句/池田多津子集計

17点 波間よりざばと若布の抱かれ来る/池田多津子
12点 その先に水のまぶしさ犬ふぐり/藤田洋子
10点 男らの胸まで浸かり蓮を植う/宮島千生
 8点 丘一つ芽立ち始めし木のいろに/おおにしひろし
 8点 春泥に幼なき思い踏んでみる/志賀たいじ
 8点 児らが皆ガリバーとなる蝌蚪の池/宮島千生
 8点 菜の花を残して畝の新たなる/碇英一
 7点 新刊の図書を抱きて春風に/多田有花
 7点 自由という高さに舞えり春の鷹/古田けいじ
 7点 舟唄や霞の下を最上川/阿部昭


選句箱