オンライン句会入賞発表

■水煙発行所主催■

■□3月句会ご挨拶/高橋正子(オンライン句会主宰)

2006-03-11 22:05:02 | 3月句会
■しばらく続いたお天気も今日はしずかな雨でした。まもなく雨もあがりそうな気配です。オンライン句会はネット上の句会ですが、今月は特に、皆様に「句会にお集まりいただいた」というのが実感です。一月ぶりに句会にお顔を見せていただいたという嬉しさがあります。入賞の皆様おめでとうございます。今月は早春の、そして早くも花の句などがあって、確実に春になっていることが窺えました。ご多用の中、オンライン句会にご参加いただき、楽しいひと時を過ごさせていただきました。互選とコメントなど、いろいろありがとうございました。お礼を申し上げます。これで、オンライン3月句会を終わります。(2006年3月12日)

今月は、高橋信之・池田多津子・臼井虹玉・高橋正子の4人のチームでお世話をいたしました。


■3月句会全作品
http://www.suien.ne.jp/0001/online/k0603z.htm

■投句選句箱
http://6802.teacup.com/suien/bbs


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3月句会入賞句/金・銀・銅賞

2006-03-11 22:03:30 | 3月句会
【金賞】
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
「残る鴨」なので、みずからが生んだ輪の中心にいるという事実が生きる。温んだ水が、しずかに輪を描き、その中心にいる鴨に、独りでいる意思が読み取れる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★地虫出づ空青々と雲もなく/大山 凉
啓蟄のすがすがしさと、はれやかさが読まれている。真青な空に、一片の雲もない。広々とすがすがしいこの世界に出てきた地虫が、これからのびのびと生きていけると世界があると嬉しい。(高橋正子)

★全山に花揺れやまず匂いけり/尾弦
全山が花の山。その花が風を受けて、揺れ止まない。大きく揺れるときも、小さく揺れるときも、そこから花の匂いが漂ってくる。この季節の風の具合が全山の花をゆたかに動きのあるものにしている。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★先生と桃組さんは春の土手/甲斐ひさこ
幼稚園の子どもたちと、先生が春の土手で楽しんでいる光景。先生と子どもの原点のような風景で、「桃組さん」がとくにかわいい。(高橋正子)

★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
この木蓮は白木蓮であろう。夕方、翳りながらも、おのずからの白い光りを失わない姿。地味なようだが、華やかな思いが胸に広がる句。(高橋正子)

★樹齢知らず万の芽抱く大公孫樹/渋谷洋介
樹齢は知らないがともかくも大公孫樹。その枝に万という数の芽が育ち、見事というほかない。圧倒される大公孫樹の芽吹きがたくましくも美しい。(高橋正子)


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特選7句/3月句会

2006-03-11 22:02:20 | 3月句会
【高橋信之特選7句】
★桜ミモザ束ね山より下りてきし/高橋正子
日常の一齣を切り取った句だが、生活の拡がりがある。「桜ミモザ」は、山から来て、部屋を飾ってくれるであろう。日常の生活に詩がある。(高橋信之)

★先生と桃組さんは春の土手/甲斐ひさこ
先生と園児達が春の土手で、にぎやかに可愛らしいお花が咲いたようです。(石井秀子)

★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
静かに池か濠に浮かぶ一羽の鴨を観察されている作者の姿が浮かびます。「みずから生みし輪の芯に」という表現はゆっくり広がっていく水輪とともに、幅広い想いを生んで深いものが感じられます。(岩本康子)
残り鴨の描く同心円の芯(中心)に自身が存在するという小さな宇宙観を感じます。(飯島治蝶)

★比良を背に菜の花明かりひろびろと/黒谷光子
近江平野に広がる菜の花畑が明るいですね。「朧月夜」の歌を思い浮かべます。(多田有花)
近江の美しい春がぱ~っと思い浮かび、好きな句です。(甲斐ひさこ)

★樹齢知らず万の芽抱く大公孫樹/渋谷洋介
★全山に花揺れやまず匂いけり/尾弦
★花の上に花咲き空の近くなる/池田加代子


【高橋正子特選7句】
★朝の日に影を伸ばして牡丹の芽/野田ゆたか
牡丹の芽が朝日を受けて影がすっと伸びている。芽を持つ牡丹の朝の影がしっとりとしている。(高橋正子)

★残雪の山間(あい)ぎっしり闇つまる/志賀たいじ
残雪の山と山の間は、ぴったりと隙間なく闇。残雪と闇との間に何もゆるさない自然が毅然としてある。(高橋正子)

★地虫出づ空青々と雲もなく/大山 凉
雲ひとつなく空青々と晴れた春の空だ、啓蟄の空である。作者は虫を見たであろうか、見なくともそうに感じただけでいい、「地虫出づ」の季語が活き活きしていて明るいこの句が好きです。(志賀たいじ)
地上に出た虫が見る大きく晴ればれとした世界、春となったよろこびがおおらかに詠まれていて、読むほどに味わいを深くします。(臼井虹玉)

★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
夕暮れに咲く木蓮の静かな美しい趣の深さを感じます。(藤田洋子)

★いぬふぐり今年は今年の地図広げ/竹内よよぎ
花から少し離れて花の群れを見つめる作者。この花の状態を今年1年という大きな景に詠み上げられていて好きな句です。(野田ゆたか)
いぬふぐりの地面に広がっている様子を地図にたとえられたことが素敵です。(黒谷光子)

★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
水輪のひろがりに残る鴨の姿が静かです。「みずから生み」「輪の芯に」は高潔な宇宙を感じます。(宮地ゆうこ)
自立して生きる強さ、人生観の深さに根ざす、作者の確かな目に感動し、感服いたしました。御句に接した後には、時々、輪の芯にいる茶色の、なぜか雄鴨が目に浮かんできます。感動をありがとうございました。(竹内よよぎ)

★全山に花揺れやまず匂いけり/尾弦


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特別選者特選7句/3月句会

2006-03-11 22:01:11 | 3月句会
【おおにしひろし特選7句】
★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
白木蓮の白さを夕照のなかで強調した情緒が素晴らしいと思います。(おおにし ひろし)

★荒地にも青き明るさいぬふぐり/竹内よよぎ
★雛舟の膨れし波にそっと乗せ/とくのあけみ
★木洩れ日を煌と点して名の椿/今村七栄 
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
★白木蓮一気に開く朝(あした)なり/岩本康子
★ロゼワインに少し酔いたる朧月/多田有花


【藤田裕子特選7句】
★生活の庭に桜を咲かせけり/高橋正子 
お花見もいいけれど、毎日の生活の場所に桜を咲かせるのもすてきです。地道な生き方をされて、平和をかみしめておられるように感じました。(藤田裕子)

★焼け熔けしロザリオ見れば春の雨/守屋光雅
歌「長崎の鐘」を思い出させる句ですが、もしかしたら旅先の句かも知れませんね。季語がしっかり付いていて、奥の深い句と鑑賞しました。(河ひろこ)

★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
★朝の日に影を伸ばして牡丹の芽/野田ゆたか 
★囀りの天から降ってくる平和/高橋信之 
★比良を背に菜の花明かりひろびろと/黒谷光子


【大山 凉特選7句】
★翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
夕暮れの柔らかな光りの中の木蓮の白さがとても優雅ですね。(大山 凉)

★生活の庭に桜を咲かせけり/高橋正子
★一湾に波の綾なす春の潮/篠木 睦
★揺れるたび岸の芽柳日を返す/藤田洋子
★雛舟の膨れし波にそっと乗せ/とくのあけみ
★菜の花の鉄橋渡る一両電車/今村七栄
★残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ


■オンライン句会特別選者は、過去に、以下の22氏にお願いしましたが、今回は、上記の3氏です。
藤田洋子・野田ゆたか(2回)・堀佐夜子・安丸てつじ(2回)・藤田裕子・古田けいじ(2回)・碇英一(2回)・おおにしひろし・祝恵子・霧野萬地郎・岩本康子・多田有花・守屋光雅・河ひろこ(2回)・平田弘・日野正人・志賀たいじ・篠木睦・臼井虹玉・池田多津子・黒谷光子


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入選Ⅰ/3月句会

2006-03-11 21:59:05 | 3月句会
【入選Ⅰ/10句】
★せせらぎの落椿うけ流れ澄む/小川美和
この句はせせらぎの澄んだ川が落ち椿を受け止めたという感覚に惹かれました。(祝恵子)

★完走の後の大の字風光る/木村 修
長距離走を完走した。やり遂げた満足感。汗が乾いてゆく爽快感に光る風が眩しい。(ふるたけいじ)

★万華鏡を売る店たのし春の昼/臼井虹玉
★魚影濃き水は確かに温みけり/霧野萬地郎
★大の字に仰ぐ真青を鳥帰る/長岡芳樹
★目線にははくれんの花のふくらみ/祝恵子
★峠来て海の青さや藪椿/古賀一弘
★土手滑る子らの大声風光る/中村光声
★手いっぱいに土筆摘み取り肩車/河ひろこ
★菜の花の鉄橋渡る一両電車/今村七栄


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入選Ⅱ/3月句会

2006-03-11 21:58:19 | 3月句会
【入選Ⅱ/20句】
★泥んこや牛舎の春が動き出す/志賀たいじ
牛の動きや牛を飼う人の動きまで生き生きと見えて来る句だと思います。(碇 英一)
凍てついていた牛舎の土が、春の訪れとともに泥濘だす状況を、「春が動き出す」と捉えたところが素晴らしい。(中村光声)

★囀りの枝から枝へ春を撒き/野本俊枝
下五の「春を撒き」の表現が御句を引き締めていて好きな句です。(篠木睦)
鳴き声の広がり春の訪れを撒くはいいですね。(大給圭泉)

★掌なお火照りありお水取り/中村光声
お水取りの興奮ときめき、「なお火照りあり」に惹かれました。(渋谷洋介)

★あっ!たんぽぽ!とサッカー少年二人過ぎ/古田けいじ
たんぽぽとサツカーボールの取り合わせ。二人過ぎに実感を得ました。異色の句です。(町田智司)

★曇天に囀り大きく突き上げる/藤田裕子
春になり囀りの声が高くひびきます。曇り空を押し上げ青い空を呼んでくるような勢いです。(池田多津子)

★明日もまた遊ぶ約束春日永/飯島治蝶
「また、あした」の言葉が春の夕に聞こえてきそうです。(大石和堂)

★短きはひそやかに揺れ梅の枝/碇英一
確かに枝は短ければ風に揺れにくい。それを「ひそやかに揺れ」と表現する作者の思いに共感を覚える。(尾 弦)

★黄水仙終の棲家は母のそば/長瀬正之
★新書ひらく傍らに咲くフリ-ジア/石井秀子
★名水に銘酒の郷や桃の花/安丸てつじ
★放たれし犬の駆け出す春の土手/大給圭泉
★花びらを栞にしたるイースター/矢崎すみ子
★三叉路を曲がれど春月ついてくる/高橋秀之
★弁当を見せ合う園児花の丘/堀佐夜子
★飛鳥路の古き宮跡春の空/河野啓一
★盲導犬街の春風渡りけり/おおにしひろし
★店先の幟裏文字さくらもち/矢野文彦
★パソコンを消して煌々春の月/希往来
★うららかに子らの呼ぶ声こだまする/池田多津子
★哲学の道こまやかな春の道/大石和堂


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3月句会選者詠

2006-03-11 21:56:52 | 3月句会
■選者詠/高橋信之
★囀りの空丸くわれらが頭上に
★囀りの天から降ってくる平和
★彼岸近き陽がほかほか池へ注ぐ

■選者詠/高橋正子
★生活の庭に桜を咲かせけり
花見に行くもの楽しいけれど家の庭に桜の花を咲かせて毎日見られるとは何と贅沢な事でしょう。リビングから、厨窓から、座敷から、寝室から、玄関からと想像するだけでも楽しくなります。(堀佐夜子)
たとえ小さくても、ともに暮らしている桜であれば、お花見の喜びもひとしおでしょう。「生活の庭」だからこそ、自らが「咲かせけり」と言い切ることができるのですね。(かわなますみ)

★きつつきの叩く銀杏芽木の音
きつつきはどんな音をたてて叩くのでしょう。きっと「春ですよ」と言って叩くのだと思います。(小川美和)

★桜ミモザ束ね山より下りてきし


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3月句会互選集計結果報告

2006-03-11 21:55:49 | 3月句会
■互選高点句/池田多津子集計

22点 残る鴨みずから生みし輪の芯に/かわなますみ
11点 泥んこや牛舎の春が動き出す/志賀たいじ
10点 地虫出づ空青々と雲もなく/大山凉
 8点 生活の庭に桜を咲かせけり/高橋正子
 8点 幾たびも羽ばたく音す春の川/甲斐ひさこ
 8点 翳りつつ己がひかりを夕木蓮/宮地ゆうこ
 8点 いぬふぐり今年は今年の地図広げ/竹内よよぎ