10月はピンクリボン月間なので、何か乳がんに関して書いておこう。
以前、何で、乳がん患者だけが、ピンクリボンと称して、色んなイベントがあるのか、
私なりの考えを書いたが、今回は、さて、乳がん患者歴3年となり、
今、自分はどうなのか?を書いてみようと思う。
まず、この1年で一番自分に衝撃を与えた出来事。
それは、私より2ヶ月前に乳がん告知をされた小林麻央さんの死。
年齢は全然違うし、彼女のがんと自分のがんが同じ種類のものなのかも分からないが、
でも、告知を受けた時点では、私も彼女も1センチ程度の腫瘍で、
四方や自分ががんとは思わないぐらい健康で普通に生活しており、
つまり、少なくとも彼女も私と同じステージだったと想像する。
だから、彼女の動向はとても気になっていた。彼女のブログを読む度に、
彼女の見える世界、描く文章の内容が、痛いぐらいに理解出来た。
休職し、治療に専念していた時の自分と一緒だったから。
変な話、死を意識せざる負えない状況に置かれた事で、今、手にしている生がどれほど尊く、
この世界が美しいと実感するのだ。自分の見ている世界、住んでいる世界が、
ものすごくキラキラと輝いて見えるのだ。面倒臭いと思っていたルーティーン作業も、
楽しく感じられる。“キャンサーギフト”と呼ばれるのは、この感覚なのかと思った。
私は勝手に、彼女を同じ敵と戦う同士(同志)の様に感じていたようだ。
だから、彼女が天に召された時、その日は遠くないと分かっていたはずなのに、衝撃を受けた。
しかし、それと同時に、“もう戦わなくていいんだね。
本当にお疲れ様でした。”という気持ちも湧いた。
そんな私は、今、まだ戦っている最中だ。
その戦いは、がんという病気そのものだけではなく、再発や転移への恐怖心、
薄毛、切除した乳房等の肉体的劣等感、ホルモン治療による副作用の不快感等、
自分の中に湧いてくるネガティブな気持ちとの戦いも含まれる。
“生きているだけで幸せ”という時期が過ぎ、“この身体で、生きて行かなければならない。
”という時期に今いるんだと思う。だから、今の私の見える世界は、以前ほど、キラキラしていない。
がん治療前の自分に戻りたい衝動、出来ない事に対する苦痛ばかりに目がいく自分がいる。
自分に自分ががっかりする事が多くて、嫌になる事も多い。
乳がん患者が、ある程度、治療が落ち着いた頃にうつ病になるって
こんな心理状態からなんだろうなぁ。
周りからは、元気に見えるし、“抗がん剤したんだから、当たり前じゃない。生きているだけで
有難いでしょ。“と思われているだろうし、自分でもそう思う。
でも、なんだろう、この悶々とした気持ちは? 生きる方が大変なんて言っちゃいけないが、
それも一つの真理でもあると思う。
そして、こんな感覚をシェア出来るのは、やはり、乳がん患者同士なんだと思う。
だから、患者会があり、そこで自分の悶々とした気持ちを吐き出し、
相手の話に共感を感じる事で、前に進める。辛いのは私だけじゃないんだなぁ、
と思うことで、今をやり過ごせる。
愚痴ったって、新しく胸は生えてこないし、
障害を受けた細胞は戻らない。そんなの分かっている。
だけどね、偶に、弱い自分を吐き出さないと、空元気でもいられなくなる。
そんな私たちをサポートしてくれるのが、ピンクリボン運動。
応援してくれる、理解しようとしてくれる人たちがいるってだけで、
空元気が、本物の元気に変わったりする。
生きるって難しい。でも、だからやりがいがあるのかな。
さぁ、今日も生きていることに感謝して、前に進もう。
以前私のNYの姪YUKOさんが乳がんになった時、発信していたブログを
ここに転載したことがあって、今回の現状発信を読み
皆さんにもご報告と思いました。先日はイースター島からモアイ像の
絵葉書を送ってくれました。精力的に生きてガンバッテいるようです