空色レールウェイ

空は続く、どこまでも

「彼女が消えた浜辺」

2011年02月08日 | 映画


「彼女が消えた浜辺」を観てきました
以下、ネタバレが含まれていますのでご注意を

【あらすじ】
テヘラン近郊の海辺の避暑地で3日間を過ごすためにやってきた、若い男女とその子供達。
時間はゆるやかに楽しげに進む中、2日目に事件が起きる・・・

子供が溺れたのと時同じくして、アミールの妻・セピデーが誘ったエリが忽然と姿を消したのだった・・・

アスガー・ファルハディ 監督作品

この映画、非常に面白かったです
ざっくりとしたあらすじしか知らず、1人の女性が姿を消したからってどうなるんだ?って感じでしたが、
「海辺」であったり「子供」であったりと、配置が秀逸でした

エリが姿を消すまでをざっくりと説明すると・・・
エリはこの旅にあまり乗り気ではなく、1人で先に帰ろうとしていました・・・
帰ることを許してくれないのなら、歩いてでも帰る!という強い意志を持っていたんです・・・
そんな中、2日目に子供が溺れてしまいます・・・大人たちが必死で救助し無事に救出・・・

そして、エリは海辺から消えてしまうのです・・・

子供を助けようと海に入ったのではないか?!と騒然し、再びエリの捜索を開始します・・・
しかし、見つからないエリ・・・溺れてしまったのだろうか・・・

ここで浮かぶ2つの可能性・・・
1つ目は「エリは子供を助けるため、海に入った・・・」、2つ目は「エリは何も言わずに帰った・・・」
この2つの可能性を、見ている者に疑わせる演出が素晴らしかったです

エリは子供の見守りを頼まれていたんですが、途中蛸上げに夢中で子供を見ていないんですよね・・・
その凧揚げのシーンが数秒続いた瞬間、子供が海に浮かんでいるんです・・・
そして、それ以降エリは一切スクリーンには映らなくなります・・・

大人たちが「きっと帰ったんだろう」、「いや、何も言わずに帰るわけがない」なんて議論をする中、
子供たちは「お腹へった~」なんてダダをこねる・・・
で、子供に問いただす訳です、「お前が溺れているときにエリは助けにきたか?」とすると子供は、
「うーん分かんない」なんてぐずりだすんですよね・・・実に子供らしいのです・・・
見ているこっちも、溺れたの?帰ったの?っていうクエスチョンが消えないんです

ここからちょっと物語の様相が変わってきます・・・
まず誰もエリの素性を知らないんです・・・警察に色々聞かれてもフルネームすら知らない・・・
そしてエリの携帯を発見し、一番最近の履歴の相手に連絡をします・・・
相手は「エリの兄」と名乗る男・・・しかしエリに兄はいない・・・じゃあ誰なんだ?って話に・・・
その間も、頭にはずーっと「溺れたの?」、「帰ったの?」が渦巻いています・・・

キーマンは、セピデーとエリに想いを持つバツイチ婚活中のアーマド・・・
特にセピデーは、他のメンバーの知らないエリの秘密を知っていたのです・・・何故エリは帰りたがったのか・・・
この秘密を隠す感じと小出しにする感じには多少イライラしましたが、それも全てエリの名誉を守るため・・・
その秘密とは・・・そしてエリの行方は・・・是非劇場でご確認下さい

ただ冒頭、いっきに3つの夫婦と+2人(エリとアーマド)+子供たちが登場し、
誰が誰やら分からないし、これらの人の関係性も分からないし・・・と結構苦労しました・・・
セピデーは若くてとっても綺麗なんですが、(あとで分かった)旦那がエラい老けてるんですよ・・・
正直、夫婦だと分からず、親子かな?と思って観ていました・・・
でもストーリーが進むごとに理解できていったので、まぁ良いかな

イスラム社会における「結婚」とは言わば「契約」であることや、日本とは異なる「文化」が下地にあり、
海辺の別荘という限られた空間、若者たちと得体の知れない男、そしてエリの思い・・・
何度も言っていますが、「溺れたのか」、「帰ったのか」という生と死の迷い・・・
そして、心に突き刺さるラスト・・・良作だったと思います

最後に、予告編を貼り付けておきます!良かったらどうぞ

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