皇居の落書き

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保守のせいで先細る皇室

2024-09-02 21:14:44 | 皇室の話(3)
令和6年9月2日16:40、サンデー毎日×エコノミストより配信の「完全に無視されている19年前の女系天皇議論 成城大教授・森暢平」と題する記事がある。

皇位継承の議論に関するまっとうな記事である。

それにしても、きちんと制度を見据えた記事を書く人というのは、本当に少ない。
森暢平氏は、数少ないそのうちの一人であると言えるが、本当に寂しい状況である。

男系継承、女系継承の議論について、正統性という論点に比重が置かれるのは仕方のないところであるが、19年前からずっと議論が継続し、ほとんど考えるべきポイントは出尽くしたのではないのだろか。

男系維持派においては、初代神武天皇以降の歴代天皇について、男系で続いてきたという分かりやすい根拠がある。

ただし、将来に向けて、現行の男系男子を維持し続けることは、現実的に可能なのか。

未婚の男子皇族は悠仁親王殿下しかおられない。

そこで、旧宮家の子孫の男子の養子案というものが出てきているわけであるが、実際に養子になることのできる方がどれくらいおられるのか。

そこがそもそも大問題なわけであるが、仮に、何名か実現したとしよう。
しかし、それによって、将来の皇位継承は安定するのか。

旧宮家につき、昭和22年の時点で11宮家51方という数字があって、これだけ見るとかなり安泰になるような気がしないでもないが、これは旧制度下、伏見宮の系統において一夫多妻制を最大限に活用したことの名残によるものであって、現行制度下においては、規模も縮小していかざるを得ず、男系男子の確保が難しくなるということは、誰にでも分かることなのではないのだろうか。

そうなったとき、どうするのだろう。

男系維持派は、男系でなくなれば皇統断絶などと言ったりするが、男系継承を皇室の存在意義の中核に据えてしまうと、女系拡大などできなくなり、本当に断絶することになってしまうのではないのか。

男系継承の意義を強調すればするほど、将来、女系拡大をせざるを得なくなったとき、皇統、日本の国体が格落ちしたような感じになってしまうのではないのだろうか。

明治の皇室典範の立案時において、男系男子を導入したということは、当時の世界、国内の状況に照らしても、十分な根拠があったと思う。

そして、第2次世界大戦後、憲法、皇室典範を制定し直す段階において、従前の皇位継承の在り方を踏襲するという判断も、敗戦直後であったことを踏まえれば、やむを得なかったであろう。

しかし、現在、将来の担い手が一人しかいないという状況において、男系継承でなければならないという再確認をするというのが、本当に適切なことなのか。

将来の皇位継承の安定のため、女系拡大が必要となるということを見通せるのであれば、女系女性天皇であっても何ら正統性に問題のないことの理論的な整理をしっかりと行う方が、はるかに有意義なのではないのだろうか。

そして、それだけの根拠は、19年間にわたる議論の中で十分に蓄積されていると言えるのではないだろうか。

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