気分はいつも、私次第

『つけ狙う者』<1>

国家警察の警部補マルゴット。
第3子を身篭っている。臨月だ。
それでも、休暇を取るわけにはいかない・・・・・・

ある日
国家警察犯罪捜査局の公開メールアドレスに送られてきた
YouTubeへのリンク。
送り主は不明だ。
映像を確認すると、単に女性の日常の映像であった。
イタズラだ・・・・・・そう判断された。
数日後、その女性が無惨な惨殺死体で発見されるまでは。
そして今
マルゴットは、送られてきた映像何度も繰り返し見ているのだ。

殺された女性の名は、マリア・カールソン。
ひとり暮らしで、働き、毎日を忙しく楽しんでいた。
犯人は、マリアの家の敷地内に入り、窓から撮影したようだ。
マリアは、顔が判明できないほど、切り刻まれていた。
首はほとんど断ち切られている。
そして口が奇妙な形で開いている。
多分犯人が意図的に、こういう形にしたのだろう。

一体何が目的なのか?猟奇的な犯行。ストーカーなのか?
マルゴットは、部下のアダムと犯人像を探る。
しかし・・・恐れたいたことが起こった。
またYouTubeへのリンクが、送られてきたのだ。
LIVE映像なのか?録画したものなのか?
今この瞬間、犯人は女性の側に居るのか?
映像から何かを得ようと見入る2人。
ひとりの女性の姿だ。
ジョギング後なのか、リラックスした姿だ。
全く撮影者に気がついていないようだ。

住所は?名前は?顔はハッキリ確認できるのに。
しかし、助ける手立てが何もない。
女性が誰なのか?どこに住んでいるのか?全く分からないのだ。
彼女は死体となって発見されるまで・・・・何も分からない・・・

第2の犯行が報告される。
女性の名はスザンナ・ケルン。
しかし・・・今回は警察関係者も困ったことになってしまった。
出張から帰宅した夫のビヨーンが、第1発見者である。
しかし、妻の惨殺死体を見てパニックになったビヨーンは、
部屋を綺麗に掃除し、片付けてしまった。
そして妻のスサンナの身体も綺麗にして、寝室のベッドで寝かせていた。
犯人に繋がる手がかりが、殆ど失われてしまったのだ。

パニックを起こしているビヨーンは、病院へ。
警察の質問に答えられないのか?答えたくないのか?
意味が通じないことを発するだけだ。
精神科の医師も有効な手段を見出せない。
しかしマルゴットは、1秒でも早く手がかりを知りたいのだ。
なんとかビヨーンを話せる状態に・・・・
提案されたのが、催眠療法だ。
催眠で得られた情報は証拠にはならないだろうが
今は、何かひとつでも手がかりが必要なのだ。

催眠療法で名を馳せたエリック・マリア・バルク医師。
過去に催眠療法で問題を起こしたこともあるが、
今はエリックに頼るしかない。
最初はパニックで、全ての提案を拒否していたビヨーンだが
後日、催眠療法に同意する。
エリックは、ビヨーンに催眠をかける。
帰宅したビヨーン・・・見えるものは?少しずつ話し出すビヨーン。
血塗れの床。血塗れのスサンナ。
スサンナは片手で耳を覆っている・・・・

ビヨーンの言葉に、内心穏やかではないエリック。
殺されたスサンナは、片手で耳を覆っていた、という。
殺害後、犯人が意図的にこういう姿にさせたのだろう。
このやり方に覚えがある・・・・ロッキー・キルクルンド・・・・
殺人の容疑で逮捕されたロッキーは、
薬物中毒であり精神的にも病んでいた。
エリックが診断したのだった。
ロッキーと話した結果、エリックは法廷で証言した。
その証言が決め手とはいえないだろうが、ロッキーは有罪となった。

しかし、エリックはロッキーの言葉の中で気になることがあった。
ロッキーは、自分の犯行ではない、と主張した。
意味不明・・・・しかし、ある人物の犯行を示唆していた。
それも意味が通らない・・・・記憶も精神も錯乱していると判断した。

その後ロッキーは刑務所に・・・今もいるはずだ
しかしスサンナの姿は、ロッキーの事件を酷似している。
ロッキーの共犯者が行ったのか?
または模倣犯?もしかしたら・・・・
当時ロッキーが示唆していた人物なのか?
ロッキーは実は無罪で、真犯人が犯行を重ねているのか?
自分は無実のロッキーが有罪になるような証言をしたのか?
ロッキーの言葉全てを、警察に報告していないのは事実だ。
エリックの胸の鼓動が収まらない。

国家警察の元警部ヨーナ・リンナは、隠れるように暮していた。
喧騒から離れた場所で。
ユレックの脱走、その後の追跡などで、ヨーナは大怪我を負った。
そして事件が終わった後、ヨーナは病院から姿を消した。
実質的にはヨーナは行方不明、そして死亡を認定されていたのだ。
しかし彼は生きていた。
偽装事故で死亡認定された妻と娘と暮し始めていたのだ。
妻スンマは、末期ガンであったが、病院を出て家族で暮した。
やっと家族で暮せる。その中でスンマは静かに去って逝った。
そしてヨーナは、遺された娘ルーミを守ることに全神経を注いでいた。
自分の怪我や病気を省みず、ルーミを守ることに命をかけていたのだ。

そこにサーガが訪ねてきた。
ユレックのいる閉鎖病棟に潜入捜査を行ったサーガ。
結局はユレックに利用され、脱走を許してしまった。
逃げたユレックは、ヨーナの恋人ディーサを殺し、
レイダルとミカエル父子を狙ったのだった。
しかしサーガがユレックを追い詰め射殺した。
射撃に自信があるサーガは、ユレックを殺したと確信した。
しかしユレックは川の中に落ちてしまい、死体は見つからなかった。

「ユレックの死体を探して欲しい」
瀕死のヨーナがサーガに頼んだことだ。
ユレックの死が確定しない限り、ヨーナは怯えて暮らすことになる。
一生・・・・・
サーガは、国家公安を病気療養の休業とし、ユレックを探して廻った。
そして・・・・ある海岸で発見があったのだ。
海岸に胴体と片腕の死体が打ちあがってきたのだ。
発見したのは、引退した教会の管理人。
管理人は、警察には連絡しなかった。面倒は・・・・
しかし「何かの為に」写真を数枚撮影していた。
そして指を1本切って、保存液の入った瓶の中に入れていた。

サーガは、写真と指を受け取り、法医学局へ向かった。
そこには法医学教授のニルス・(ノーレン)・オレンがいる。
ヨーナの旧友、そしてサーガとも親交がある。
持参した証拠品をノーレンに差し出すサーガ。
ユレックのデータは残っている。
指の指紋と照合すれば・・・・ユレックの指か否かが判明する。
ノーレンは調べる・・・・ユレックのものと判明する。
首無し胴体から切り取られた指が、ユレックのものだ。
つまり、その胴体はユレックである、ということになる。
首が無い・・・・しかし胴体が無くては首は生きていけないだろう。

ユレックは死んだ。
サーガは、それを伝えるためヨーナを探し当てたのだ。
久々の再会。サーガの話を聞くヨーナ。
もし確認したいのなら、ノーレンを訪ねればいい。
サーガに言われ、安心するヨーナ。
娘ルーミは、広い世界で学びたいという。留学希望だ。
ユレックが死んだ今、ルーミを旅立たせることができる。

そしてヨーナは、ノーレンを訪ねる。
そして、マルゴットが指揮をとる事件を知る。

精神科医エリックは、自分のことで不安になっている。
エリックと再会するヨーナ。
2人はある事件で知り合っていた。
そして妻スンマが自宅療養の際には、薬の処方を依頼していたのだ。
礼を言うヨーナ。
そしてエリックが置かれている立場を聞き・・・
オブザーバーとして、この事件に関与することを決めた・・・・・

残された数少ない手がかりの中、捜査を続ける警察。
しかし決め手・・・犯人に繋がる有力な手がかりは無いままだ。
シリアルキラーの専門を自負するマルゴットもお手上げだ。

捜査が難航する中、第3の被害者が出る。
サンドラ・ルンドグレン。
同じように惨殺死体で発見されている。惨い殺され方も同様だ。
一体犯人の目的は?被害者は偶然無差別に選ばれたのか?
それとも被害者3人に何か共通点があるのか?
ロッキーと面会するなど、自分の過去に落ち度があったのか、と
不安が増すエリック。
被害者3人の写真を見て、愕然とする。
3人共、知人だ。自分と面識のある女性達だ。
関係性や、付き合いの程度に差はあるが、面識はある。
3人の共通点は、自分なのか?
混迷するエリック。一体犯人は何が・・・・・?



はい<2>へ続きます
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