気分はいつも、私次第

花郁悠紀子作品 あれこれ

 花郁悠紀子さ~ん!大好きです。ホント、大好きだ~!でも文庫版、2冊しか持っていないなんて・・・ファンなのに・・・。花郁さんのカラー、見た事ありますか?カラー、素晴らしい漫画さん、いっぱいいっぱいいるけれど、花郁さん程、透明感あるカラーはそんなにないと思うよ。

 作品で最初に出会ったのは、「フェネラ」連載第1回目。コミックス等お持ちの方は、分かると思うが、第1回目の冒頭はカラーになっている。雑誌掲載時、この部分はオレンジ&グレーの2色カラーだったのよ。それでも十分!私の胸が、ワァ~!!と言う感嘆符状態になってしまった。タイトルが入っている見開きには、フェネラがその細身に、布部分少ないドレスを着ている。でもお姫様風でない。見た瞬間、彼女は騎士、つまり戦う女性なのだなって分かるような雰囲気。その背後には、馬にまたがった妖精風な若者が数人、走り去る様子が描かれている。ちょっと横道にそれるが、花郁氏は、馬が大好きだったという話を聞いた事がある。寛恕の描く馬は、みな神場のごとく、輝いている。言い方替えると、人間が乗るような馬じゃないって事。これは、私の印象ですがね。
 
 この「フェネラ」を読んだ時、今までのファンタジーとは違う、と子供心(当時は子供)にも分かった。守られてメソメソしているお姫さまじゃない。自分の不幸も乗り越えようと、一生懸命もがいている人なんだ。そう言う事が、自分の心に染み込んで来た。「フェネラ」はファンタジーのような背景を持ちつつ、SF作品としても十分素晴らしいと思っている。そのどちらでも通じるような、それでも極上のストーリーを、より素晴らしくさせているのは、その絵だと思う。「フェネラ」は、初期の作品だが、初期でここまで描くか!と、今でも感心する。情に流されなくても、情を大切にしつつ、それでなお、現実も直視するストーリーに、この絵柄は、極上品としか言い様がない。当時、力のある女流作家さんは、SFを描く事が流行っていたような気がする。その中でも、ファンタジーとの見事な融合は、花郁さんしか出来ないんじゃないか?とさえ思ってしまう。人間世界と妖精世界との接触。しかし共存は無理との結論から、一部の政府関係や研究用以外は、裂け目を塞いだ。そう言う背景から、物語はスタートする。フェネラは、人間の父と、妖精の母を持つハーフ。作中では、『キクナラエ』と表現されている。キクナラエ!今変換したら『聞く習え』になってしまった・・・。こんな言葉、聞いた事無いし、それが一層物語りにのめり込むきっかけにもなった。「フェネラ」はウ~ン、読んでも分かりにくいかな?とも思うが、私は好き!が前提になっていて、夢中で読んだ。

 その後、プリンセス&プリンセス系雑誌は、花郁氏目当てで買うようになってしまった。その後出会ったのは、『四季つづり・春の花がたり』。『四季つづり』は、春夏秋冬それぞれをベースとした連作。私は『春の花がたり』が大好き!亡き父の思い出の家にやって来た若い女性。両親の仲はどうも怪しかったらしい。そこで彼女は、春の花が咲き乱れる隠れ家のような場所を見つける。そしてそこで、若い男性、少年といっても良い程の男性と知り合う。彼は、以前からその場所を知っていたようで、彼女はその少年に、惹かれていく。理由は分からないが、惹かれていくのだが・・・って話。今でも、彼女&彼の名前、言えるぞ!(ちなみに、持ってません。この作品)女性=櫂、少年=翔。ついでに父親=舟。少年の母=はるか(漢字は忘れた・・・)エッヘン!『舟をこぐには櫂がいる。そして、はるかに飛ぶには翔(つばさ)が~』とか言うモノローグがあったと思う。もし、どなたか御存知でしたら、教えて下さい。ラストは悲劇だけど、凄く心に残っている。

 その他は・・・全部だ。じゃ無くて・・・『白木蓮抄(マグノリアしょう)』『それは天使の樹』『アナスタシア・シリーズ』が、お気に入りかな?ウ~ン、おっと!『カルキのくる日』が在ったぜ。これを忘れては、ならん(キッパリ)。ゴシック・ロマン風だよね。悲劇は、悲劇らしく。コメディは、洒落たものを。花郁氏は、絶妙に私を、様々な世界へと誘ってくれた。
 
 そして・・・『緑陰行路』後、どうしたのかな?どうしたのかな?と思っているうちに、訃報を知った。残念といっても、諦めが付かない感情が残った。まだまだ、十分にお若い。もし・・・と言う言葉は、今でも時々思うことがある。「もし、花郁氏だったら・・・」その後は、山岸涼子氏の、心霊体験話で、花郁氏の事が描かれていたのを読んだ時、嬉しかった。山岸氏が、仰るところ、十分満足していらっしゃるらしい。笑顔が描かれていた。これは、私の勝手な思いなのだが。いつまでも、いつまでも、心に残る漫画さんの1人だし、いつ読んでも、漫画の表現というものに限りが無い、と言う事を、証明してくれた作家さんだと思っている。
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