リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

学問の品格

2007-10-10 23:09:57 | あなたをわすれない
西条八束氏死去 名古屋大名誉教授(共同通信) - goo ニュース


 昨日、アユの産卵を見る会の案内を近くの方々にメールでお送りした。西條先生は観察会に来られたことはないのだけど、この10年ほど、毎年案内を送っていた。ところが、昨夜はどうしたわけか、アドレスを加えるのがはばかれたのだった。案内をお送りするのが失礼にあたるような、そんな気がしたのだった。虫の知らせというのはあると思う。

 ボクが先生のことを知ったのは、当時は古今書院という出版社から発行されていた「湖沼調査法」という本を書かれていたことからだった。
 ボクが中学生のころだ。
 その本をバイブルとして、自分で浜名湖の調査(のまねごと)をしていた。その本はホントにボクの一番大切な本だったが、高校時代に生物室に置いていたら、無くなってしまった。その後、神田の古本屋で見つけて、購入して、大学の机においていたら、また無くなった。残念なことをした。

 その本を読んだボクは、是非この先生に教わりたいと名古屋大学を受けたことがある。大学とボクとはすこし知見が異なっていて、愛媛大学に行くことになった。
 その大学でボクは、伊藤猛夫先生の元で水域の生態学を学ぶことになった。

 因縁というのは不思議なものである。その伊藤先生は木曾三川河口資源調査団、つまり長良川河口堰にかかわる生物調査のアユ班の班長だった。
木曾三川調査団

 たまたま、伊藤先生から学んだことから、長良川河口堰と係わることになって、ボクはいま長良川に住んでいる。

 西條先生と直接お会いして、話すようになったのは、長良川河口堰関連の研究会を通じてだった。一度、むかし、中学生のころに「湖沼調査法」を読んで水域の生態学に係わるようになったとお話ししたことがあった。

 「先生とお会いしたらあの本にサインを頂くことが夢でしたが、2冊とも無くしてしまいました。」そう話したとき、西條先生はこんな風におっしゃった。
 「わたしのを差し上げたいけど、1冊しかもっていないのですよ。」
 そうして、とても、品よく、笑われたのだった。


新編 湖沼調査法
西条 八束,三田村 緒佐武
講談社

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☆テキスト
西條八束氏死去 名古屋大名誉教授
2007年10月10日(水)21:09

* 共同通信

 西條 八束氏(さいじょう・やつか=名古屋大名誉教授、陸水学)9日午後4時5分、肺炎などのため名古屋市熱田区の病院で死去、82歳。東京都出身。告別式は12日午後0時半から名古屋市千種区内山1の19の22、平安会館今池斎場で。喪主は妻紀子(のりこ)さん。詩人西条八十の長男で、日本陸水学会会長などを務め、吉野川可動堰や長良川河口堰の建設問題などで積極的に発言した。
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