リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

岐阜新聞 「鮎の12か月」 連載 2007年 7月

2008-01-01 21:15:51 | アユの12ヶ月 川面からの記録
 梅雨明けの近い長良川が好きだ。

 長雨が続いて濁っていた川が澄んでくる。雨が降ると水が澄んでくるということ、それが清流の証明だと思う。

 私が長良川を始めて見たのは20年前の冬のことだった。その時も水の美しさには感 心したのだが翌年の夏、梅雨明け直後に水中撮影に来たとき、その水の澄み具合と量とに圧倒された。たぶんその時の感動が、私をこの地に留まらせている。

 7月のこの欄には、長良川の水中映像を掲載したい。連載を開始する時から思っていた。ところが、季節はずれの巨大台風である。台風が近づいた時点で、締め切りまでに水中写真を撮影するのは難しいかと思った。そこで、方針を変えて、大雨の時に鮎がどうしているかというテーマで撮影にすることにした。

 釣り人などは「鮎は大水のとき石を飲み込んで身体を重くして流れないようにしている」などという話をされる。大雨の後釣れる鮎のお腹が砂利っぽいことからだ思うのだが、身体が重くなるほど小砂利を飲み込んだりしたら、バランスを崩してまともに泳げなくて、かえって大変なことになるだろう。この話は大水で鮎も難儀をしているから、そんな時には釣りをするな、という警句なのだと聞いている。

 さて大水の時の鮎である。そんな時、鮎は流れの緩い岸辺や溜まりなど、岸近くの極浅いところに寄ってきている。それを掬う漁法は全国にあって、長良川でもにごりすきとかいわれて各所で行われている。自宅近くでも掬っている人を見かけたことがあって、その写真を撮影してこの欄に載せようと思った。

 近くに堤防から高水敷にスロープで下るところがあって、いいあんばいに水が溜まっている。そこは異形ブロックの陰になっていて流れも緩やかだ。そのブロックには先客のアオサギが陣取ってサカナを狙っていた。それらしい車が来たので、カメラを持たずに様子を見に行ったが私の姿をみたらどこかに移動してしまった。それからしばらく待っていたのだが、網をもった人間は一向に現れない。アオサギはそれなりに食事をしているようだったが…。

 行きつけの喫茶店に休憩がてら情報を聞きに行くことにした。事情を話すと、にごりすきの解禁は8月中旬だという。道理で掬っている人がいないし、それらしい人もすぐに立ち去ったわけだ。いっそ、自分で掬って写真に撮ろうとも考えたが、漁業調整規則に違反だなどと通報されたら厄介なことになる。

 また方針を変更して、岸近くの溜まりで鮎を狙うアオサギ。というテーマで写真をとることにして望遠レンズを準備して先ほどの場所に向かった。すると現金なものである。自分が被写体だと悟ったアオサギはさっさと立ち去って、帰ってはこなかった。



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