新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課11「総合計画審議会(その1)」編

●総合計画審議会(その1)

 大抵の自治体は概ね10年先を見据えて目指したい将来像を示す「長期総合計画」というものを策定する。かつては、地方自治法において、市町村に対し、総合計画の基本部分である「基本構想」について、議会の議決を経て定めることが義務付けられていたが、平成23年の地方自治法の改正により義務ではなくなり、総合計画の策定は市町村の独自の判断に委ねられることとなった。制度的な義務ではなくなっても自治体の内外からは将来に向けた方向性が質されることが多く、自治体が一体性ある組織として共通認識を持って応えていけるような意味合いが強いと思う。ただ、4年ごとに改選される首長の政策のままイコールのような内容では、実行担保性や少数意見への配慮などの面で障りもあり、どこの自治体においても内容は総花的で抽象的になりがちだ。
 昨今の計画というのは策定したらそれっきりというのが許されない。進捗や達成状況の把握のための定量的な指標を設定して、施策の実績の適否や程度を毎年検証して評価するのが一般的だ。公の機関たる自治体の評価ともなれば、これも昨今は身内だけによることは許されず、外部有識者を参集してということになる。総合計画は全ての政策分野に関わる内容なので、有識者も幅広に各界からとなり、学識、行政、自治、福祉医療、産業、教育、若者、女性などに一般公募も合わせて総勢24名に及ぶのだ。
 幅広の内容と大勢の委員で多様な質疑への対応が想定される。県庁であれば企画調整担当部署である政策課の仕切りによる対応となるところだが、燕市では財政調整担当である私が同時に企画調整もまとめて統括する企画財政課長なので、この審議会でも四方八方からの射撃(?)に対峙しなければならなくなりそうだ。などと構えていたら、さすがに全方位対応はやりきれないだろうということなのか、この審議会での質疑応答には、主要な関係部課長が背後に控えていて質疑内容により応答してくれるという。私は基本的には司会進行に注力できると聞いて少しは安堵した。
 しかし簡単には問屋は下ろしてくれないもの。平成27年度から国主導で地方創生推進の取組というのが展開されていて、関連する国からの交付金を得るためには「地方創生総合戦略」という専用の計画づくりとその進捗管理が義務づけられているのだが、その内容や範囲が総合計画と重複したり関連したりしているものだから、総合計画審議会においてこれも併せて評価していこうということになっていた。
 つまり、幅広い政策分野にわたる2本の計画を順次審議にかけて客観的評価を結論づけなくてはならない。有識者の皆さんは忙しいのでそう何時間も拘束はできない。単に司会役と言っても議事進行や時間管理に相当苦労することになりそうだ。
 それでも、役所主催の会議体というのは、基本的に行政の仕事についての一定の理解があり、厳しい質疑は出るものの、こうした会議の時間内の取りまとめにも協力的な方々で構成されていることがありがちなのではないか、もしくは、"沈黙が金"とばかりに敢えて苦言などは控えて当局の案に合意する"大人の対応"の姿勢の"御用委員"によるシャンシャン会議なのだろうと見下す向きもあるかもしれない。しかし、燕市はどんな会議体もそんな事務局に"やさしい"ものは一つも無いのだ。

(「燕市企画財政課11「総合計画審議会(その1)」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課12「総合計画審議会(その2)」編」に続きます。)
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