新潟久紀ブログ版retrospective

地域農政推進課9「農地中間管理機構(農地バンク)の創設(その4)」編

●農地中間管理機構(農地バンク)の創設(その4)

 果たして部長説明に臨むと…。一通り私からの説明を聞いた上で部長は「国の"猫の目政策"に翻弄されて乗せられるな。組織は最低限の補強に留めなさい」と強烈な"ダメ出し"であった。
 国が人件費補助を何時まで手厚く続けるかなど当てにできない。一方で、仮に年度単位の契約雇用であっても一旦雇用して事業を展開し始めたらそう簡単には人員整理ができなくなるだろう。農家や市町村との橋渡しをする人員なのだから同一人物での窓口の継続性が否応なしに現地から求められることは明らか。とにかく、国の打出しに振り回されずに冷静に考えて、農業公社の現在の職員体制で出来る範囲を基本に最低限の事務補助職員の追加程度に留めなさい、というのだ。
 ご指摘はごもっともだし、そうした論点も私なりに十分検討した上で、"農業大県新潟"の威信を掛けて、敢えて積極戦略に打って出ては、と伺うものであった。挫けずに改めて説明するが部長はつれないばかり。横に座す技監や副部長に助け舟を求める目くばせを送るも「諦めろ」というサイン。長い時間を掛けて実務関係者と協議して根回ししてきた企画案は最後の最後で部長の一喝で玉砕したのだ。
 私はスゴスゴと部長室を引き上げながら、課長はこうした展開もあり得ると想定して欠席を決め込んだのだなと思った。私から部長に至るラインの全員が揃う場で全否定されては、場としては辛すぎると慮ったのかも知れない。
 課に戻り課長が別件から戻ってきすぐに部長説明の顛末を報告すると、課長は「やはりそう来ましたか」と予めリスクを読んでいたかのようなコメント。農業技術職の牙城ともいえる農林水産部において、事務職でありながら長年にわたり幹部職を歴任してきた現部長には誰も抗うことはできない雰囲気になっていたことは皆が知るところだったので、同席した根回し済みの二人の幹部から何の助け舟も出されなかったことに恨み節を私がほざいても、同僚達は「しかたないさ」と言うしかなかったのだ。
 役所において組織的に意思を形成していく過程の頼り無さと、長年君臨する部長の強烈さを味合わされ舌を巻くしかなかった情けなさで、期待を持たせた農業公社の関係者達には合わせる顔がなかったのだが、組織体制がそれほど補強はできないことになったと説明に行くと、農林公社には幹部として農林水産部農業職のOBが居たので、県庁における意思決定の事情をよく理解しくれた。「県庁においてはありがちな事だよ」と寛容にむしろ私を労ってくれたことが有難く思えてならなかったのだ。

(「地域農政推進課9「農地中間管理機構(農地バンク)の創設(その4)」編」終わり。「地域農政推進課10「他県調査に行くべし(その1)」編」に続きます。)
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