新潟久紀ブログ版retrospective

燕市企画財政課2「一応の引き継ぎ」編

●一応の引き継ぎ

 県から少し遅れて燕市の異動内示が公表された。私が就く企画財政課長の前任者はそのまま居成りで企画財政部長になると判明。更に、現在の企画財政部長は再任用職員として他部署ではあるが同じ市本庁舎内での勤務が続くという。つまり、前任者が組織ラインのすぐ上に居てオンザジョブで私を指導助言できるのだ。吉と出るか凶と出るか分からない新参の県職員を受け入れるにあたり万全の体制を敷いたことが窺える。まあ、私としては基本的には気が楽になるのだが、重石が上にあるかのようなやりにくさにならないかという気もした。何か新風を呼び込みたくて外から県職員を迎えるのであれば、既往の幹部が重鎮よろしく居残っていては上手くないのではないかといぶかった。
 平成28年3月の下旬に、燕市への異動内示を受けて以来、庶務的な手続きなどで窓口となってくれていた市の人事関係担当者から、業務引継を設定してくれるという連絡が入った。県と同様に当初予算等を審議する議会対応がやっと一息つく日の午後に1時間程度、私が就くポストの現職が担当業務の概略を聞かせてくれるという。
 私は少しビビっていた。燕市の異動内示で部長以上の新任者については、地元のネットニュースメディアが顔写真入りで紹介していたのだが、私が引継を受ける新企画財政部長は"お顔"が中々"強面"だ。3年前の記事には、その前任者で今期で企画財政部長を退任される方が載っていたのだが、更にチビってしまうような強面。燕市の企画財政担当は相当な凄みがないと務まらないのか。私のような虚弱体質で弱腰のやさ男でやっていけるのか…不安は募るばかりだ。引継でいきなりドヤされたらどうしようかと。
 指定された日時に燕市役所庁舎に向かう。平成25年に新設されたばかりの最新鋭の建物は、農業振興地域の除外が関連していたので、その業務に関わっていた3年前に一度、供用開始から間もない頃に立ち寄って市民などが自由に出入りできる範囲で中を見学させてもらったことがあった。その当時はまさか数年後に出向してこの庁舎で働くことになろうとは全く思いも寄らなかったのであるが。
 4階建ての庁舎の3階の企画財政部に伺うと、引継を受ける現職の企画財政課長が待っていてくれた。強めの面構えには違いないが破顔一笑して迎えてくれて、やりとりを始めてみれば物言いが柔らかく大変に気さくだ。聞けば、若い頃に別部署で県から若い出向職員の隣で面倒を見ていたといい、出向者への対応の心得も備えているようだ。
 燕市の長期総合計画や議会で審議を終えたばかりの平成28年度当初予算関連資料を示しながら市の施策全体の概要などを順次教えて頂いたが、事細かに聞いていく時間も無ければ一度に大量の情報を理解できる頭脳も私にはないので、「あとは着任後に業務の都度都度で…」ということで極めて概括的な内容と程度での引継を終えた。それでも、春から企画財政部長として直属の上司になる方の"人となり"の素晴らしさに心証を持てただけでも大いに意義のある引継式であった。
 その後、帰り際に市長にご挨拶をと秘書係に伺うと、市長室に招き入れてくれて副市長も同席してお相手をしてくださった。燕市、吉田町、分水町の三市町が合併して新庁舎もその中心部に配し、いよいよ一丸となった市政展開に踏み込もうという段階で、職員が内向きにならずに積極的に打って出てくれるように外からの風を入れてみたいのだといった趣旨のお話があった。県庁での経歴はそれなりでも、市役所勤めに関しては経験も実績も全く無い私が空手形を切ったり大風呂敷を広げるわけにはいかない。微力ながらなんとか貢献したいと応えるばかりなのだった。

(「燕市企画財政課2「一応の引き継ぎ」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「燕市企画財政課3「出向初日の歓送迎会に歴戦の勇者を見る」編」に続きます。)
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