新潟久紀ブログ版retrospective

病院局総務課17「病院局からの転出に思い残し無し」編

●病院局からの転出に思い残し無し

 病院局勤務4年目にもなる課長補佐の私は着任1年目の課長を支える立場として、毎年年度末にヤマ場を迎える組合交渉において、その準備も含めて全力投入したのだが、交渉が終わった途端に緊張の糸が切れて生まれて初めてのインフルエンザに罹ってしまった。
 タミフルは噂に違わぬ速効ぶりだったので解熱は早く、気怠さが抜けると、「これは久々に一週間ほどの骨休みになるなあ」と喜んでいたのだが、休んで2日目になると職場から電話が掛かってきた。「補佐はいつ出勤するのですか」という。私は、インフルエンザともなれば職員に感染を広めないように5日程度は自宅待機で、医師の治癒証明でもないと職場復帰できないものだと勝手に思い込んでいたのだが、タミフルなど特効薬が出回るようになったからか、最近はそうした義務的な隔離期間や証明は要しないのだという。タミフル飲んで熱が下がって暫くすれば出勤するのが普通になっているのだという。
 何か懸案があるのなら、担当係長が課長と相談して対処してくれれば良いと応答すると、担当係長は「○○については補佐直営マターですから。はやく出てきてください」と言って引かない。2日休んだだけでもう出勤か。もう数日間は休む前提でのモードに入っていた意識を切り替えるのは辛いものだ。やれやれ…とドッと倦怠感が湧き戻る。
 そんなこんなで、2月の上旬にゆっくりと心身を休めることができないまま、日常の業務に追われ始め、そうこうしているうちに平成24年度当初予算の審議を含めた長丁場の2月県議会対応に突入。答弁作成などに追われているうちに、毎年のことではあるが、あっという間に3月の到来であり、これも例年行事であるが、異動内示の日がやってきた。
 県職員の異動は概ね3年程度の周期だと思うが、現職の病院局で4年、その前の財政課で7年、更にその前の職歴も含めて、私は一か所あたりの在任期間が比較的長い。優秀な人材であると目が付けられた人が他所から欲しがられるというのが人事の引き合いだとすれば、凡人の私などは「押しはあっても引きがない」ということで滞留期間が長めになるのかもしれない。それでも、課長補佐ともなると、2年程度での異動が一般的な課長と同時に異動というのは上手くなく、年度を違えて斜交いで入れ替わるのがよく見られるパターンなので、課長が在任1年を経たタイミングで2年目の私は異動適時ということなる。
 そんなわけで、この年の異動内示はかなり意識をして待ち構えていたものだ。総務課という人事や組織を所管する課の補佐である私は、既定の職員への内示伝達の時間より前に異動内示の内容を一番に知ることになる。緊張の思いで封筒から内示一覧表を取り出して見ると、「課長級に昇任させる。農林水産部・地域農政推進課の課長補佐事務取扱いを命ずる」とあった。
 「地域農政推進課」とは、かつて県職員として3か所目の職場であった「農政企画課」が組織改正で名称変更した部署であり、実質同じ職場への二度目の勤務ということになる。当時は末席の主事であったが今度は課長級の管理職としての立場であり、責任の度合いは大きく変わるが、勝手知ったる業務分野であり、全てが一から初めてでないことは、いつの間にか県職員生活も四半世紀を経て物覚えの悪くなってしまった私には有り難い処遇だ。
 奇しくも私が県庁に就職した年度から23年間も連続していて、前職の財政課でその改善を巡り心身をすり減らした"県立病院の大赤字"は、経営の当事者となる病院局に配属されて3年目に自助努力と制度的な追い風が相まって、誰もが不可能と考えていた黒字へと転ずることができた。さらに異動内示を受けた時点では2年連続の黒字が確実であることも見極められた。振り返ると出ばなから大変な苦労続きではあったが達成感の大きな4年間であり、思い残すこと無く転出できるということは、異動が付きものの県職員としては幸せな経験だなあと噛みしめて、3月末日の終業後に通い慣れた病院局総務課の執務室を後にした。

(「病院局総務課17「病院局からの転出に思い残し無し」編」終わり。県職員8か所目の職場となる「地域農政推進課1「懐かしの職場にて私事スクランブル」編」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「回顧録」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事