新潟久紀ブログ版retrospective

活かすぜ羽越本線100年9「新発田駅以南・私の提案(その2)」

■JR羽越本線100年を機に新発田地域の振興を考えます。
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◆新発田駅以南・私の提案(その2)

 稲から園芸作物(野菜)への転換が進まないのは、稲に比べて野菜は、常々に、しかもきめ細かく、手間がかかり過ぎるからということをよく聴く。稲は田植え、施肥、農薬散布、水管理、稲刈りなどのパターン化と機械化が進展していて、春の連休など折々の休日や週末を利用するなかで対応できる。なので、稲作中心の新潟県では平日は会社勤めの兼業農家が多く、それが、専業農家の規模拡大や経営体力の育成促進を阻んできた一因ともされている。なんとも皮肉なことだ。
 それでも、さすがにコメの単価を考えると稲作は立ち行かなくなってきた。一方で、農家皆が他産業に移り、引き受け手もなく耕作放棄される農地が増え続けてしまっては、害虫発生や不法投棄などの増や治安の悪化、有事を見据えた食料自給率維持の困難化など、地域や県、国にも及ぶような多くの問題を招いてしまう。
 農業は生業であるにもかかわらず、農地というものが国土の保全や利活用の在り方として重要であることから、農地整備などには多くの税金が投入されてきている。農地として公金を投じた効果を農地として果たさせ続けるのは行政の責務でもあろう。そう考えると、何十年も一つの解決策と言われ続け公金の投入も続けられてきた「園芸作物への転換」をより効率的に進めることが、稲作田園地帯のシェアが大きい新潟県、そしてこの新発田地域としてのミッションのように思える。
 しかもこの新発田地域振興局管内には新潟県農林水産部の出先機関である「園芸研究センター」がある。私が赴任して間もなく視察した際には、技術員さん達が多様な園芸作物について、農作業の効率化や収穫量増加など生産性向上のための研究を圃場で実証的に取り組んでおられた。また、彼らは私の様なド素人を見下すことなく、熱意をもって楽しく分かり易く饒舌に実践的なことを教えてもくれた。
 園芸への転換にあたり、指導者には恵まれている。あとは、大変な労力を要するという農作業に対応できるマンパワーの確保だ。それも、稲よりも機械化が難しくて手作業が多く、しかも頻繁に頻回にという作業への従事だ。かつて農家から「愛情を持てないと野菜は良く育てられない」と聴いたことが頭に浮かぶ。
 街中から離れた広い田園で野菜を育てるために必要な少なくないマンパワーを、しかも、単純ではなくある程度の知識と対応力を持っている人を、定期的に集められないか。そう考えた時に思い浮かんだのが、遠く30kmほど離れた新潟市にある新潟大学の学生さん達だ。
 数年前に新潟県の人口減少問題対策に関わる業務に就いていた時に、新潟大学にお邪魔して、色々な学部と学年で何回かに分けて学生さん達と、6割以上が県外からやってくる学生を就職に際してもできるだけ新潟県内にとどまってもらうにはどうしたらよいかを主題にした意見交換を行ったのだ。
 その際の発言の中で、「県外から来た入学生を早めに新潟県内の”見て回りツアー”に連れ出すなどして親しみを持たせるべき。せっかく県内には魅力あるところが多いのに放っておき過ぎだ」とか「今の学生は郊外立地の新潟大学周辺暮らしにおいても自家用車を持たないが、バスなど公共交通もそう便利ではないので、特定の繁華街にたまに行くくらいの行動範囲で学生時代を終えてしまう者もいる」などと、受け入れ側の気遣いや企画不足を痛感させられる指摘を多く頂いた。
 一方で、せっかくやってきた新潟県を知ろうと、NPOに参画するなどして地域貢献に関与している県外出身学生もいた。就職試験時に学業以外のアピールネタを備えたいという想いもあるかもしれないが、何か関心を持てる地域の事柄に関わりたいという二十歳前後ならではの思いがあるのだろうと経験的にも想像できる。
 新潟大学のみならず、県外や都市部から来て就学している大学生たちを新発田地域の農業の園芸転換へ関わってもらえるようにできないだろうか。
[その3に続きます]

(「活かすぜ羽越本線100年9「新発田駅以南・私の提案(その2)」」終わります。「活かすぜ羽越本線100年10「新発田駅以南・私の提案(その3)」」に続きます。)
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