日本滞在中に久しぶりに日本戦略論の素晴らしい本に出会った。その本は野中郁次郎氏の「失敗の本質を語る。なぜ戦史に学ぶのか」
野中氏は以前なぜ日本がアメリカに負けたかを戦略から分析された共著本を書かれた。素晴らしい本だった。
その本は『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』社会科学面での旧日本軍の戦史研究。6名の研究者による共著である。
今回の本は、その後の企業戦略と軍事戦略の本を書かれた動機やこれまでの著書を紹介されている。元記者の方が、野中氏にインタビューする形式の本で、とても読みやすい。
日本企業には、半導体、家電、スマホ等の負け組が勢揃い。企業戦略の負け組の研究対象は沢山ある。日本企業戦略と日本の国家戦略の共通点を見いだすのも面白い研究だろう。小生もこれまで日本の半導体メーカー、家電、ハイテク、通信分野の企業がどうして没落したかは、いろいろな記事を書いてきた。
日本軍事の失敗とに日本企業の失敗をその戦略から同じように分析するのは思いつかなかった。
野中氏は日本軍と日本企業の共通点は、戦略の不在と述べられている。
今回の政府のコロナ対策も同じことが言えるのではないだろうか。
日本の学問は、外国で出来上がった理論を受け入れて、それを基に論文を書く訓詁の学が主流だった。野中氏は、アメリカ留学で、理論は学ぶものでなく、自分で作るものである姿勢を叩き込まれたそうだ。