新神戸電機は、東日本大震災以降深刻化しつつある電力不足に対応し、電力貯蔵システム「Seflaシステム」の事業を強化する。
新神戸は、Seflaシステムを2000年に企業のコスト削減を支援するESCO(EnergySolution Company)用途として事業化した。
本年3 月11 日の東日本大震災後に発生した東京電力、東北電力管内での電力不足による経済活動の停滞は震災復興の妨げともなり、事業者は政府・電力会社の計画停電等の節電策に協力しつつ、経済活動の水準を維持・拡大していく必要がある。
その有効な対策の一つとして同社は電力貯蔵システムに着目した。供給余力のある夜間電力を蓄電池に貯蔵し需要が逼迫する昼間に給電することで、昼間の電力需要の引き下げと事業活動の維持を同時に実現していく手段として、新神戸は本システムを新たに提案していくもの。
新神戸は2009年より大規模風力発電の電力貯蔵用途に数MW級の長寿命LL形鉛蓄電池(LL電池)の納入を開始しているが、同電池をSeflaシステムにも搭載することにより長寿命化を図った。
さらに自社の産業用大容量リチウムイオン電池を搭載することにより省スペース化にも対応。
新神戸は電力貯蔵システムの普及が重要と考え、その為にSeflaシステムとして自社事業の立上げを図るとともに、同様のシステムを計画する電源機器メーカーにもLL電池やリチウムイオン電池を供給していく。
なお、新神戸は名張事業所(三重県名張市)に風力発電など新エネルギー発電用途の需要拡大に備えてLL電池の専用製造ラインを今年3月までに増強した。
また、埼玉事業所で生産していた産業用大容量リチウムイオン電池も今年1月から生産拠点を名張事業所へ移管作業中であり、4月以降は名張事業所で量産設備の稼働を開始する。
1.Seflaシステムの概要
Seflaシステムは電力貯蔵用蓄電池(LL電池やリチウムイオン電池等)と双方向電力変換器(PCS:Power Conditioning System)で構成され、電力系統に連系して電力を供給するシステム。電力不足対策用途のSeflaシステムには停電時の再起動が可能なように自立運転機能を付加している。
また、この度はスケジュール運転機能を追加し計画停電に備えて効率運用が可能なシステムとした。新神戸では2003年より水処理施設に非常用発電機の機能を持たせたSeflaシステムを納入しており、既に停電対策用途のシステム稼働実績を有している。新神戸のPCSは3相200Vまたは400Vの構内電力系統に連系し50kW~400kWまで5機種の容量だが、より大規模な要望にも対応できる準備をしている。
また、給電時間は蓄電池の容量を変えることにより停電時間に合わせて自由に選択することが可能であり、顧客の要望にフレキシブルに対応する予定。Seflaシステムは、屋内・屋外いずれへの設置にも対応している。
2.住宅蓄電用途への対応
新神戸は太陽光発電と組み合わせた3kWの住宅蓄電システムも既に開発済みであり、群馬県太田市でNEDO技術開発機構の実証設備として550戸の住宅に設置した実績を有している。
3.将来のスマートグリッド対応
蓄電システムはスマートグリッドを構成する主要なシステムの一つであり、NEDO技術開発機構などが既に複数の実証設備を建設中。新神戸はSeflaシステムをスマートグリッドの一部として機能できるようにインターフェースを準備中で、電力不足が緩和された後でもBEMS(Building Energy Management System)、FEMS(Factory Energy Management System)のキーシステムとして使用できる。
電力不足対策としては自家用発電機の導入が検討されているが、その燃料は重油などの化石燃料を使用する為に地球温暖化ガス抑制の世界的な方向には合致していない。そのために、Seflaシステムは、電力不足に有効であるとともに環境対策にも効果的である為に、新神戸は工場設備用途だけではなくオフィスビル用途にも提案を強化していく予定。