丸紅の100%子会社である三峰川(みぶがわ)電力は、山梨県北杜(ほくと)市との小水力発電共同導入事業につき、発電所建設に着手する。運転開始は2012年3月を予定。
同事業は村山六ヶ村堰用水路(山梨県北杜市)の施設に3地点の小水力発電所を設置するもので、同一用水路施設に複数の発電所が設置されるのは、全国でも数少ない例。
複数地点を同時に開発することで、建設期間の短縮、工事費の削減、メンテナンスの効率化によるコスト削減などが期待でき、今後の小水力発電事業の新たなモデルケースとして注目される。
3地点から得られる年間発電量の合計は約4,600MWhを見込んでおり、北杜市世帯の約6%(約1,300戸)の年間電力消費量に相当する。
東日本大震災後、電源の多様化や再生可能エネルギーへの関心が高まる中、大規模なダム建設を必要としない環境に優しい小水力発電は、自然豊かな日本風土の中で大きな可能性をもつ電源として注目されている。
環境省の発表では、1,000kW以下の小水力発電の開発ポテンシャルを、約20,000地点、設備容量約540万kWとしている。
同件では、地元村山六ヶ村堰土地改良区の協力を得ながら、小水力発電事業の運営ノウハウを持つ三峰川電力が開発、運営を担うことで事業採算性を確保し、北杜市は市施策として、地域理解促進と本事業の円滑な推進を全面的にサポートする。
こうした双方の利点を活かした官民一体の小水力発電事業は全国でも先駆けた取り組みで、今後、地域に根差した小水力発電の普及拡大が期待される。
丸紅は06年から小水力発電の運営を行っており、今回は三峰川(2か所)、蓼科に続く4-6か所目の案件となる。
丸紅は2020年までに国内30か所程度の中・小水力発電所の開発を目指して、今後も、日本各地で環境に優しい再生可能エネルギーの創出に積極的に取り組んでいく。
なお、同件は新エネルギー導入促進協議会の「平成22年度新エネルギー等導入加速化支援対策事業(地域新エネルギー等導入促進事業)」の社会システム枠で採択されている。