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再生可能エネルギー/自然エネルギー/環境問題のニュースを記録

◇新エネルギー◇関西電力、150箇所目の水力発電所として大桑野尻発電所の営業運転開始

2011年07月04日 10時02分13秒 | 水エネルギー

 関西電力は、長野県木曽郡大桑村に所有する読書(よみかき)ダムにおいて、河川維持流量(ダム下流の景観の保全等、河川環境の維持のために放流する必要流量)を利用した大桑野尻発電所の建設工事を進めてきたが、150箇所目の水力発電所として営業運転を開始した。

 同発電所は、同社として初めてとなる河川維持流量を利用した発電所であり、最大出力490kWで年間約375万kWh(一般家庭約1千世帯の年間電気使用量に相当)の発電電力量を見込んでいる。

 この結果、CO2排出量を年間約1,300トン(約200haの森林が1年間に吸収するCO2量に相当)削減することが可能となる。

 

 


◇新エネルギー◇日東電工、ノルウェーの電力会社と浸透膜発電で共同開発

2011年06月22日 09時37分35秒 | 水エネルギー

  日東電工と100%子会社のHydranautics(本社:米国 カリフォルニア州は、このたびノルウェー国営の大手電力会社スタットクラフト社と、浸透膜発電のパイロット機を2015年に稼働させることを目指し、新規浸透膜発電の共同技術開発を締結した。
 
 再生可能エネルギーの分野で世界をリードするスタットクラフト社と、膜処理技術で世界トップレベルの技術を有する日東電工グループの提携により、天候に左右されることなく、クリーンで環境負荷の少ない次世代の再生可能エネルギーを作り出せる浸透膜発電の実用化を目指す。

 浸透膜発電とは、濃度差がある溶液を半透膜で仕切った際に生じる浸透現象から得られるエネルギーを利用する新しいタイプの発電方式。

 同共同技術開発では、海水と淡水の濃度の差を利用し、正浸透膜を通して得られた海水側の圧力でタービンを回転させ発電する。

 高効率の発電を行うためには、いかに正浸透膜の透水性を高めるかが重要となる。現在、脱塩用途に一般的に用いられる逆浸透膜では、透水性が低く浸透膜発電の効率を高める事ができないため、新たに浸透膜発電に必要な高い透水性を有する正浸透膜を開発することになった。 
 
 浸透膜発電を行うためには、濃度差の大きい水源の安定的な確保が必要となり、ノルウェーをはじめ、海水と河川が交わる河口付近や海に囲まれ大きな河川を有する日本など、世界で30ヶ所以上が候補地として期待されている。

 <浸透膜発電の特長>

 ・有害物質やCO2を排出せず、環境負荷が少ない再生可能エネルギー
 ・天候、日照時間、昼夜を問わず安定供給することが可能
 ・設置面積が小さく、広大な土地を必要としない


◇新エネルギー◇住友電気工業、マイクロスマートグリッド実証システムを開発し構内試験開始

2011年06月16日 09時45分40秒 | 水エネルギー

 住友電気工業は、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電設備と蓄電池を直流(DC)で連系させたマイクロスマートグリッド実証システムを開発し、大阪製作所で、構内試験を開始した。
 
 今回開発したマイクロスマートグリッド実証システムは、4種類の発電装置と蓄電池を直流で連系させ、自然由来の不安定なエネルギーと、電力の需要を高度に管理することで、安定的且つ効率的に、各種設備や機器(負荷)に電力を供給することを可能とする。
 
 <システムの構成>
 
 (1) 同システムでは、3種類の太陽光発電装置と小型風力発電装置、電力貯蔵用の小型レドックスフロー電池を総長約1kmの直流電力ケーブルで連結し、発電電力は所内一部の照明や家電製品、また超電導電気自動車用充電ステーションでの電力としても活用する。
 
 (2) それぞれの発電電力(合計の最大発電能力は10kW弱)は、まずDC/DCコンバータで直流のまま昇圧し、直流電力ケーブルを経由してレドックスフロー電池に貯蔵、或いはDC/ACインバータで一括して交流に変換し、スマート分電盤、インテリジェント電源タップ(コンセント)を経て上記の負荷機器に供給される。
 
 <システム全体の特徴等>

 (1) 同システムは、商用電力系統とは連系しておらず、電源は太陽光と風力のみ。エネルギーマネジメントシステムにより、これら不安定な再生可能エネルギーの発電量と消費量を監視・制御し、その変動を蓄電池で吸収することにより、システム全体として最も効率的で、安定した電力利用を実現。
 
 (2) 今回の直流連系方式は、従来の交流(AC)連系方式に比べて、直流から交流への変換回数を低減することができる。直流/交流の変換では、変換機器の動力や変換によるエネルギー損失が発生するため、変換回数の低減は、再生可能エネルギーの効率的な利用に繋がる。また直流送電は、交流送電に比べてケーブルでの送電損失を低減する。  

 上記(1)、(2)により、10%程度の省エネ効果が見込めるものと想定している。
 
 (3) 多種多様な再生可能エネルギー発電装置や蓄電池を、ニーズに応じて自在に連結することが可能で、様々な規模の電力系統に適用できる


◇新エネルギー◇丸紅、山梨県北杜市で小水力発電事業開始

2011年06月10日 09時28分19秒 | 水エネルギー

 丸紅の100%子会社である三峰川(みぶがわ)電力は、山梨県北杜(ほくと)市との小水力発電共同導入事業につき、発電所建設に着手する。運転開始は2012年3月を予定。

 同事業は村山六ヶ村堰用水路(山梨県北杜市)の施設に3地点の小水力発電所を設置するもので、同一用水路施設に複数の発電所が設置されるのは、全国でも数少ない例。

 複数地点を同時に開発することで、建設期間の短縮、工事費の削減、メンテナンスの効率化によるコスト削減などが期待でき、今後の小水力発電事業の新たなモデルケースとして注目される。

 3地点から得られる年間発電量の合計は約4,600MWhを見込んでおり、北杜市世帯の約6%(約1,300戸)の年間電力消費量に相当する。

 東日本大震災後、電源の多様化や再生可能エネルギーへの関心が高まる中、大規模なダム建設を必要としない環境に優しい小水力発電は、自然豊かな日本風土の中で大きな可能性をもつ電源として注目されている。

 環境省の発表では、1,000kW以下の小水力発電の開発ポテンシャルを、約20,000地点、設備容量約540万kWとしている。

 同件では、地元村山六ヶ村堰土地改良区の協力を得ながら、小水力発電事業の運営ノウハウを持つ三峰川電力が開発、運営を担うことで事業採算性を確保し、北杜市は市施策として、地域理解促進と本事業の円滑な推進を全面的にサポートする。

 こうした双方の利点を活かした官民一体の小水力発電事業は全国でも先駆けた取り組みで、今後、地域に根差した小水力発電の普及拡大が期待される。

 丸紅は06年から小水力発電の運営を行っており、今回は三峰川(2か所)、蓼科に続く4-6か所目の案件となる。

 丸紅は2020年までに国内30か所程度の中・小水力発電所の開発を目指して、今後も、日本各地で環境に優しい再生可能エネルギーの創出に積極的に取り組んでいく。

 なお、同件は新エネルギー導入促進協議会の「平成22年度新エネルギー等導入加速化支援対策事業(地域新エネルギー等導入促進事業)」の社会システム枠で採択されている。


◇新エネルギー◇NEDO、「グリーンセンサ・ネットワーク技術開発プロジェクト」研究先決定

2011年06月08日 09時30分04秒 | 水エネルギー

 NEDOは、革新的センサーの開発を行う「グリーンセンサ・ネットワーク技術開発プロジェクト」の共同研究先を決定した。

 プロジェクトの期間は今年度から4年間。取り組みにより開発した革新的センサーを用いた統合的エネルギー制御システムを構築することで、10%以上の省エネ効果を見込んでいる。

 1.概要
 
 同事業では、センサーネットワークに使用されるセンサーデバイスの共通的な課題である、無線通信機能、自立電源機能及び超低消費電力機能の搭載を実現する革新的なセンサーを開発し、センサーネットワークの導入による、環境計測やエネルギー消費量等の把握(見える化)及びエネルギー消費量の制御(最適化)により、低炭素社会の実現に寄与する。

 2.事業内容と共同研究先

 <事業内容>

 〔1〕グリーンMEMSセンサーの開発
 
 店舗、製造現場及びオフィスなどのグリーン化を推進するために必要な、既存センサーに比較し大幅に低消費電力となる小型のMEMSセンサー(グリーンMEMSセンサー)の開発

 〔2〕無線通信機能及び自立電源機能を搭載したグリーンセンサー端末の開発
 
 グリーンMEMSセンサーの自立分散配置を可能とする電源機能、通信機能及び信号処理機能を搭載した端末(グリーンセンサー端末)の開発及び高感度受信システムの開発

 〔3〕グリーンセンサーネットワークシステムの構築と実証実験
 
 グリーンセンサー端末及び高感度受信機を用いたセンサーネットワークシステムの構築及び実証実験

 <共同研究先>

 技術研究組合 NMEMS技術研究機構(設立中)


◇新エネルギー◇富士フォイトハイドロ、荏原製作所から水車事業を譲り受け

2011年04月27日 09時40分47秒 | 水エネルギー

 富士電機の関係会社である富士フォイトハイドロは、荏原製作所の水車事業を富士フォイトハイドロに譲り受けることに合意した。事業譲受けは、2011年6月1日(予定)。

 富士フォイトハイドロは、今回の事業譲り受けにより、国内の水力発電所近代化ビジネスを更に強化し、水車・発電機の性能改善、発電設備の出力向上や保守の簡素化などの新技術を顧客に提供し、水力ビジネスを拡大するとともに、フォイトハイドログループとの連携により、海外における大型水力発電設備や揚水発電設備等にも注力し、社会的要請である低炭素社会の構築に貢献することにしている。


◇新エネルギー◇日立製作所、三菱電機および三菱重工業、水力発電システム事業を統合

2011年03月31日 09時43分11秒 | 水エネルギー

 日立製作所、三菱電機、三菱重工業の3社は、水力発電システム事業の統合に向けて検討を進めていたが、3社は、2011年5月に日立の子会社として準備会社を設立したうえで、3社の水力発電システム事業をそれぞれ簡易吸収分割により準備会社に承継させることについて基本合意しました。

 水力発電は、低炭素社会構築に貢献するクリーンな再生可能エネルギーとして、今後も着実な需要が見込まれている。国内では、大型新設プラントの計画は減少しているが、既存発電設備の更新・予防保全や出力アップに対する需要は底堅く推移する見通し。

 海外については、豊富な水資源を活かした大規模な電源開発が進む中国、中南米、インド共和国などで引き続き旺盛な需要が見込まれる一方、欧州メーカーとの競合に加え、中国メーカーの海外進出が進んでおり、厳しい事業環境が継続している。

 このような状況下、3社は、会社分割により、3社の水力発電システム事業を統合することが、事業の強化・拡大を進めていくうえで、最も効果的との共通認識に至ったもの。

 日立、三菱電機、三菱重工業をそれぞれ分割会社とし、準備会社を承継会社とする簡易吸収分割となる。


◇新エネルギー◇東京電力、最大出力240kWのダム式水力発電所の発電開始

2011年01月31日 10時23分22秒 | 水エネルギー

 東京電力は、栃木県日光市佐下部(さげぶ)において水力発電所「砥川(とがわ)発電所」の運転を開始した。

 同発電所は、今市発電所(揚水式水力発電)の下部調整池(今市ダム)に流入する利根川水系砥川(一級河川)の水資源を活用し、約51mの有効落差を利用して発電を行う最大出力240kWのダム式水力発電所。

 平成22年9月に着工し、建設を進めてきたが、この度完成したもので、揚水式発電所の自流放流水を活用したダム式水力発電所としては11年ぶり2ヶ所目の開発。

 なお、同発電所の年間発電電力量は、約100万kWh(一般家庭約300世帯分の年間電力需要に相当)となり、これによるCO2削減量は年間約350トン(一般家庭約70世帯の年間CO2排出量に相当)を見込んでいる。

 同社は、「2020ビジョン」において、低炭素社会の実現に向け、2020年度までに国内における再生可能エネルギーの新規開発を、グループ全体で40万kW程度行う目標を掲げており、今後も水力発電を含むゼロ・エミッション電源の導入にグループ一丸となって取り組む方針。


◇新エネルギー◇丸紅、小水力発電事業を全国で展開

2010年06月22日 13時00分12秒 | 水エネルギー

 丸紅は、100%子会社三峰川電力を通じ、長野県茅野市蓼科の観光地において蓼科開発農業協同組合が所有する水力発電所「蓼科発電所」の営業権及び発電設備一式を買収した。
 
 蓼科発電所は、昭和29年に各種産業の育成を図るため、地元の方々が協力して建設した水力発電所。運転開始以来、自家用発電所として近隣関係施設に長きに亘り自営線により電力供給を行ってきたが、2007年5月に設備の老朽化、維持管理の負担を理由に供給を停止し、現在運転を休止している。

 地域のシンボル的存在である蓼科発電所を復活させたいとの地域住民の声を受け、水力発電事業の実績とノウハウを持つ三峰川電力が、当該発電所の再生に取り組むことになった。

 同事業については昨年度、新エネルギー導入促進協議会(NEPC)が経済産業省の委託を受けて実施する「新エネルギー等事業者支援対策事業」の交付を受けている。本年6月末より本格的工事に着手し、2011年5月の運転開始を目指して建設工事を進めていく。
 
 蓼科発電所は、最大出力260kWの小水力発電所で、年間発電電力量約1,830,000kWhを発電する計画であるが、これは約500世帯分の電力量に相当する。このクリーンエネルギーの創出により、石油火力発電所に置き換えると1年間でドラム缶約2,380本分の石油を節約、またCO2の排出量を年間約1,000t削減することができる。

 丸紅は、三峰川電力で蓄積した水力発電所運営・開発ノウハウを利用して、今後も小水力発電事業を全国で展開して行く方針。新たな発電所の建設や遊休施設のリニューアル等を行う事で、5年以内に10か所の新規電源開発を目指す。発電した電力は特定規模電気事業者である丸紅が、企業や官公庁に販売する予定。


◇新エネルギー◇東京都、「波力発電検討会報告書」を公開

2010年05月26日 16時41分20秒 | 水エネルギー

 東京都の波力発電検討会は、このほど「波力発電検討会報告書」を公開した。この中で次の4つの項目からなる波力発電の導入促進に関する提言を発表した。

 ① 波力発電を「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」に基づく新エネルギーに加えるなど、国のエネルギー政策として法的に位置づけ、開発・導入に取り組むこと② 波力発電を国の海洋基本計画に折り込むこと③ 実海域における実証実験やモデル発電事業、海底ケーブル等のインフラの整備等の検討を進めること④ 今後の技術開発等を踏まえ、将来的には波力発電による電力も固定価格買取制度の対象に加えるほか、必要な支援策を講じること。

 また、同時に次のような「波力発電の普及拡大ロードマップ」も発表した。世界的に最も実用化に近い製品技術を導入し、国際協力により日本化を進め、日本国内で建造すること前提に、その技術の成熟度及び日本における製造能力から推測すると、20年までには300MW以上の導入が可能と思われる。導入目標としては、他の海洋再生可能エネルギーとあわせて1GW程度とすることが望ましい。20年以降については、波力の賦存量の大きさを背景として、洋上風力(浮体式)との相乗効果注)などから普及のペースは急加速し、風力発電に遅れながらも、概ね2030年までにはこれと並ぶ20~30GWの導入が可能と考えられる。