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新エネルギー・ニュース・ネット(NEN)

再生可能エネルギー/自然エネルギー/環境問題のニュースを記録

◇新エネルギー◇パナソニック、新しい構造の熱発電チューブを開発

2011年06月21日 14時18分10秒 | 熱発電

 パナソニックは、熱電変換材料と金属を傾斜積層した、新しい構造の熱発電チューブを開発した。

 熱エネルギーを電力に直接変換できる熱電変換は、二酸化炭素排出ゼロの発電技術のひとつとして注目されている。今回、熱の流れにくい熱電変換材料と熱の流れやすい金属を傾斜して交互に積層し管状にした単純な構造を考案、お湯を流す配管そのものを熱発電チューブにすることが可能となり、試作した長さ10 cmのチューブで1.3 Wの電力を取り出すことに成功した。

 同開発の成果を用いることで、地熱・温泉熱利用などへの展開がより簡便になることが期待できる。

 <効果>

 現在、導入が進んでいる太陽光や風力などと比較して天候などに左右されず安定な再生可能エネルギーとして地熱・温泉熱の活用が注目されている。これまで、温泉熱を利用した熱発電の取り組みがあるが、配管の外側に従来のπ型構造の熱電変換素子を貼り付けて配線しているため熱を取り込む際のロスが大きく、信頼性にも課題があった。

 同開発により、配管自体で熱発電が可能となり、熱の取り込みロスが少なく、複雑な配線も不要となり、熱発電システムの実現に大きく前進する。

 <特長>

 1.従来のπ型構造の熱電変換素子を使った場合に比べて4倍の発電量を実現。

 2.製造方法が簡単で、お湯を流す配管などにそのまま使えるチューブ形状を実現。

 <内容>

 1.熱の流れと垂直な方向に電気が流れるという独自の熱発電原理を考案
 
 2.熱発電原理に基づき発電電力を最大化する熱流シミュレーション技術を構築

 3.加工が困難な熱電変換材料をあらかじめカップ型にすることで、チューブを開発


◇新エネルギー◇慶應義塾大学など、熱海市で温泉を使った低温度差発電に取り組む

2010年11月12日 13時23分20秒 | 熱発電

 熱海市は、「温泉イノベーション」に取り組んでいる。これは、熱海の原動力である温泉を核に、熱海市域に存在する様々な資源を、行政、企業・団体、大学・研究機関との産学官連携や企業連携に活用し、地域活性化を目指すもの。

 現在、「温泉イノベーション」の一つとして慶應義塾大学武藤研究室および研究グループ企業によるプロジェクト「低温度差発電の実用化研究と事業展開」が取り組まれている。
     
 これは、低温度差による発電装置を開発した慶応義塾大学環境情報学部とその研究グループ企業が、温泉熱を利用した家庭レベルでの新たな発電システムを現在開発中のもの。
 


◇新エネルギー◇丸紅とカワサキプラントシステムズ、トルコでセメント排熱発電設備を受注

2010年08月03日 13時15分37秒 | 熱発電

 丸紅と川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、トルコの民間セメント会社であるCimsa Cimento Sanayi ve Tic. A.S. (チムサ チメント サナイ ヴェ ティジャレット アー・シェー)からセメント排熱発電設備を受注した。受注金額は約10億円、本設備の発電出力は8.7MWで2012年の稼働開始を目指している。

 同件は、丸紅が主契約者となり、カワサキプラントシステムズがプラント全体のエンジニアリングを行い、カワサキプラントシステムズの中国合弁会社である安徽海螺川崎工程有限公司(英文名:ANHUI CONCH KAWASAKI ENGINEERING CO., LTD.)が主要機械設備の供給を行う。

 チムサ チメント社は、トルコの最大手財閥Sabanci Holdings(サバンジ ホールディングズ)傘下のセメント会社であり、トルコ南部のMersin(メルシン)に主力工場を保有し、現在日産5,000トンのセメント生産能力を有している。

 今回の排熱発電設備は、従来は原料の乾燥熱源としての利用、あるいは未利用のまま排気していたセメント焼成工程で発生する高温の排ガスを、排熱ボイラで回収し蒸気タービンにより発電を行う設備。同設備は、セメントプラント全体の電力消費量の約30%を賄うことができる省エネルギー設備であるとともに、年間約4万トンのCO2削減に貢献する。


◇新エネルギー◇川崎重工、排温水や排ガスを利用した小型バイナリー発電設備を発売

2010年06月14日 09時40分28秒 | 熱発電

 川崎重工は、排温水や排ガスを利用した小型バイナリー発電設備の製造・販売を開始する。販売に先駆け、同社神戸工場で250kW級の小型バイナリー発電設備の試運転を本年4月より実施し、このたび所期の性能を確認した。
 
 バイナリー発電とは、沸点の低い媒体を利用することで低温熱源からエネルギーを取り出し、タービン発電機を稼動させることで、電力を生み出す省エネルギーシステム。これまで未利用であった排温水(80℃~120℃)や排ガスを有効利用して電力を得ることから、CO2排出削減に貢献することが可能。
 
 同社が新たに製造・販売する小型バイナリー発電設備は、同様のシステムであるフロンタービン発電設備で培った技術を活用しており、新たな低沸点媒体(特許申請中)の採用により優れた環境性能、高い経済性を実現する。

 同システムの主な特長は次のとおり。

 (1)優れた環境特性媒体の適用(特許申請中):オゾン破壊係数(ODP)がゼロ、地球温暖化係数(GWP)も非常に小さく、かつ熱回収効率の大きな媒体を採用(2)小型パッケージ:直結高速タービン発電機の採用と熱交換器の高性能化により、コンパクトな小型パッケージ化を実現(3)媒体保有量の最小化:流下液膜式蒸発器(特許申請中)を採用し、媒体保有量の最小化を実現(4)キャンドタービン発電機の採用:軸封装置が不要なキャンド型の採用により、媒体の外部漏洩を防止。

 小型バイナリー発電設備は、工場、ごみ焼却場、下水処理場、発電所等における排熱や地熱、温泉熱水といった分散低温熱源の有効利用を可能とするシステムであり、50kWから250kWの出力範囲でラインアップする。また、1980年代に開発・納入したフロンタービン発電設備で培った技術を活用することで、優れた環境特性を持つ新たな低沸点媒体使用の4MW級までの大型バイナリー発電タービンのラインアップも予定している。


◇新エネルギー◇産総研、広島大学などと新熱電材料を開発し熱電発電モジュールを試作

2010年06月01日 13時35分59秒 | 熱発電

 産業技術総合研究所(産総研)エネルギー技術研究部門熱電変換グループは、広島大学大学院先端物質科学研究科 高畠 敏郎 教授、山口大学大学院理工学研究科 小柳 剛 教授、KELK、デンソーと共同で、バリウム(Ba)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)からなる新熱電材料を開発し、それを用いて熱電発電モジュールを試作した。

 試作した熱電発電モジュールは温度差300 ℃(高温側330 ℃、低温側30 ℃)で、発電出力1.7 W、発電効率約4 %を示し、既存の熱電発電モジュールと同等なレベルの発電性能を持つことが実証された。

 今回開発した熱電材料は、従来の熱電材料の適用可能温度よりも高い温度で利用できるほか、わずかな組成調整によりp型熱電材料もn型熱電材料も製造可能である点や、資源量が少なく価格不安定要因をもつ材料を含まない点など、現在利用されている熱電材料に比べて有利であり、今後、工場廃熱の回収発電システムなどへの利用が期待される。