パナソニックは、熱電変換材料と金属を傾斜積層した、新しい構造の熱発電チューブを開発した。
熱エネルギーを電力に直接変換できる熱電変換は、二酸化炭素排出ゼロの発電技術のひとつとして注目されている。今回、熱の流れにくい熱電変換材料と熱の流れやすい金属を傾斜して交互に積層し管状にした単純な構造を考案、お湯を流す配管そのものを熱発電チューブにすることが可能となり、試作した長さ10 cmのチューブで1.3 Wの電力を取り出すことに成功した。
同開発の成果を用いることで、地熱・温泉熱利用などへの展開がより簡便になることが期待できる。
<効果>
現在、導入が進んでいる太陽光や風力などと比較して天候などに左右されず安定な再生可能エネルギーとして地熱・温泉熱の活用が注目されている。これまで、温泉熱を利用した熱発電の取り組みがあるが、配管の外側に従来のπ型構造の熱電変換素子を貼り付けて配線しているため熱を取り込む際のロスが大きく、信頼性にも課題があった。
同開発により、配管自体で熱発電が可能となり、熱の取り込みロスが少なく、複雑な配線も不要となり、熱発電システムの実現に大きく前進する。
<特長>
1.従来のπ型構造の熱電変換素子を使った場合に比べて4倍の発電量を実現。
2.製造方法が簡単で、お湯を流す配管などにそのまま使えるチューブ形状を実現。
<内容>
1.熱の流れと垂直な方向に電気が流れるという独自の熱発電原理を考案
2.熱発電原理に基づき発電電力を最大化する熱流シミュレーション技術を構築
3.加工が困難な熱電変換材料をあらかじめカップ型にすることで、チューブを開発