2016年春卒業予定の大学生の就職活動の解禁が現行から3、4か月繰り下がり、真夏の8月から選考が本格化することを受け、国際教養大学(秋田市)は汗だくの活動を回避するため、就活生の制服ともいえるリクルートスーツの「非着用の勧め」を宣言した。
同大キャリア開発センターは「学生の健康や合理性を考えたら、従来のリクルートスーツは着なくてもいいと判断した」と説明している。
就職活動の繰り下げは、経団連が発表した「採用選考に関する指針」に盛り込んである。学生が学業に専念できる期間を確保するのが目的で、会社説明会などの解禁時期を3年生の12月から翌年の3月に、面接や筆記試験などの選考試験の解禁を4年生の4月から8月にそれぞれ繰り下げるのが柱だ。就活戦線が「短期決戦」になって競争が激化するとの見方がある一方、企業側に対して強制力がないため、実質的に就職活動が間延びするとの見方もある。
同センターの三栗谷俊明センター長は、地方の学生にとっては、授業がある4~6月に首都圏と行き来しなければならないうえ、8月の暑いさなかに黒いリクルートスーツを着て就職活動するのは負担が大きいと指摘。「学生やつながりのある企業に対し、『面接で失礼のない格好であれば、あえてリクルートスーツを着なくてもいい』と宣言している」と話している。
9月に開いた学内の就職ガイダンスでこの方針を伝えたところ、あぜんとする学生もいたという。来年から就活予定という同大4年の川島健太郎さん(22)は、成人式用のスーツを購入した際、リクルートスーツも用意したが、「大学の方針には賛成。入社後に着られないようなスーツを買う必要はない」との考えだ。
三栗谷センター長によると、これまでに同大から内定者が出た約180社のうち約40社に趣旨を伝え、了承を得ているという。賛同した旭化成グループは、以前から学生に「服装は自由に」と伝えているといい、「違和感はない。今回は夏に選考のイベントが集中するので、企業としても学生に負担がないよう留意したい」と話している。