
「ファッションの流行や消費者の意識を読み取りながら、大きく戦略を描く。この仕事の面白さです」
最近では、商業施設としての役割が高まっている空港や高速道路のサービスエリアへの出店を指揮した。消費者の購入単価を分析し、立地や環境にあった商品を考える。「旅行の前後は財布のひもがゆるみやすい」と、2010年に出店した成田、羽田両空港内の店では、贈り物にもなる高価格帯の商品を多くそろえた。
11年の東名高速道路・海老名サービスエリアへの出店事業では、道路の施設改修計画の段階から相手の会社と交渉を重ねた。「出店の効果を説明し、数年がかりで実現しました」
会社との出会いは高校時代。ファッションが好きで、地元・福岡にオープンしたばかりの同社の店に通い詰めた。大学進学で上京すると、あこがれの店でアルバイトを始めた。
入社後は販売促進や宣伝・広報分野を主に担当。キャリアを重ねる中で、不採算事業の清算など難しい仕事も任された。この20年の経験で得たのは、課題や苦手を克服すると自信になるということ。「壁にぶつかった時こそチャンスです」と語る。
「若い人たちに、もっと野心を持ってほしい」という思いがある。50人あまりの部下がいるが、地味で目立たない仕事の担当者に目を配り、仕事の目的や意義を直接伝えるよう心がけている。「説教くさいと思われても構いません」
4月からは人事制度作りも任された。社員の半数は女性。結婚や出産を経ても、活躍し続けられる仕組みをどのように築いていくか、新たな課題に取り組む。
「ファッションの楽しさをみんなで発信していきたい」。大好きで飛び込んだ会社で、後輩たちがのびのびと力を発揮できる職場作りを目指している。(谷本陽子)
【休日】サプライズ演出しホームパーティー
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人を驚かせ、喜ばせるのが「趣味」だ。休日は自宅に友人らを招き、手料理を振る舞う。でも、「普通のホームパーティーでは面白くない」。
誕生日が近い友人がいれば、誕生会にしたり、同僚に子どもが生まれれば、お祝いの会を開いたり。いつも本人には内緒。最近も知人の婚約祝いの会をひそかに企画=写真左端=、当人を驚かせた。
入念にシナリオを準備し、参加者らの役割分担を決め、協力を取り付ける。3年前に結婚した会計士の夫も、サプライズの演出役になってくれている。手頃な大きさのくす玉やクラッカーなどのパーティーグッズは必需品だ。
オーブンで鶏の丸焼きを作ったり大きなパンを焼いたりし、盛りつける食器にも凝る。料理では、味でも見た目でも驚かせようと張り切ってしまう。
「演出過剰と言われる時もあるけれど、最大限喜んでほしい。仕事もプライベートも『付加価値』にこだわっています」
【道具】ロックな雰囲気さりげなく
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アメリカのシルバーアクセサリーブランド、クロムハーツの腕時計=写真=を愛用している。アンティークの時計の文字盤に開閉可能な蓋が付いているのが特徴。シルバーのチェーンが武骨な雰囲気をかもし出しており、ブレスレット代わりにほぼ毎日身につけている。
執行役員になってから、ビジネスシーンでも違和感のない落ち着いた装いを心がけている。ファッション業界だけでなく不動産会社やコンサルティング会社の人たちと会う機会が増えたからだ。
「本当は、ロックな雰囲気のファッションが好き」なのだが、今は手元にさりげなく取り入れているというわけだ。
ただ、この時計をしていると、「かっこいいですね」「どこの時計ですか」などと会話が弾むのも確か。「意外とコミュニケーションに役立っている。私に欠かせないアイテムです」
やまさき・まりこ 1973年、福岡県生まれ。96年、学習院大を卒業しユナイテッドアローズに入社。販売促進部、広告宣伝部などを経て2010年、執行役員に就任。14年4月、経営戦略本部副本部長に就任。
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