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にこの庵

ひっそりと、にこ道をつづります。

幕末を読む

2009-09-02 | 
私は3年前に幕末にはまって以来、幕末に関する本をいろいろと読み漁りました。

それからしばらくの月日がたち、再び幕末に戻ってまいりました。
今、幕末関連の本を数冊同時進行で読んでいます。

あれだけの激しい時代を、様々な視点からもう一度眺めてみたくて、
本棚に並んでいたそれらの本を選び出し、テーブルにど~ん!

第十五代将軍徳川慶喜や、会津藩最後の藩主である松平容保、その会津藩管理下で活躍した新選組、
そして、結果的にそれらと敵対する立場となった土佐の坂本龍馬や長州の吉田松陰&高杉晋作、
はたまた、桜田門外の変を含む、幕末に起きた暗殺事件の加害者や被害者などなど、
さまざまな立場の人の視点から、幕末を読んでいます。

もちろん、これら以外にもありますが、同時進行するのにこれくらいが限界です…

”その時”を、それぞれの立場の人間の視点から読むのは、かなり興味深いものです。

一方から見ただけでは、事実が見えません。
その歴史や、人物に対して間違った見方をしてしまうことも多々あります。

偏った見方をしていた時は、「新選組すてき!歳さまラブ~~!」とか、
「部下をほっぽりだして逃げるなんて、慶喜最低!」なんて思ったりしてたけど、
いろんな角度から”その時”を読んで感じたのは、「そういう時代だったんだ」の一言です。

あれだけ大きな変転を遂げた動乱の時代が、わずか150年前のことです。
人間の一生にあてて考えてみたら長いようですが、長い歴史にあててみたら、ごく最近のこと。

様々な立場、考えの人たちの、様々な思惑の上で時代が揺れ動き、
多くの人が血を流し斃れ、その死の上に今この時代があるわけですが…

解消されることがないであろう様々な疑問、切なさや憤りを感じ、非常に複雑な思いでモンモンしております。

にこ

和な雑誌

2009-08-08 | 
こんな素敵な雑誌を見つけました。

和楽、という雑誌です。

自然や日本美術、伝統芸能や職人技など日本独自の文化を主に紹介しており、
他にも、インテリアや食、各地の名所や宿の情報などが、美しい写真とともに盛りだくさん。

今日、伺った先でたまたま目に付いて、パラパラページをめくったらすごく興味深くて、
「この雑誌、素敵ですね」って言ったら、「前の分でしたら差し上げますよ」とのこと。

ワーイ!
ずうずうしくも、お言葉に甘えていただいてきちゃいました。

以前は定期購読システムで、会員制の雑誌だったそうですが、
今は書店で購入することが出来るようになったそうです。

1300円とちょっと高めですが、それだけの価値はある内容になっていると思います。
結構なボリュームがあり、きれない写真が充実しているのでそれをみるだけでも、楽しいし。

ちなみに、ありがたくいただいてきたのは5年前の7月号ですが、
尾形光琳の生涯、海老蔵襲名、藍染、豆腐、比叡山、女人高野(仏像)、篠笛奏者
などが取り上げられています。
これだけで、もう充分すぎるくらい!

私、雑誌って読まないから買わないのですが、これなら毎月ほしいな~

にこ

重松清 「ツバメ記念日 季節風 春」

2009-07-02 | 
心に、じんわりしみこんでくる、12編からなる短編集です。
     
ここにおさめられた、あるお話、「お兄ちゃんの帰郷」で、
東京になじめず田舎に帰ってきたお兄ちゃんに向かって、お父さんがいいます。

「自分のことだけ、考えろ」

全く同じセリフ、私つい最近言われました。
だからハッとしました。

そして、このお兄ちゃんの妹はその様子を見て思います。
子どもは親には一生かなわないんだなぁ、と。

お友達がしみじみと、同じこと言ってたのを思い出しました。

共感できるお話ばかり。
切なくなって胸がぎゅっとなります。

ほろほろ泣けて、でも最後はふわりとあったかい優しい気持ちになれて、
読み終わると「はぁ…」って、体の芯からため息がもれて、体の力が抜けていきます。

卒業や別れ、旅立ち、入学、新たな生活などにからめて書かれた、
親子や姉弟の愛、友達や他人同士の間にも芽生える優しさが、
心の深いところにじんわりとしみてきます。

そんなあたたかな春のお話、いっぱいつまってますよ。

にこ

司馬遼太郎 「胡蝶の夢」

2009-06-20 | 
3年前ほど前に、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読んでから、すっかり幕末好きになった私。

司馬さんの本を中心に幕末史を学び、徐々に他の作家さんの本も読むようになりました。
ですが、時代は幕末から動くことなく、
面白い司馬さんの本でも、戦国期の本などはほとんど読んだことがありません。

で、今読んでいるのが、司馬さんの全四巻におよぶ「胡蝶の夢」の二巻目。

     

司馬さんって、人物描写がとっても面白い。
写真が残っていない人物であっても、
その描写から、容易にその人の外見や人柄を想像することができます。

それも、静止画ではなく、躍動感を伴います。

また、歴史上の偉大な人物というと、近寄りがたい気がしてしまうけれど、
司馬さんが書くとやたら人間臭さが感じられ、親近感をもつことができるのです。

「胡蝶の夢」は二巻目現在、
幕末の蘭学者で奥御医師、松本良順や、その弟子ではみ出し者の伊之助、
さらに、良順の師匠であるオランダ人医師ポンペを中心に、
日本の医学の進歩のために、日夜さまざまな努力を続ける様子を中心に描かれています。

その中に、佐藤舜海という医者が出てきます。
その佐藤舜海について。

「舜海という人物は、古ぼけた切株のようにつねにおなじ表情をしている男だった。」

古ぼけた切株のように…
古ぼけた切株…
想像したらあまりに滑稽で、思わずくすっと笑ってしまいます。

年間100冊ほどの本を読むくらい、読書好きになったのは、
こんな司馬さんの小説に出会ったからだといっても、違いありません。

子どもの頃、父親に「本をたくさん読め」と言われてきたけれど、
そういう父の本棚にも、並んでいたことを記憶しています。司馬遼太郎の本が。

にこ